《國民的歌手のクーデレとのフラグが丈夫すぎる〜距離を置いてるのに、なんで俺が助けたことになってるんだ!?》第26話 デレる山田さん

俺の計畫自は順調な、はずだった。

テストの1週間も終わり、あとは返卻を待って夏休みを迎えるのみ。

土日を挾んだことで、大の採點は終わったらしく、各授業で科目ごとのテストが返卻された。

今のところは順調で赤點はない。このままいけば、無事夏休みを迎えられるだろう。

テスト勉強をしていたときに気付いたことだけど、夏休みにシャートンのサイン會があり、それが補講と被っている。

選で當たる確率はかなり低いとはいえ、もし當たった場合に補講で行けないとなったら絶しかない。

おかげでテストへの真剣度はかなり上がった。

とりあえず今のところは問題はなさそう。あとは一番不安な數學だけど……。

「はい、次。神楽潤ー」

名前を呼ばれて席を立つ。並んだ機の間を抜けて前へと向かう。テスト用紙を持って立つ教壇の先生と目が合った。

「はい、これな」

「ありがとうございます」

軽く頭を下げて、紙面に目を落とす。パサついた口のせいで、唾を一口飲む。

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テストの一番上には76點と數字が載っていた。

(はぁ。よかったー)

飲み込んでいた息を吐ききり、顔を上げる。想像以上に點數がいい。これで無事夏休みだ。

軽くなった足取りで自分の席へと向かった。

「神楽くん、嬉しそう。そんなに良かったの?」

「え、あ、うん。そうだね」

席に戻ると、隣の席から聲が飛んできた。心臓が一瞬跳ねる。凜とした聲。山田さんだ。

いつぶりだろう。聲をかけてくるなんて。軽い挨拶と必要な會話以外最近はまったくなかった。それは狙い通りでもある。

ただ、実際に話してみると思った以上に懐かしくじられた。

「テストの點が良かったのもあるし、補講をけなくて済むことが確定したからね」

「……補講がサイン會と被ってるから?」

山田さんの口から出てきた言葉はあまりに強烈だった。

どうして知ってるのか。そしてシャートンの話題は避けてしいと言っていたはずの山田さんからシャートンについてれてくるなんて。

「えっと……なんで知ってるの?」

れていいのか迷い疑問をぶつけると、山田さんは視線を下げる。レンズの奧の瞳を左右に揺らして、それからゆっくり目線を戻す。

「……金曜日の放課後に教室で話してるの聞いちゃって」

「え?」

「もちろん、わざとじゃなくて、たまたま忘れを取りに戻ったら、市川くんたちとの會話が聞こえてきて」

「あー、そういうことね」

普通の聲で話していたつもりだったけれど、人気が減っていたので、廊下にも屆いていたのだろう。

山田さんは「勝手に聞いてごめんなさい」と頭を下げるので、軽く手を振って気にしていないことを伝える。

山田さん的には盜み聞きした罪悪があったみたいで、小さく息を吐いて強張っていた表し緩んだ。

「……」

僅かな沈黙が訪れる。山田さんは髪の先をくりくりと弄りながら、こちらを上目遣いで見る。

「その、こうやって話すの久しぶりだね」

「確かにそうだね。テスト勉強でずっと忙しかったしね」

「ずっと友達に聞いてたんでしょ?」

「うん、そうそう。分からないところは人に聞くのが一番だし」

市川達との會話が聞こえていたというなら、その辺りは伝わっているのだろう。別に隠すことでもないので、軽く頷く。

「私に聞いてくれてもよかったのに」

「いやー、山田さんの勉強時間を奪うのは申し訳なくてさ。あれだけ勉強を頑張ってるのに、何回も勉強のことを聞くのは迷かなって」

しだけ気まずく橫を向く。右手を頭の後ろに當てながら、遠くを見るようにクラスを見回す。

すると、くいっと服の端を引かれる。視線を戻すと、じっと見つめる上目遣いの山田さんと目が合う。

「別に迷とか思ってない。神楽くんと話せるのは、その、楽しいし」

頰を薄く桃に染めて、細い聲で呟く山田さん。弄る言い切ると口を引き結び、目を伏せる。

「そ、そうなんだ。でもさ、あんまり話してるとシャートンの話題とか不意に出ちゃうかも」

「別にいい。前に私が言ったことは取り消すから、気にしないで」

「え、いいの? 嫌じゃない?」

「ベタ褒めされるのは恥ずかしいけど、嫌じゃない」

ふりふりと首を振る山田さんと共に黒髪がさらさら揺れる。

「だから、々話したい。勉強だけじゃなくて、これまでみたいに他のことも。……だめ?」

小首を傾げてこっちを見る。不安そうに瞳が揺れる。ああ、まったく。どこか訴えるようなそんな視線を向けられて、斷れるわけがない。

「……ううん。全然いいよ」

「……よかった」

頷くとほんわりと山田さんの表が緩む。薄く浮かんだ笑み。華が舞うような微笑みはあまりに綺麗だ。

薄く頰を朱に染めてらかく溶けた表は、彼の喜び様を告げている。

當初の計畫では、テストが終わった後も二學期もこのまま距離を置き続ける予定だった。

接する機會が無くなれば、俺への関心は薄れるはず。そう思っていた。

けれど実際はどうだ。こんな嬉しそうな表を見せられれば俺でも分かる。明確に好度が上がっている。

……どうしてこうなった。順調に計畫は進んでいたはずなのに。

普通ならこのまま疎遠になって終わるはず。実際そういった経験は中學のときにあった。話さなくなれば距離は空き、離れていく。それが普通のはずだ。それなのに。

(……まあ、いいか)

山田さんの微笑みは見惚れるほどに可くて、この笑みを自分の都合で無下には出來ない。

それに自分自も山田さんと話すことを求めていたのかもしれない。

嬉しそうに表を緩める山田さんに、なぜか自分まで笑みが不意に零れた。

これにてテスト編完結です。どうでしたでしょうか?

面白かった方は、ぜひ想下さい(*・ω・)*_ _)ペコリ

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では次は夏休み編で。

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