《包帯の下の君は誰よりも可い 〜いじめられてた包帯を助けたら包帯の下はで、そんな彼からえっちで甘々に迫られる高校生活が始まります〜》第6話、思い出の場所へ③

ユキと二人の水族館。

初めに目にしたのは風の風景というコーナーで、並んでいる7つの水槽にはサンゴ礁や砂浜、磯や干潟などを再現した海岸線の風景が展示されている。ユキはサンゴ礁の水槽の前で立ち止まって、とりどりのサンゴ礁や寶石のように綺麗な魚達が泳ぐ様子を眺めていた。

「とっても綺麗ですね。それにすっごく可い」

「そうだな。小さな魚がいっぱいいる。黃だったり縞々だったり本當に綺麗だよなあ」

「サンゴも凄いですよね。んな形をしています。ほら見て下さい、あの魚。サンゴの間から顔だけ出しています」

「恥ずかしがり屋なんだろうな。同じ魚でもみんなそれぞれ違う格なのかも」

展示された水槽を楽しみながら、俺とユキは水族館の更に先へ進んでいった。

らしいペンギン達が見れる散歩道。水の張られたプールの上を悠々と泳ぐペンギンの姿を見つめながらユキは楽しそうな聲を上げる。ユキはペンギン達に手を振るが、群れの中の一匹がそれを見て首を傾げる仕草をした時は思わず笑ってしまった。

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そして俺達は階段を降りて行って水族館の目玉である大水槽に辿り著く。

大自然をじさせるその様子に息を呑んだ。數え切れない程の魚の群れが青で染まった世界で踴っている、銀の魚達が輝いていた。大きなエイなどが泳ぎ回る様子を見て、まるでファンタジーの世界に迷い込んでしまったようにもじていた。

それから二人で大水槽を下から眺める事が出來るアーチ狀のトンネルになった通路を進んだ。

日差しを浴びて煌めく水面、しい魚達、青に染まった世界。ここは本當に素敵な場所だ。そしてその素敵な場所に、數年前のあの時のようにユキと一緒に居られる事が幸せだった。

あの時も包帯の下の彼の青い瞳はきらきらと輝いていたのを覚えている。今も同じだ、彼の優しい瞳は星のように瞬いていて、そしてそれが何よりもしく思えた。

「綺麗ですね」

「ああ、ユキ。本當に綺麗だ」

俺はユキを見つめながら、

ユキは水槽に広がる壯大な景を見上げながら、

俺達は互いの手をぎゅっと握りしめる。

にアナウンスが流れる。

それはイルカショーを始める事を來場者に告げていた。

「晴くん、イルカショーですよ。見に行きましょう」

「イルカショーを見るなんて數年ぶりだ、楽しみだな」

俺とユキはアーチ狀のトンネルを抜けてイルカショーの會場へと向かっていった。階段を登って一階に戻り、屋外に作られたドルフィンスタジアムという名の施設に到著する。

既に多くの人達が集まっていた。これから始まるイルカのショーが待ちきれないとはしゃぐ子供達とそれを微笑ましく見守る父親と母親の姿。俺達はそんな家族連れの橫を抜けて、空いていた席に座った。

ショーが始まる。

飼育員と共に現れるイルカの姿に歓聲が上がる。會場には楽しげな音楽が鳴り始めた。

飼育員がイルカの上に乗って水上スキーを披するところからショーが始まって、飼育員が乗る何匹ものイルカが同時に水面から大きく飛び上がった。音楽に合わせるよう泳ぎ回るイルカ達。水面を飛び跳ねながらくるくると回ったり、大きなっかをくぐって見せたり、フラフープを上手に回す可らしいイルカ達。その演技が披される度に観客は大きな拍手を響かせた。

そして俺の隣でユキはイルカのショーを楽しんでいる。

泳ぎ回るイルカ達の姿を見つめて子供のように喜ぶユキ。そんな彼の姿に俺は思わず笑みを浮かべてしまう。イルカショーを純粋に楽しむ彼は本當に可らしくて、ユキと一緒に居ると退屈しない、心の底から楽しいと思えた。

包帯を巻いたユキとの記憶が鮮明に思い浮かぶ。

俺はこの景が好きだった。何よりも大好きだった。

俺が水族館を好きな理由は、輝く魚達の姿、広がる青い世界、可らしい、そしてイルカ達のショーじゃなかった。

ユキの楽しむ姿を見る為だった。この楽しい時間を、この気持ちを共有出來る事、一緒に居られる事が何よりも幸せだったから、俺は母さんに頼んで何度もここにユキと連れてきてもらったんだ。

俺はそれを思い出す。

またユキと何度もここに來たいと思いながら隣を見つめた。

「は、晴くん?」

「ユキ、どうした?」

「いえ……。イルカショーそっちのけで、ずっとあたしの事を見ているので……その」

「あ、すまない。ついな」

白い頬にほのかな朱を差し込みながら、ちらりちらりとこちらを見るユキ。もじもじと指先を絡めている様子はまるで小のようだ。高校生になってから大人びた雰囲気を見せるようになったユキ、そんな彼がこうして恥ずかしがる姿はとても可らくして、思わず頭をででしまいたくなる。

會場には拍手が鳴り響いていた。

どうやらイルカショーが無事に終わったらしい。

「イルカショーも終わったみたいだし次に行くか」

「そろそろお晝の時間になりそうですし、ご飯を食べに行きませんか?」

「そうだな。俺もお腹が空いたよ、ユキの作ってくれた弁當が楽しみだ」

水族館のコーナーは殆ど見終わった。

ユキと弁當を食べるのは別の場所に移してからと決めてある。今日は良い機會だしユキと々な所に行って遊びたいと思っていた。

「その前にお土産を買っていくのも忘れないようにしないとですね」

「ああ。母さんが好きなお菓子でも買っていこう」

俺とユキは手を繋いだまま、イルカショーの會場から移を始める。

最後にミュージアムショップで買いを済ませ楽しかった水族館を後にした。

次の目的地に向かうにはまたバスを使う事になる。

ユキが行きたいと言っているのは小さな公園だった。

そう、そこは俺がユキと仲良くなったきっかけの場所。

いじめられていたユキに手を差しべた、あの公園だった。

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