《モテないキャ平社員の俺はミリオンセラー書籍化作家であることを隠したい! ~転勤先の事務所の3人がWEB作家で俺の大ファンらしく、俺に抱かれてもいいらしい、マジムリヤバイ!〜》83 淺川さんと一緒に⑧

うっかり茜さんの正を突き付けてしまった俺……。

心の中ではどうしよどうしよという不安が突き抜けてくる。

冷や汗まじりで言ってみる。

「初めからですよ。俺が茜さんと葵さんを間違えるわけないじゃないですか」

茜さんはびっくりしていたが、そのを見りゃ誰だって分かるだろう。もしかして気付いてないんだろうか……。

何回か著してそれが偽ではなく本っぽかったので茜さんなのは間違いない。

ただそれを突き付けるとジ・エンドなので何とかごまかすことができた。

できたはずなんだけど……。

「私との予定もまたれて頂けませんか?」

帰りの車で茜さんに言われた言葉、赤信號が青信號になっても驚いて進むことができなかった。

「え、茜さん?」

「今度は私からわせて頂きますね」

茜さんの希で駅の近くではなく、直接茜さんの住む実家へ送ることになった。

住所を知ってよかったのかと思ったけど、花村さんなら構いませんと言ってくださったのでお言葉に甘えた。

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「私……変われるかもしれません」

「茜さん」

「今日、花村さんとご一緒させて頂いたおかけでようやく先へ進めそうです」

どういうことかよく分からないので俺は生返事しかできない。

でも何か吹っ切れた様子の茜さんの笑顔はとても綺麗に思えた。

だから詳しく聞きたくなった。

「もし良ければ聞いてもいいですか?」

「ずっと高校の時の略奪が私の心を縛っていたんです。そして好きだった元カレが良いものだと思い込んでいた」

「……」

「今、思うと大したことのない男でした。顔は良かったですけど、オレ様タイプで……意地汚くて、釣った魚にエサを與えないタイプでした」

あー、そういうタイプいるよねぇ。

を手にれることに全力をれるタイプ。

高校生の茜さんの貌なら間違いなく學園トップだっただろうし、手にれたいと思うやり手の男は多かっただろう。

「今日、花村さんにエスコートして頂いたおかげで……男は人柄であることがよく分かりました」

「あはは……俺みたいな奴は世の中にいっぱいいますよ」

「そうかもしれません。でも私が出會ったのは花村さんだけですから」

「茜さん……」

「だから私は過去を振り切って、新しい出會いをむのです」

そうか。

茜さんが過去を振り切ったってことはもう馴染ざまぁを書かないってことか。

の執筆の原力がその怨み、憎しみだったのだ。それを振り切ることは創作すらも変わってしまう可能がある。

それは寂しいな。紅の葉のファンとしては……。

でも淺川茜を知ってしまうと違う道でも頑張ってほしいと思う。

「あ、ここです」

茜さんの家へ到著した。

ふー、でっかい一軒家。やっぱり茜さんっていいとこのお嬢様なのかもなぁ。

「今日はありがとうございました」

「いえいえ、俺も楽しかったです」

「あ、お姉ちゃん!」

その聲は雙子の妹の葵さんだった。

あぁ、やっぱり本はすぐ分かるな。

「やっぱりバレちゃったわ」

「いや、バレるでしょ。の大きさが全然違うんだから」

「あっ……花村さんまさか!」

茜さんの驚いた聲に視線を合わせることができなかった。ってか妹は分かってて、姉は分かってなかったのか。

葵さんがこちらにやってくる。

「花村さん、今日はすみませんでした」

「いえいえ、調は良くなったようですね、良かったです」

調管理をしっかりしないといけませんねぇ。頑張り過ぎちゃいました」

「そんなに大変なことあったんですか?」

「いやぁ、休みだからって、慧可斷臂(えかだんぴ)を食事も取らずに24時間書き続けたらフラフラになっちゃって」

すっげー創作意

尊敬するわ。何文字くらい書いたんだ……この人。

「あはは、例のオムライスもお持ち帰りで買ってきたので良かったら食べてください。冷めちゃいましたけど」

「あ、ありがとうございます~。やっぱ花村さんはいい人ですね」

「いえいえ、Y社でのこと、葵さんにはかなりお世話になりましたから。今度改めて禮にわせてください」

「はい! 私と花村さんがイチャイチャしてる所を撮って、仁科さんに送らないとダメですからね!」

「あはは……マジっすか」

「あ、ところで」

「葵! 花村さんはお疲れだから!」

茜さんがちょっと顔を険しくしていた。

「どうしたのお姉ちゃん。そんなに慌てて」

「慌ててない。そ、その……花村さん、改めて今日はありがとうございました。盆明けにウチの部署にフィルターの納品がありますよね?」

「はい、俺が向かう予定です」

「よ、よろしければ……お晝を一緒にどうですか? 今日のことでもうちょっとだけお話したくて……」

「いいですよ。俺でよければ……って葵さん、どうしてそんな驚いた顔をしてるんですか」

「お、お、お、お姉ちゃんがデレた! 落とされた!」

「ちょ、葵!」

「おかーさん! お姉ちゃんがね、お姉ちゃんがねええええええ!」

「この愚妹! で、では……安全にお帰り下さい! ありがとうございました!」

茜さんは荷を摑んで、葵さんを追って家にってしまった。

なんて騒がしい……姉妹なんだ。

仕事の時は二人ともきりっとしてるのになぁ……。

これが本來の彼達の姿なんだろう。俺がお米炊子という本を隠して、仕事をしているのと同じなのかもな。

でも、今日は楽しかったな。

◇◇◇

家に帰ってまったり過ごしていた俺はスマホを眺める。

途中で茜さんとラインのIDを換したっけ。

禮を言っておくかな。

「あ、紅の葉さん更新してる」

帰って即行作品を書いたのか。

妹もそうだが、姉の意もすげーな。

迷いを振り切った彼のことだ。

きっと所長と同じようにに溢れた作品になっているのだろう。

俺はその作品をクリックした。

「【馴染は俺のことが好きらしいがツンデレが慘くて腹が立つので徹底的に泣かせることにしました】」

うん、変わってねぇじゃねぇか!

思わず茜さんにラインで今日の禮と新しい出會いをんだんじゃなかったのかと聞くと。

「ふふ、元カレの件は吹っ切れましたが、私から略奪したクソ馴染の怨みは別なので……私は一生馴染ざまぁを書き続けますよ」

そんなことがテンション高めに返信が來た。

あはは……やっぱ茜さんってすげーわ。

俺の知っているWEB作家はどいつこいつも癖が強いらしい。

いつも読んで頂きありがとうございます。

ちょっと時間がなくて想の返信が滯っておりますが全て確認しています。

すごく勵みになっていて、書く気力になっておりますので是非ともこれからも宜しくお願いします。

次回から姉さんと呼ばれたくて① 所長編の開始となります!

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