《モテないキャ平社員の俺はミリオンセラー書籍化作家であることを隠したい! ~転勤先の事務所の3人がWEB作家で俺の大ファンらしく、俺に抱かれてもいいらしい、マジムリヤバイ!〜》81 (茜視點) 淺川さんと一緒に⑥

「完全に風邪ね」

「うぅ……せっかくの長期休みなのにぃ……」

雙子の妹の葵が風邪を引いた。

幸い、今は妹の勤める會社も夏季休暇期間なので問題ない。

38度手前で食もあるので……今日一日寢ればある程度回復するだろう。

「きょ、今日は花村さんとデートの約束が……」

「キャンセルしなさい。花村さんに移したらどうするの」

「でも、でも……」

「あなた、そんなに花村さんが好きだったの? そこまで面識ないでしょ」

「違うの! 違うの!」

葵は訴えた。

「花村さんとイチャイチャした寫真を仁科さんに送りつけて、嫉妬で歪んだ仁科さんの顔が見たいだけなのぉぉ!」

この子は歪んでる。

私と違っておかしな経験がないのにどうしてこうも歪んでしまったのか。

「だったら……お姉ちゃん、花村さんとデートしてきてよ」

「え!?」

妹に言われ、困する。

「花村さんって凄くガードが固いって仁科さんも言ってたし、多分今日逃すとチャンスがないと思うの! お姉ちゃんならバレないと思うし」

Advertisement

「バレるわよ! 中學まではよく間違えられたけど、それからはすぐに気付かれちゃったし」

多分髪型が原因だと思うけど……。

「お願い! 仁科さんからも花むっちゃんを宜しくお願いしますっていつも元気いっぱいに絵文字使ってくるのに珍しく絵文字なしの短文だけだったからきっとはまだ完全に自覚してないけど、心の奧深くでジェラシーをじているんだと思う。その想いを解き放ってあげたい!」

「あなたのわけわからない解析は何なのかしら」

私はぽんと妹の額にれる。

「はぁ……分かった。今日の今日でドタキャンの連絡れるのも失禮だし、私も暇だから代替で行くわ。ただし……変なことになっても知らないから」

「お姉ちゃん」

葵はし聲のトーンを変えた。

「こ(・)れ(・)が(・)お姉ちゃんの新しい出會いになればいいね」

「ありえないから」

そう、ありえないはずだった。

正直なんてもうこりごり……そう思ったからだ。

私は17歳の時に憧れの先輩と際し、2週間でフラれてしまった。

フラれた原因は先輩の馴染による略奪。何が際してあいつに好きだと言われて初めて自分の気持ちに気付いた……よ。

だったら初めから言ってほしかった。そうすれば失なんてことにはならなかったし。

あのもそう。付き合ってから本気出すって……私が完全に當て馬だったのだ。

またあんな目に合うくらいになら1人で生きた方がいい。幸い、一人で生き抜く力には長けている方だ。

即席ではあったが葵の格好をマネて、花村さんにお會いすることにした。

「今日はおい頂きありがとうございます」

私の知る花村さんの姿は仕事がほとんどだが、プライベートの彼は思う以上にきっちりされていた。

前に映畫を見に行った時は相當ラフな格好だったけど、髪も服も新調されたように綺麗にされていた。

車も最上級グレード、フォーレスさんってお給料いいのかしら。

てっきり葵が無理やりったから義理で來たのだと思っていたけど、実際葵のことを狙っていたのかしら。

どうだろう。フォーレスさんには作さん、仁科さん、九寶さんがいる。

作さんはもはや言う必要もない素晴らしい方。

この前の休日に子會という形で仁科さん、九寶さんにも出會ったがとても可らしい方々だった。

皆、彼氏はいないと聞いているから……花村さんが葵を狙う必要はないと思っていたけど……。

でも。

「淺川さん、車を用意してますのでお乗りください」

そうやって手を差しべてくれる花村さんの姿にドキリとする。

別に顔が良いってわけではないんだけど……花村さんの笑顔って結構ステキだと思う。私の好みなんだろうか。

仁科さんがSNS上で言ってた理由がよく分かった。

葵の代わりだけど、葵の分まで楽しもう。

そして花鳥園での出來事。

「あ、姉の作品はどうですか?」

「え?」

「わ、忘れてください」

「すごく好きです」

そんな言葉に変な聲が出てしまった。

彼が葵の難解な作品を褒めるものだから……私の作品も読んでくれているんじゃないかって淡い期待を持ったのだ。

返された言葉は予想以上だった。

「俺、茜さんの作品、すごく好きです。本は過去の経験かもしれませんが……そこから昇華して多彩なシチュエーションでを書けるのって才能だと思います」

嬉しかった。

私の書く馴染ざまぁの作品は好きだと言ってくれる人も多いけど、アンチが多いのも理解している。

某掲示板では叩かれるし、ダイレクトメールで嫌がらせの連絡をされたこともある。

私が別などを明かしてないってのもあるだろう。

ただ私は自分のを信じて、作品を投稿していた。

妹にすら病みすぎって言われるものを花村さんは好きだと言ってくれた。

それはネット上で言われる1000回の好きより、心に響いて、を熱くしてくれた。

「茜さんはしい」

そんなこと言われたら……顔がかぁって熱くなってしまう。

わざとじゃないかって思うくらい歯の浮くようなセリフ。

慣れした人だったらあきれかえってしまうのに……男を遠ざけていた私には強くに響く言葉だった。

それから何とか心を落ち著かせようと頑張った。

でもその度に花村さんは天然で攻めてきた。

寫真を撮る時だって、ちょっと寄るくらいでいいはずなのに思いっきり抱き寄せてくるし!

花村さんって結構板しっかりされてる……。

背も高いし……加點方式で人を評価するのであれば彼はとても良い男なのではないだろうか。

慣れしてなくて間接キスで戸う26のにも彼は笑わずにいてくれた。

そして……。

「段差があるので気をつけてください」

優しくしてくれる彼の気遣いが嬉しくて、高い段差を乗り越えるため足を持ち上げる。

「はい……あっ」

あれ、足が上がりきらない。

思った以上疲れてしまったようだ。……転びかけてしまう。

そう思ったけど、花村さんが優しく支えてくれた。

「俺が支えるんで一緒に行きましょう」

花村さんは力強い手でしっかり支えてくれていた。

「無理をしないでくださいね……エスコートさせてもらいますんで……」

「あの……花村さん」

私はそんな彼にどうしても聞きたかった。

「どうしてそんなに優しくしてくださるんですか? ……やはりあなたが営業で私が客だからでしょうか」

「そんなの、他ならぬ茜さんだからに決まってるじゃないですか」

やっぱり……彼は私が茜であることに気付いていたようだった。

そして……かつての思い出は蘇る。

2週間だけ付き合った彼氏。

プライドが高く、傲慢で……でもそんな強さが當時の私には魅力的に思えた。

あるとき……今日と同じように転びかけたことがある。

その時放たれた言葉は。

「おまえ、どんくさいな」

當時はその傲慢さも素敵だと思ったけど……今となっては反吐が出る。

私……何であんな元カレに執著していたんだろう。

目の前にいるこの人はこんなに優しくて素敵なのに……。

彼のような人が高校時代、側にいてしかった。今ならそう思う。

    人が読んでいる<モテない陰キャ平社員の俺はミリオンセラー書籍化作家であることを隠したい! ~転勤先の事務所の美女3人がWEB作家で俺の大ファンらしく、俺に抱かれてもいいらしい、マジムリヤバイ!〜>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください