《包帯の下の君は誰よりも可い 〜いじめられてた包帯を助けたら包帯の下はで、そんな彼からえっちで甘々に迫られる高校生活が始まります〜》第10話、秋奈からの紹介④
四人で集まって楽しく會話をして、お晝も食べ終えて良い頃合いだった。
最後にこのファミレスでおすすめだというパフェを頼んで、それが來るのを俺達は待っている。
ユキも立夏とスマホで連絡先を換し、これからも仲良くしようという話で落ち著いた。その後は立夏がユキを連れて鏡のある所に行こうとって二人で席を立っている。
今は秋奈と二人きり。
向かい合って座る秋奈は窓の外を眺めていた。
「晴、パフェが屆いて食べ終えたら今日はお開きだけれど。どうだい、楽しかったかい?」
「ああ。小鳥遊さんって元気のあるタイプで話も面白かったし、こうやってファミレスで味しいものもご馳走してもらえたしな」
「そうか、それなら良かったよ」
「でも今日はユキと小鳥遊さんが仲良くする場を作るって話だったけど、俺が居ても大丈夫だったか? 邪魔になっていなかったら良いんだけど」
「邪魔だなんてとんでもない。キミが居てくれたからこそ、話も綺麗にまとまったというものさ」
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「ただ座って話を聞いていただけな気がするけどな」
「居るだけで良いのさ。ボクと白鳩さんは実際のところ、そこまで親しい間じゃない。彼は立夏とも初対面になる。キミが居るおかげで白鳩さんも楽しかったようだしね、とてもありがたかったよ」
「秋奈がそう言ってくれるなら俺も來て良かったな」
そうやって話をしていると店員が三人分のパフェとアイスコーヒーを持ってくる。アイスクリームの上にチョコレートクリームがふんだんにかかった味しそうなパフェは、俺とユキと秋奈の分で、アイスコーヒーは甘いものが苦手な立夏の分だ。
そのパフェを見つめる秋奈の瞳が分厚い眼鏡のレンズ越しに輝いて見えた。
「秋奈は甘いものが好きなのか?」
「こう見えても甘いものには目がなくてね。立夏と食事をする時はいつも頼んでいる」
「へえ。俺も甘いものには目がないからさ。以前に秋奈が俺の事を似た者同士って言ってたけど、こういう所も似ているよな」
「そ、そうだね……キミがフルーツパフェよりチョコレートパフェが好き、というなら尚更にそうかもしれないけど、どうなんだろう?」
「お、一緒だな。俺もフルーツパフェよりチョコパフェが好きだ」
「キミもチョコパフェが好き、か」
秋奈は大きく深呼吸をした後、メガネをかけた真紅の瞳は俺の方を見つめていた。
「じ、実はさ……今日、立夏には白鳩さんをうだけ――って話をされていたんだ」
「ん? 初めは俺が呼ばれる予定はなかったのか?」
「あ、ああ。けれど、その……ボクが頼んだんだよ、白鳩さんと會うなら晴も居た方が良いって」
「さっき話してたな。俺が居ると話が綺麗にまとまるから、ってそう思ってくれてたんだろ」
「それもあるけど……その、休日にキミと會って話をする機會って、今まで一度もなかったろう? だから……折角の機會だからと思ってさ。キミを呼んだ理由はそっちの方なんだ」
「確かに秋奈とは知り合ってから休日に外で出かけて遊ぶ、ってのはなかったな」
「だろう。だからその、キミと遊ぶ事になって初めてで嬉しくてね。でもその……今日、何を著ていくかずっと悩んでいたんだけど、それが上手く決められなくて。はは……けない話だが地味で無難な服を選んでしまったよ」
そう言いながら秋奈は著ている暗めの服に視線を落とした。
「立夏にはもっとふりふりした可くて……明るめの綺麗な服とか、もっとミニなスカートとか勧められたんだけどね。髪型も変えてみたらとか……メガネももっと可いのにしたらとか、でもその結局は何一つ駄目で……」
秋奈は大きくため息をつく。
「白鳩さんは私服姿も可くて……シャンプーとかんな事に気を遣ってて凄いなって。手だって好きな人が褒めてくれるから頑張ってると言っていた。それに比べてボクは本當に、どうしようもない奴だなって思えてさ……」
彼は自分の手を見つめながら視線を落とす。
「キミはやっぱり……綺麗な子のほうが好きだよね。ボクみたいに……地味でこんな見た目な子は、興味はないっていうか……」
「まあ綺麗な見た目のほうが好かれるのは良くある話だよな」
「だ、だよね……はは、ボクってば當たり前な話をしてしまっているね。ごめん、この話はもう――」
「――でも俺にとって人の見た目、っていうのは二の次かな」
「え?」
俺の言葉に秋奈は顔を上げた。
「俺とユキが仲良くなったのにも見た目は関係なかったぞ。結果的にユキが可い子だった、ってだけで。俺が一番に思っているのは面だ」
「一番に思っているのは……面……」
「ああ。秋奈は知らないだろうけど、俺が小學生の頃にユキと仲良くなった時、実はユキの顔を見たことがなかったんだ。ユキがあんなに可い子だって知ったのは、高校の學式の日さ」
「ど、どうしてだい? 顔を知らなかったって……」
「ユキは小さい頃々あったんだ、詳しくは言えないんだけど。ともかく俺は素顔も知らないユキの面を知ってもっと仲良くなろうって思った。秋奈の場合も一緒だよ、席が隣になって秋奈が話しかけてくれたのをきっかけにそれから仲良くなった。でも秋奈の見た目がどうとかを第一に思った事はないな。お前はいつも俺に優しくしてくれるし、そういう所を見て知ってもっと仲良くなりたいと思ったわけだし」
「じゃあキミは……とにかくボクの面を評価してくれて……」
「そういう事。それに今の服裝だって秋奈がずっと悩み抜いた上で選んだものなんだろ? そうやって頑張って選んだものを馬鹿にするような格でもないし、それは秋奈も俺と仲良くなって分かっているものかと思ってたけどな」
「……そ、そうだね、キミはそういう格だ。それを知っていたはずなのに……どうやらボクは今日になって大切な事を勘違いしてしまっていたらしい。白鳩さんがあまりに綺麗すぎて、キミと並ぶ姿を見て、大きな勘違いをしてしまっていたようだ」
秋奈は分厚いレンズ越しに、俺をじっと見つめる。
「やっぱりキミは他の男の子とは違うんだね。キミ以外の男子はボクの事をブスとかブサイクだって馬鹿にするばかりで、それ以上は口を聞いてくれもしないけど……キミだけは違う。人の面を見て大切にしようって思ってくれている」
「だから見た目なんて気にするなって。俺達、友達だろ?」
「そうだね……友達だ。キミは本當に素敵な人だ。でも、だからこそもっと頑張ろうって思えてきたよ。キミは白鳩さんの面を知って仲良くなろうとした。その上で……白鳩さんは外見だってとっても可らしい。ボクの事も面を見て仲良くなろうって思ってくれたなら、そこまでは一緒なんだ。…一歩前に進むためには……ボクも白鳩さんのようにならなきゃなんだ」
「ユキみたいにならなきゃ……って、秋奈?」
秋奈は立ち上がる。
「決めたよ、晴。ボクは今のままじゃ駄目なんだ。もっともっと良くならないと絶対に勝てない。だからボクも頑張るよ。見ていてしい、ボクが変わっていく所を」
「あ、ああ。何だかやる気になってもらえたみたいで嬉しいぞ、俺も」
秋奈は椅子に座るとテーブルに置かれたスプーンへと手をばす。
「ずっと悩んでいたのが恥ずかしくなってきたよ。キミに打ち明けて気が楽になって、なんだかお腹が空いてきたみたいだ」
「ユキと立夏、まだ戻ってこないみたいだし先に食べても良いんじゃないか」
「そうだね。じゃあ先にこっそりと食べさせてもらうよ」
彼はそれから上機嫌な様子でパフェを口へと運んでいく。
こうして學校の外で秋奈と二人きりになるのは初めての事。
新鮮な気持ちになりながら、秋奈が味しそうにパフェを食べる様子を眺めていた。
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