《モテないキャ平社員の俺はミリオンセラー書籍化作家であることを隠したい! ~転勤先の事務所の3人がWEB作家で俺の大ファンらしく、俺に抱かれてもいいらしい、マジムリヤバイ!〜》159 人と休日を過ごそう
「よーし、そろそろ出ようかな」
所員全員同じマンションに住むようになり、仕事以外でも一葉、姉さん、葵と関わることが増えてきた。
日曜日は基本的に執筆のお仕事は完全休みとしている。
現在姉さんが引っ越してきた803號室で姉さんと葵が住んでいるわけだが、日曜日までちょっかいかけてくることはない。
姉さんだって自分のやるべきことがあるので日曜日はそれをこなすし、葵だって母親と元々は2人暮らししていたのでそちらの様子を見にいかないといけない。
俺も暇だったらWEB更新をやるけど、予定があったらそっちを優先する。
例えば最の彼とデートだったりね。
そう、今日は一葉と2人きりのデートを行う日である。
このデート、所長と葵にはなるべくバレたくない。
バレたら邪魔されるってのもあるけど、速攻SNSのグループ間で共有されるのが一番面倒くさい。
月曜日にY社の葵さんと會うんだよな。バレたら確実につっこまれて、掘り葉掘り聞かれる。
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そして一葉はS社の茜さんにこれまた聞かれる。
なので俺も一葉も2人にバレないように別々で家から出て、駅の待ち合わせ場所で合流するのだ。
「うん?」
一葉は一度自分の家に寄ってから行くって言っていたから時間がかかると思ったけど、待ち合わせ場所にはすでに一葉が來ていた。
周囲には3人くらいの男に聲をかけられて困った顔をしている。
あーー、そういうことね。
俺は軽やかに一葉の手を繋ぐ。
「一葉」
「あ、ひーくん」
「俺の一葉に何か用ですか?」
男達がたじろぐ。
やっぱりナンパ目的か。
「それでは失禮」
一葉の手を引っ張って、そのまま駅から抜け出す。
「ひーくん」
「ん?」
「手を繋ぐならこれがいいかなぁ」
一葉は手を外し、俺の腕に両手をまわす。
これは人あるあるの繋ぎ方だ。
うーん、俺もできるようになったんだなぁ。
「やっぱナンパだった?」
「そそ、彼氏と待ち合わせしてるので無理ですって言ったんだけどしつこくて」
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「一葉かわいいもんな。慣れっこじゃないの?」
「複數人は怖いよ。見知らぬ人が助けてくれるわけじゃないし」
「そうか……。ごめん、遅くなって申し訳ない」
「ふっふーん。怖かった分してくれたらいいよ」
一葉はぐっと俺の腕にしがみつく。
一葉の溫が伝わるような気がして、さらに好きになってしまいそうだ。
しかしナンパか。
「スクールラブコメとかだったらさ。釣り合ってねーじゃんとかよく言われるよな。俺の作品でも出したことあるし」
「ああ、お家蕓みたいなシチェーションだよね」
「でも今まで一葉と一緒に出かける事はあっても実際言われることないよな」
「まー、あたし達は社會人だしね。學生時代なら容姿の格差ってあると思うけど、大人になったら容姿よりも社會的地位の方がステータスになると思うよ」
「うぅ……俺、ただの一般平社員なんだけどな」
「おい、ミリオンセラー作家のお米炊子」
一葉に言われてその社會的地位を思い出す。
「逆にひーくんがお米炊子のステータス持ってるせいであたしがそれにむらがるメスみたいな扱いになっちゃう」
「そっか、そういうのも考えられるのか」
「もし……ひーくんの同業の先生とかに會ったら絶対そう思われると思うし」
一葉は正直、今まで會ったの中でとびっきり可くてスタイル良いの子だ。
じゃなきゃ同期の半分以上がをすることにならなかった思うし。
俺がお米炊子の地位を使って一葉を手にれたと思われるんだろうな。
「でもさ」
「へ?」
「誰にどう思われても正直構わないよ。俺、一葉が大好きだし、一葉も俺を想ってくれてるんだよね?」
「とーぜん! もうひーくん以外の男に興味はありません」
「そうだね、それだったら」
「でもひーくんはあたし以外のの子も大好きです」
「ぐほっ!」
「ま、あたしが一番。それは絶対なんだから」
俺は生涯、一葉に敵わないんだろうなと思う。
でも生涯で一番、本気で好きになった子だから……いっぱいしていきたい、そう思った。
それから映畫に行ったり、ショッピングしたり……ちょっと休憩しながらたっぷり汗を流して、ディナーを楽しむ。
「ここって……」
一葉のその場所にびっくりする。
夕食の場所は知らせていなかった。正直びっくりさせたかったってのもある。
エレベータに乗りどんどんと空中を上がっていく。
ここはとあるホテルの高階層。
40階のスカイレストラン。
學生なんかじゃとてもじゃないけど行けないような場所だ。
予約必須で……諭吉が何枚か飛んでいく。
「ひーくん、もしかして……」
一葉がし照れた様子で聲をかけてきた。
俺はぐっと拳を上げる。
「一葉と2人ならこういう店もいける! スカイレストランを経験に小説の執筆能力を上げるんだ!」
「……」
「あれ?」
「ひーくん、減點です」
「減點ってなんだ!?」
ウェイターさんに案され、俺と一葉は席に通される。
「結構高そうなお店だけど……大丈夫?」
「俺にはここの客全員分払うだけの金があるよ」
「ひーくんが大金持ちってことたまに忘れるね」
葵が家事代行してくれるまでまともなもん食ってなかったからな。
正直俺にはない。車とか生活必需品に金をかければいいと思ってる。
執筆忙しくて娯楽の暇ないし……。
服とかも正直無頓著だし……。
でも最近一葉がそのあたりしっかりしてくれるんだよな。
下著とかもほぼ新調するようになった。
元々一葉も結構無頓著な方だったけど、葵や姉さんに俺のの回りのことで結構言われていて、頑張ってるらしい。
一葉は負けん気が強いから人役を変わってあげようかみたいなこと言われてるんだろうな。
そんな頑張る一葉にプレゼントをしてあげたい。
「もし一葉がしいものあれば……何でも買ってあげるよ」
「うーーん、あたしもそこまである方じゃないしね……。どっちかというと倹約家の方だし」
「一葉は給料を何に使ってるんだ?」
「料理が趣味だから調理用にはお金かけてるよ。ひーくんの家にも移させてるしね」
「ああ、包丁とか良いの使ってたもんな」
「だったら所長の方が大きそう。ブランドいっぱい持ってるし。たまにあなたこれ著なさいって渡されるんだよ」
「でも所長ってどっちかというと自分で買うタイプだろうね。」
「葵ちゃんは……。どうだろう」
「まず借金を返済する所からだな」
「葵ちゃんの借金の返済の目処は立っているんでしょうか。癖大好きお米先生」
「勘弁してください……」
葵がすごい勢いで借金が減ってるって言ってたからな……。
1回、1萬円は高すぎたかもしれない。
今度は何して遊ぼうかな……。
今回頼んだのはコース料理だ。
1人あたり諭吉が何枚か飛んでいくお高いコース。
「味しいねぇ」
そう、今日プロポーズするつもりはさすがになかったけど、雰囲気だけはつかんでおきたかった。
一葉とは、結婚前提のお付き合いとしているが結婚までは最低1年は間を空けようと思っている。
今、現在一葉の仕事が結構ハードなのが理由の1つ。そして俺のお米炊子としての仕事はまだまだ多いこと。
あと同棲を始めたことでお互いの価値観なども分かるということである。
どんなに始まりが好きでし合っていたとしても時間は無だと思う。
だから1年ゆっくり仲を深めて、機會を設けて……結婚を申し込みたい。
なくともの相は最高なので、第一関門は突破出來ている。
「こんな味しいの食べたの初めてかも。お酒もすごく味しいし」
「また來ようか?」
「でも肩肘張りそうだから……お祝い事の時だけの方がいいかな」
「ま、それはあるよな」
「それに……ひーくんがあまりこういうのに慣れちゃうと」
「うん」
「金目當てのが寄ってくるからひーくんは部屋で執筆してた方がいいよ」
「ひどいもんだ」
でも案外それが一番なんだろう。
お金と名譽をちらつかせるとそれ相応の人がやってくる。
今、最高の彼がいるんだったら小さく平和にやった方がお互いのためになる。
だからこの食事も靜かに俺と一葉の心のだけにしたい。
「お客様、サービスのワインをお持ちしました」
「ありがとうございます」
ウェイターさんがワインを持ってきた。
「お客様、もう一本こちらを……」
ちょっと混してる別のウェイターさんがドリンクを持ってくる。
なんだこれって言いたくなるカップル用ドリンクだった。
「これ」
「あ、あちらのお客様からのサービスだそうです」
嫌な予がし、そちらに視線を向けると。
真顔の茜さんと俺達ににこにこ手を振る葵さんの姿があった。
「うわぁ」「うわぁ」
俺と一葉の聲が重なった瞬間だ。
◇◇◇
「2人とも何をしてるんですか」
「お姉ちゃんとデートに決まってるじゃないですか」
「はい、妹とデートです。11月に好きな人にフラれた傷がまだ癒えないので……」
もうそれから3ヶ月経ってるんですが……って言いたいけど、フったのが俺なので何とも言えない。
結局知り合いってことで4人席に変えてもらった。
2人席のままでもよかったんだけど、ずっと見てくるんだよな、この2人。
「あの~、茜さん、葵さん」
一葉はおそるおそる2人聞く。
「お願いします! 所長と葵ちゃん」
「あ、お姉ちゃんが速攻SNSにバラしてたので無駄ですよぉ」
慌てて一葉はスマホを開くが……がっくりしたのでそれが真実と知る。
そして。
「いらっしゃいませ」
嫌な予し、口の方を向くと姉さんと葵が抜け駆けはだめよと言わんばかりにやってきたのだ。
……2人きりのデートはここで終わる。
6人楽しくお喋りをしたのであった。
今はこんなじでいいのかもしれない。
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