「お、おはよう」

ストライプシャツとワイドパンツの組み合わせなんてどこでも見るものだと思うが、やはりファッションとは著る人に影響されるのだなとじる。

「おっきいね～！　花むっちゃん、そんなカッコイイ車持ってたんだ」

仁科さんがお邪魔します～と可らしく聲をかけて助手席に乗ってきた。

こ、これは夢ではなかろうか。俺の車にあの仁科(にしな)一葉(かずは)がいるんだぞ。

本社時代、彼を口説いて死した人は數知れず、そんな高嶺の花のの子が助手席に……。

「花むっちゃん、どうしたの？」

「あ、いや……。仁科さん、普段スーツ姿だからやっぱり見違えたというか」

「そ、そう？　普段著だよ。あたし、あまりこだわりとかないから似合ってないからなぁ」

「そんなことないよ！　すっごくかわいいよ！」

「え？」

言って気付く後悔。

集団の中で放つかわいいと今のような1対1で放つかわいいは大きく意味合いが変わってくる。

かわいいのは間違いないし、ずっと目にれていたいのも間違いないが……彼に不愉快な想いをさせる気はなかった。

恐る恐る仁科さんの表をちら見する。

「えへへ……そっか、嬉しいなぁ」

照れてるような嬉しいような口元が緩んだ表を浮かべていた。

不愉快な気持ちにはなっていないようだ。むしろ喜んでいるようにも見える。

そんな表がとてもっぽくて、思わず見つめてしまうと突然はっと気付いたような顔になる。

「ってもう、おせじなんか駄目！　これから所長や葵ちゃんが來るんだから！」

「おせじじゃないよ！」

「もっとかわいい子が來るんだから……だめなんです！」

「そ、そうか……。とりあえず次は所長の所だし、行こうか！」

「う、うん。運転お願いします」

何か微妙な雰囲気になってしまったが気を取り直して所長のところへ向かうとしよう。

5分ほど車を走らせて、し無言の區間が続く。

そんな時。

「乗り心地すごくいいね～。あたしの車は親からもらったミニバンだからガタが來てるんだよ」

「へぇ、そうなんだ」

「の子を橫に乗せてるのかな？」

「あはは、そんな風に見える？　この車にしてからは……家族を除けば仁科さんが最初かもしれないな」

東京にいる時は正直車は必要なかったし、購費、維持費が無駄だった。

しかし副業のおかげで金銭に余裕ができたおかげで今の車を購できたのだ。

つまり副業で土日缶詰になってることが多いので実際この車を使う機會はそう多くない。

「そうなんだ。何だか不思議なじだよねぇ。心地良いというか、ここで座ってるのが普通というか……」

「ああ、俺もそうじるよ。何だろう、彼を乗せたらそんなじになるのかな。あははは………は」

「……」

「……」

「ごめん」

「あたしこそ変なこと言ってごめん」

そりゃ、仁科さんみたいなの子が人で助手席に乗ってくれりゃ最高だけど、そんなラブコメみたいな展開は俺が書く創作ならありえても、俺自にはありえない。

あくまで同僚を乗せている。それだけに過ぎない

「でも」

「ん？」

「2人で何かしたいなって思うのは確かだよ」

「仁科さん？」

「花むっちゃんがご飯をってくれた時、今度はあたしが花むっちゃんをうって言ったじゃない」

「あ、ああ……そんなこともあったな」

仁科さんが嫌がらせでし心を痛めた時に晩ご飯にった時のことだ。あれからし時間は経っている。

「お互い忙しいからな。それか會社の懇親會にかこつけて所長や九寶さんと一緒に」

「あたしは！　2人で行きたいの」

運転中は前を向いていなければならないのに仁科さんが気になって集中できない。

ちら見するとしだけ頬が紅しているようにも見える。幻覚だろうか……。

「來月、夏休みだよね。花むっちゃんは浜山が実家だからここにいるんだよね」

「ああ、その予定だよ。仁科さんは東京に帰るよね」

「うん。さすがに親に顔見せないとだしね。でも……1日くらいは浜山で誰かと遊びたいなぁ……。遊んでくれる人いないかなぁ。あたし、こっちで友達出來てないの」

その言い方はずるくないか……。

そこで所長や九寶さんの名を出さない時點で意味ありげじゃないか……。

ラブコメのような鈍が許されるのは子供までだ。大人はどうしてもその思に気付き、思考を拗らせてしまう。

「じゃあ遊びに行く？　……みんな」

「2人でいこっか！」

「ハイ」

同期として友人としての単純に遊びにっているだけなのか、それともそれ以上の想いがあるのか。

多分駆け引きなんだと思うけど、絶的に俺はその経験値が足りていない。

學生のラブコメばっか書いてちゃだめだな……。

正直副業の件で夏休みは全部潰して、書籍執筆に充てる予定だったけど……。

「ふっふふーん」

機嫌良さそうに景を見る彼と一緒に過ごす日があってもいいなと思った。

まともにと遊んだことのない俺だけど、しはラブコメ主人公のようなことをしてもいいよな。

仁科さんと2人きりで過ごす夏休みの日はすでに執筆済です。

ちょっといい雰囲気になってるので先をお楽しみください。