「あ……」

周囲を見れば俺と九寶さんのように著したカップル達が空へ上がる花火を見ていた。

つまり俺は他のカップル達と同じように見られてることだろう。

「……花村さん」

暗闇なのに至近距離ゆえに九寶さんの様子がよく分かる。

若々しく整った顔立ちは本當にしく……若干照れているのか目が泳いでいる所がたまらなくかわいらしい。

その顔立ちと鎖骨あたりを流れる汗から視線を外すことはできない。

俺自も戸っていた。どうしたらいいか分からなかった。

真夏の夜は暑い。正直汗ばんでくる。

九寶さんの背中に手でれた。びくっと震えたが……構わずにれた。

抱き寄せ方としてはおそらく下手くそな部類だろう。だけど……それが今の俺の一杯だった。

俺達は花火の間、ほぼ無言だった。

俺は花火に視線をやっていたが、正直な所ほとんど見ていなかった。

いたたまれなくなり、首を戻すととっても可く困った顔している九寶さんの様子にドキリとし、自然と視線が下になってついつい元へ行ってしまう。

ごめんな、男は元が大好きなんよ。

そのローテーションのまま……花火は終盤となった。

ここから10分ほど休憩があり、クライマックスはやってくる。

今しかない。

「九寶さん……移しようか」

「……はい」

今度は応じてくれた。

九寶さんの手を引っ張ってゆっくりと丘の方へ向かうランニングコースを上がっていく。

俺の脳はこの後、どうしようという言葉でいっぱいだった。

何を言えばいいのか、どうすれば円満にこの夏祭りを終わらせられるか……それだけが頭に殘っていた。

歩くスピードが遅いので丘へ上がるまでにクライマックスの花火がやってくる。

何発も何発も空へと花火が打ち上がり、空を見上げればたくさんので目映いのに俺は下を向いて手を繋いで歩く後ろの子のことをずっと考えてしまっていた。

そうして丘のてっぺんについた時、花火はちょうど終わってしまったのだ。

「一応は間に合ったのかな」

到著した瞬間に一番最後の大きな花火が見えたので目的は達したと言える。

なおも九寶さんは無言だった。

彼が何かを言わなければ先へ進むことはできない。

時間だけが無駄に過ぎ、花火を見た客は続々と丘から下がっていく。

わずかにしか殘っていない人の中……尚も無言を貫いてる。

さすがにもう限界だ。

「九」

「花村さん」

それは同時だった。

「お願いがあります」

九寶さんはまっすぐ俺の方を向く。

「……ここのランニングコースを一周して頂けませんか」

わけもわからず理由を聞いたがお願いしますと言うだけ……。

彼は理由もなくこのような問いをする子じゃない。不可解に思いつつランニングコースを歩くことにした。

昔と違い、ゆっくりとしたペースでランニングコースを歩いて行く。

……懐かしい。大學の時は毎日ここを走っていたっけ。

毎日毎日走るおかげで……この自然公園を使うご老人や業者さんと知り合うが増えたんだよな。

そしてさっきの丘の上にはベンチがあっていつもそこで本を読んでいた……文學がいたことを思い出す。

あの子もかわいいの子だったよな……。

俺は過去を思いつつ、し足を速めてランニングコースを1周するのであった。

葵編にってから想がなくなり、満足いく話を出せなくなっているかなと不安になってきています。

最後まで書き切るため、まだ応援頂けるのであればがんばれの一言でいいので言ってくだしゃい！

作者のやる気上げてぇぇぇ！