《國民的歌手のクーデレとのフラグが丈夫すぎる〜距離を置いてるのに、なんで俺が助けたことになってるんだ!?》第8話 想定外

(ふふふ、幻の曲、楽しみだ)

待ちに待った月曜日。山田さんと深く関わらないと決めたが、これは別だ。こんな機會は滅多にない。

とうとう幻の曲を聴けるのかと思うと楽しみすぎて、昨日はあまり眠れなかった。寢不足には朝日が眩しい。

學校に到著すると、既に山田さんは登校していた。黒髪のおさげの後ろ姿が視界に映る。

自分の席に座ると、山田さんは読んでいた本から顔を上げた。レンズの奧の雙眸が俺を捉える。

「おはよう、神楽くん」

「お、おはよう」

まさか向こうから挨拶が來るなんて。予想外の不意打ちは心臓に悪い。

「これ、先週話してた曲」

「おおー! ありがとう」

無地のCDを手渡され、ありがたくけ取る。どうやらわざわざダビングしてくれたらしい。こっちの勝手なお願いにも関わらず丁寧だ。

「前も話したけど、ネットとかに流すのはやめて」

「勿論だよ。自分だけが聴く用にする」

同じものをする者同士。ある程度仲良くしたいと思うのは自然だと思うけど、ここまでしてもらうと申し訳なくもじる。

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「……ほんとありがたいんだけど、なんでここまでしてくれるの?」

「別に。神楽くんはちゃんとシャートンの曲を気にってくれているみたいだから」

「いや、でもさ。ほら、俺ってクラスの子からも々言われてるし」

ちらっと周りに目を向けると、今もひそひそとこっちを見て話す人が何人か。

あまり人と話さない山田さんが話していることが珍しいのもあると思うけど、俺の噂についての話もあるだろう。

「あれは神楽くんが悪いとは思わない。ただ注意しただけ」

「そう言ってくれると楽だけど……」

「きちんと自分が正しいと思ったことを人に言えるのは凄いことだと思う。私は良いと思うし、だから気にしない」

「そ、そう」

………ん??? この話し振り。自惚れでなければ、俺に対してかなり好を抱いてくれているのでないだろうか。あ、という意味ではなく。

道理で向こうから々してくれるわけだ。やはりファンとして好きなものを守ったことが、相當良かったのだろう。

……なんで子に嫌われるのを覚悟してやった行が、好度上昇に繋がってるんだ。偶然とはいえおかしいだろ。

普通、あんな急に注意し始める人なんて避けられて當然のはずなのに。

ま、まあ、起きてしまったことは仕方がない。それは良いとしよう。とにかく、今後だ。

つい一昨日に山田さんや子との距離は置くと決意を固め直したばかりだ。

このまま話していれば、どんどん仲良くなってしまうのは想像に難くない。

その先にあるあれこれはもう面倒なのだ。ここで距離を置かないと。

「褒めてくれるのは嬉しいけど、逆に嫌いな人とか苦手な人はいないの?」

「嫌いな人……」

左手で本を持ったまま、右手で顎を摘むようにして考え込む。きゅっと口が結ばれる。

「……しつこい人。好意の押し付けとか嫌がっているのに絡んでくる人とかは苦手。ストーカーとか」

「なるほどね」

山田さんにしては珍しくのこもった暗い聲。やっぱり理ちゃんが言っていた可いっていう話は……。

そこまで想像して頭を振る。別に気にする必要はない。山田さんが過去に何があろうと俺には関係ない。妙な好奇心なんて押し殺せ。

それよりもいい事を聞いた。人なら誰でも苦手かもしれないが、特に山田さんはしつこいタイプが苦手みたいだ。

俺自がそういうタイプだと思わせれば、山田さんが苦手意識を持って、俺から離れていくに違いない。

「ストーカーとかは確かに嫌だよね。でもストーカーほどではないけど、俺ってそのタイプかも」

「……え、」

山田さんの眉が顰められる。引き攣った表。こっちを向いたまま固まった。

「俺もシャートンが好きなんだけど、好きすぎて全部の曲にコメントしてるし、他のSNSの投稿とかも全部チェックしてるからさ」

他のSNSでは基本的に新曲の宣伝以外で呟くことはないが、それでも気になってちょくちょくチェックしている。

さらには今回の曲は好きすぎて3回ぐらいコメントを投稿してしまった。

以前そういった話を秀俊にしたときかなりドン引きしていたので、山田さんも同じ反応をするはず。

「……そんなにコメント投稿してるの?」

「そうだよ。ほら」

シャートンのコメント欄を開いて見せる。山田さんはじっと眺めてつぶやいた。

「もちもち大好きさん……」

「ああ、俺のアカウント名ね」

変な名前なのは自覚しているがやはり気になったらしい。

「全部の曲にコメントをくれてた人って神楽くんだったんだ」

「え? うん、そうだけど……」

どこかのこもった聲。あれ? おかしい。さっきまでドン引きしていたはずでは?

この畫面を見せれば、流石に避けるようになると思っていたのに。

「俺のアカウント知ってるの?」

「全部の曲のコメント欄に投稿している人がいるのは知ってたから。私はシャートンに対してコメントしないから覚えてた」

「そういうことね」

山田さんもかなりのファンなのは薄々じていたけど、そこまで把握していたとは。自分のアカウントが目立っていたのはしだけ恥ずかしい。

「別に、こういうのだったら全然良いと思うけど」

「いやいや。SNSチェックしちゃってるし、一つの曲ならまだしも全部の曲だよ? それに今流行ってる曲には3つぐらいコメントしてるし」

「だとしても、ちゃんとコメントに対してシャートンから返信が來てる。嫌がられてるなら返信しない」

「そ、そうだけど」

正直、山田さんが俺のコメントのことまで把握しているとは思わなかった。せいぜい全曲聴いているくらいかと。

「シャートンが返信を返す人はあまりいないし、それだけ気にられてるってこと、だと思う。元気を與えてるんだから、ストーカーとかとは違う」

「……そっか」

「うん。そう。変な事を言うからびっくりした。やっぱり神楽くんはいい人」

本に視線を落としながらも、ほのかに笑みが橫から見えた。

……どうしてこうなった。

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