《包帯の下の君は誰よりも可い 〜いじめられてた包帯を助けたら包帯の下はで、そんな彼からえっちで甘々に迫られる高校生活が始まります〜》第1話、文化祭準備③
ユキは毎日夜遅くまで準備をしていた。
生徒會の出しの準備で疲れて帰ってくるユキの様子を見ると、よほど大変な容なのだと思う。
そうして疲れたユキの為に味しい料理を作ろうと闘していて、ちょっとずつだが料理の腕前も上達しているような気がする。掃除や洗濯も今まではユキに任せっきりだったが、自分でやるようになるとそのありがたみがよく分かるというものだ。
毎日綺麗に洗濯を畳んでくれたり、掃除だってこんなに大変なんだなって。朝だけは変わらずユキが起こしてくれて弁當も作ってくれているが、夜は俺が家事をする番だ。帰ってきてからの家事を通してユキが喜んでくれる姿を見ると俺も嬉しくなるし、もっともっとユキに謝すべきだろうなと思うようになっていた。
そして俺達のクラスも文化祭に向けて準備が始まっている。
うちのクラスの出しはバルーンアートの展示なので、とにかく大量の風船が必要だった。
作業の最中にユキも秋奈も居ないとなると話す相手もおらず、周囲の談笑を聞きながら一人で教室の隅で黙々と風船を膨らませ続けるのは退屈だった。
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退屈な文化祭の準備を終えて早足にマンションへと帰る。
玄関にはユキの靴が置いてあった。いつもなら外が真っ暗になってから帰ってくるのだが、今日はいつもより早く準備が終わったらしい。
ただいまーと聲を上げながら靴をぐがユキの返事はない。
どうしてユキの返事がなかったのか、リビングに著いてそこで気が付いた。
ソファーの上で橫になって、ぐっすりと眠っているユキの姿があった。
「なんだ、寢ちゃってたのか」
きっと今日の準備で疲れ果ててしまったんだろう。マンションに著いた後、ソファーに座って一休みをしようと思ったらそのまま寢落ちしてしまったように見える。
俺が帰ってきた事に気付く様子もなく、ぐっすりと睡しているユキ。このまま寢ていると風邪をひいてしまうかもしれないな、寢るなら部屋のベッドで眠らせた方が良いだろうと彼の元に近付いた。
すうすう、と小さな寢息をたてて眠っているユキを見つめる。あどけなさの殘る彼の寢顔は天使のように可らしく、彼が幸せそうな夢を見る姿に思わず笑みがこぼれた。けれどその可い寢顔に見惚れているわけにはいかない。
「ユキ、ほら起きろ」
を揺さぶりながら聲をかけるのだが、彼が起きる気配はない。幸せそうに夢の世界を漂っているユキにし悪戯心が湧いた俺は、ユキの顔に手をばしてそのらかいほっぺたをつついてみた。
らかなにふわふわとしたまるでマシュマロのような頬。らかでもちもちとしたそれは指が吸い付きそうな程にしっとりとしていた。そんな頬に白銀の髪がかかっていて、それをそっと耳にかけようとした時、ユキはくすぐったそうにを捩ってから「んぅ……」と小さく聲を上げる。
これで起きるかなと思ったのだが、そのままぐっすり眠り続ける様子を見ていて、以前に水族館へ行った時のバスの中での出來事を思い出していた。あの時は頬をつついた時に実は起きていて、俺が何をするのかとユキはこっそり楽しんでいた。
けれど今日は連日続いている文化祭の準備で疲れている事もあったのか、俺にほっぺたをつつかれている事にも気付かず、気持ち良さそうに眠り続けている。そんな無防備な姿を曬してくれる事が嬉しい反面、本當に大丈夫なのかと心配にもなる。
文化祭で何をやるのかは知らないが、神的にも的にも疲労が溜まっている事くらい分かっているつもりだ。だからこそ風邪をひかせるわけにはいかないし、何とかユキを起こさねばと彼の肩に手をばす。
さっきよりも強めにを揺さぶると、ユキの瞼がゆっくりと開いていく。でもまだ彼の青い瞳は微睡んでいて、夢の世界に半を浸かっているようなそんな狀態だ。
虛ろなまま焦點の合わないとろんとした目つきでぼんやりと俺を見つめていたが、開いていた瞼は再び閉じてしまう。
「ユキ、起きろ。風邪ひくぞ」
「……んぅ」
「部屋に戻って休もう、な?」
「はる……くん」
聲の主が俺だとは分かっているようだが、何を言われているのかまでは夢の世界を漂うユキには屆いていないらしい。ただ俺が近くに居ると分かった事で安心したのだろうか、ユキはとろけきった表のまま微笑んでいた。
寢ぼけてふにゃりと緩む口元にドキッとして、の中では『何だよそれ、可い過ぎないか?』とんでいた。こんな無垢でくるしい笑顔を見せられたら誰だってやられてしまうだろう。現に俺はやられているし、目の前のユキが可すぎて俺は彼の頭をでたい衝に駆られていた。
その衝のままにユキの頭をそっとでると彼は貓みたいに頭をり寄せてきた。甘えた仕草にの奧がきゅうっと締め付けられる。けれどこのままでているとユキの安眠をうばかりで逆効果、彼を可がりたい衝を必死に堪えてユキのを再び揺さぶる。
「ん……」
するとユキはようやく意識を取り戻し始めたようで、ゆっくりとを起こしてくれたのは良いのだが―――彼は寢惚けたまま両手をこちらに向かってばしてくる。
え? と戸っている間にユキは抱きつくように腕を回して、そのまま俺のに顔を押し付けていた。ぎゅっと抱きしめられるに驚いて固まっていると、ユキは俺のの中でもぞもぞと頬ずりしてくる。
「あったかい……」
その姿がまたどうしようもなく可らしくて、彼を引き剝がそうとする気は一切起きなかった。
そしてユキは何かを探すかのように手をかしていた。そして俺の手を見つけると、まるで寶を見つけた子供のように嬉しそうな笑みを浮かべて。彼はそのまま指を絡ませて手を繋いできたのだ。
「はるくんの……おてて、すき」
ふにゃふにゃの聲でそう言って、ぎゅーっと握ってくる小さな手にが熱くなる。寢ぼけているからこその行なのだとは思うが、それでもユキがここまで気を許してくれている事を実できて、その相手が自分だという事が何よりも嬉しかった。
俺の腕の中に収まる華奢なは溫かくて、ユキと一緒にいると俺まであったかくなるんだなと思いながら、これならきっと互いの溫で風邪をひく事もないだろうと、彼の目が覚めるまでこのまま好きにさせる事にした。
いや、そうじゃないな、彼の甘い匂いに包まれて、彼の溫もりを傍でじられて、俺自もずっとこうしていたいと思えたのだ。
せめてユキが起きるまで――。
幸せそうに眠るユキに優しく抱きしめ返して、彼の可らしい寢顔を眺めた。
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