《包帯の下の君は誰よりも可い 〜いじめられてた包帯を助けたら包帯の下はで、そんな彼からえっちで甘々に迫られる高校生活が始まります〜》第6話、膝枕の

今日は良い天気だった。

見事な秋晴れというべきか、夏空とは違う澄み渡った青がどこまでも広がっている。以前は大きな道雲が浮かぶ景を目にしたが、今はもうそれも消え失せて久しいものだ。またしばらくすれば冬が來る、しい雪景と寒さに閉ざされる季節がやってくる。

窓際の一番後ろの席で頬杖を突きながら、季節の移ろいをじながら過ごすのも悪くないなと、そう思いながら秋の穏やかな空を教室から眺めていた。

開きっぱなしになった教科書をめくる手は止まっている。ぼんやりと外を見つめているだけなのに、なぜか視線をじる気がしたのだ。ちらりとそちらへ目を向けると教壇に立っている教師と目が合った。

「よし雛倉。今言った問題解いてみろ」

「え、え?」

とんでもないタイミングで目が合ってしまったようだ。今言った問題? 全く聞いちゃいなかった。授業そっちのけで季節の移ろいをじているのが悪かったのだが、一どの問題の事を言っていたのかと教科書を急いでめくりながら、慌てて黒板の方に視線を移す。けれど教師がどの問題の事を言っているのか分からず、思わず頭を抱えそうになった時だった。

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隣の席から助け舟が飛んでくる。問題の部分が書かれたページを開いて、彼は指でとんとんとその場所を叩いていた。

助かった……と安堵のため息と共に中で呟く。

そしてその問題の答えを返して顔を上げると、こちらを見てニヤリと笑う先生の顔があった。どうやら最初から俺が授業を聞いていなかった事など分かっていたようで、隣の席からの助け船にも気付いていたらしい。

「正解だが雛倉、ちゃんと授業に集中しておけよー」

「は、はい……先生……」

恥ずかしさのあまり顔を俯かせながら答えると、隣からはくすくすとした笑い聲が聞こえてきた。橫目でちらりと見ると、彼は教科書で口元を隠すようにして押さえている。しかし笑っている事は一目瞭然だ。

「ふふ、晴くん、ぎりぎりせーふ。でしたね」

「……すまん、助かった」

隣の席の優等生、ユキのおかげで事なきを得る俺。隣の席がユキで本當に良かったと謝の言葉を呟きつつ、黒板の方へと視線を向けた。前の席の秋奈も心配していたようで、ほっと一安心した様子が後ろ姿からでも見て取れた。二人に迷をかけないようにと今度こそ授業に集中するよう心がける。そして何事もないまま無事に授業が終わった後だった。

振り返った秋奈は心配そうな面持ちで俺を見つめている。

「晴、さっきのは災難だったね」

「災難っていうか……この場合は自業自得かな」

「自業自得?」

そう言って秋奈は首を傾げた。そりゃそうか、前の席に座っている秋奈じゃ俺がぼうっと外を眺めていた事に気付けない。単に問題を當てられて答えられなかったと思っているんだろう。

「いや……外を見ててさ。あまりに見事な晴れ空だったから、つい」

「あーなるほど。確かに良い天気だもんね、ボクも授業中そう思ったよ」

「だろ? 分かってくれるか?」

「まさか。流石に授業そっちのけとはいかないからね」

秋奈から辛辣な言葉を投げかけられ、ぐぅの音も出ずに項垂れる。そんな俺の様子を見ながら、隣の席のユキがくすくすと可笑しそうに笑って會話に加わった。

「晴くん、大丈夫です。さっきの授業中は秋奈さんも窓の外を眺めている時間の方が多かったので、きっと晴くんと同じ気持ちですよ」

「し、白鳩さんっ……!?」

「へぇそうなのか」

「違っ……いや、違うってわけじゃないけど……! えっと、その……!」

慌てる秋奈の姿を見る限り図星だったようだ。俺も外を見ていて気付かなかったが、ユキはばっちりと秋奈が青空に見惚れる姿を見ていたらしい。

「あたしも分かります。今日は本當に良い天気ですから、私もしだけ見ってしまいました。日向ぼっこなんてしたら気持ちが良いかもしれませんね」

「冬になる前に一回くらい外で晝寢したいなあ」

小學生の頃は良くしたな。包帯を巻いていたユキと學校終わりに公園に行って遊んで、疲れたらベンチの上でゆっくりと日向の下で晝寢して、そしてまたが暮れるまで元気に遊び続けたりと楽しかったあの日を思い出す。

「秋奈もどうだ? 屋上行ってさ、みんなで並んで晝寢でもしようか」

「本當に素敵な提案なんだけどね、お晝は先約があるんだ。今日は學食で特別メニューが出るっていうから、立夏から一緒に行こうって言われていてさ」

「そっか。じゃあまた今度だな」

「うん。二人でゆっくりしていきなよ。屋上で晝寢するっていうのなら、生徒會からブルーシートを借りていくのはどうだい? 気分も高まると思うし」

「それ、良い案だな。でも晝寢するのに貸してくれるかどうか……」

「大丈夫だよ。生徒會でお花見する時に使ったりするレジャー用のものだから。きっと喜んで貸してくれると思う」

「ではお晝休みになったら一緒に生徒會室まで行きましょう、晴くん」

「そうしてみるか。教えてくれてありがとうな、秋奈」

「うんうん。楽しんでおいでよ」

こうして屋上での晝寢が決まって急にテンションが上がってくる。次は4限目でそれを乗り越えれば晝休み、ユキと一緒の晝寢を楽しみにしながら次の授業に使う教科書を取り出すのだった。

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