《モテないキャ平社員の俺はミリオンセラー書籍化作家であることを隠したい! ~転勤先の事務所の3人がWEB作家で俺の大ファンらしく、俺に抱かれてもいいらしい、マジムリヤバイ!〜》29 悪役令嬢の後輩②

「はは……。九寶さんが本當に妹だったらよかったのに……って思うね」

「もう~、兄妹なんですから……葵ですってば」

「はいはい、兄妹はこれで終わりにしましょう」

「は~い。そういえばお兄ちゃんは1人っ子なんですよね?」

「ああ」

その通りです。

なので妹ヒロインも姉ヒロインも創作で書いてきました。抵抗はまったくございません。

「それにしてもこの店は九寶さんの家からし距離があるだろ? なんでまた」

「ここのコーヒーはとっても味わい深くて私好みなんですよ」

あら、俺と一緒だ。

やっぱりが繋がってるんじゃないのかな。

経験の無い俺は好きなアイドルとするより、家族になりたいと思ったりする。

姉とか妹とかだと頼ったり頼られたりするじゃん。家族の絆があるから別れたりもしないし!

現実は無視されたりするのかもしれないけど……。

というわけで九寶さんの兄になりたい。

「靜かでいい店だよねぇ」

でもそんな言葉を目の前の子に言うわけにはいかない。

ここでもし俺が妹呼びを強制でもして、それが作所長や仁科さんにバレたら……。

後輩のの子をお兄ちゃん呼びさせているパワハラクソ野郎ってことになってしまう。

それだけは避けないと……。

「ねぇ、お兄ちゃん」

「まだ続けるの……?」

「ふふ、わたしも一人っ子なのでお兄ちゃんがしかったんです」

「兄弟姉妹いたら大変らしいけど、俺達にとったら無いものねだりになるよなぁ。ああ、九寶さんはどうやってここまで來たんだ? 歩いて行ける距離じゃないよね」

「原付ですよ。わたしだって人してるんですから當然です」

深窓の令嬢っぽいこの子が原付って何か合わない……。

小さくてかわいらしいフォルムのコンパクトカーの方が似合ってる気がする。

「原付使ってまで來るわけだし、結構この店に通ってるんだ?」

「2週に1回は來てるかも。執筆の環境にとても良いのですよ」

九寶さんはスマホとBluetoothイヤホン見せた。

音楽を聴きながらのんびりスマホをポチポチってわけか。

よし、今度からここ使うのは止めよう。

「じゃあ今後は2週に1回は花村さんに會えるってことですよね?」

「えぇぇぇえええと……ソウダネ」

「ふふ、楽しみ」

もう來ないとは言えない雰囲気だぞ……。

毎回來る必要はないが、月1くらいには顔を出さないと「わたしのこと避けてるんですか……、お兄ちゃんひどい」って泣かれかねない。

良心が痛むし、それはそれで困る。

話題を変えよう!

「九寶さんは実家暮らしなんだよね?」

「はい、母と2人で暮らしてます」

「九寶さん、いいトコのお嬢様っぽいもんなぁ。いいトコに住んでそう」

「そう……見えますか」

今までにこりと微笑んでいた九寶さんの表がかすかに霞む。

聞かれたくなかったのか、それとも違う理由か……急な変化に戸う。

「花村さんは仁科さんや所長の過去のことを知っているんですよね?」

「総務や馴染のことかな?」

「そうです。なら……わたしのことも話しておかないとフェアじゃないですよね」

九寶さんはカップに一度口をつけて、さらに一度息を吸った。

「……わたし、実はそこそこ裕福な家庭の生まれだったんです」

九寶さんはらかで言葉も綺麗。

背筋はピンとしているし、コーヒーの飲み方だって上品だった。

そういうのも踏まえていいトコのお嬢様と評している。

だけど実際にだったと言うってことは過去の話ってことだ。

「そしてわたしは悪役令嬢だったのです」

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