《包帯の下の君は誰よりも可い 〜いじめられてた包帯を助けたら包帯の下はで、そんな彼からえっちで甘々に迫られる高校生活が始まります〜》第7話、雨宿り①

頭の中でユキとの晝休みの出來事が浮かんでは消えていく。

俺をっていた彼の表や仕草を思い出してしまって、午後の授業は全く集中できなかった。ユキも晝休みの暴走を反省しているのか、授業中は何処か上の空で俺の方をちらりと見ると恥ずかしがったままもじもじするのを繰り返していた。

そんな落ち著かない俺達の様子に秋奈は気付いたのか首を傾げながら不思議がっていて、それを上手に誤魔化すのには苦労したものだ。

それから放課後になると、俺とユキはいつものように肩を並べて下校する。

お晝休みの出來事のせいでお互いに意識してしまって會話がぎこちない。いつもなら今日の學校であった事を話しつつ、會話に花を咲かせながら帰るのだが、今日は沈黙の時間の方が多かった。

マンションに戻っていつも通りにしていれば、自然と元に戻るだろうと思いながら歩いていると――ぽつりと鼻先に冷たい何かをじた。

「え?」

「あれ……」

ユキもそれに気付いたのか、手のひらを上に向けて見つめる。その手の上には水滴が一つ、二つ、三つ……次第にそれは大きくなっていく。二人で同時に空を見上げるとあれだけ綺麗だった青空に灰の雲が広がり始めていて、やがて辺り一面を覆い盡くすように雨粒が落ちてきた。

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「噓だろ……雨?」

「こ、困りましたね……」

朝見た天気予報では一日良い天気だって言ってたはずで、學校で青空を眺めていた時も、今この時もこうして雨が降ってくるだなんて夢にも思っていなかった。

秋の空はれやすいとは言うけれど、今日のような急な雨は想定外。俺もユキも傘など持っておらず、空から降ってくる大粒の雨で制服のシャツもズボンもあっという間にずぶ濡れになる。鞄の中だけは死守しようと腕の中で抱えた。

「と、とりあえず雨宿り出來る所を探そう……」

「ですね……このままだと大変です」

俺とユキは降りしきる雨の中を走り出す。幸いな事にこの近くに公園があったはずだから、そこで雨宿りしながらしばらく時間を潰せばいい。走っている最中も雨はどんどん強くなって視界が悪くなる。

なんとか公園のり口まで辿り著いたものの、そこにあるはずの屋付きの休憩スペースが忽然と姿を消していた。

「あ……あれ、ついこの前まであったよな……?」

「老朽化していたから……撤去されてしまったんでしょうか」

代わりに何処か雨宿り出來る場所がないかと必死に考える。屋の下でほんのしの時間、真っ黒な雲から降り注ぐ大粒の雨を凌げる場所を見つけようと辺りを見回した。

コンビニは遠いし、近くに知人の家があるわけでもなく……バス停さえなかった。どんどん濡れていく、急に気溫も下がってきて溫も奪われていく。このまま走ってマンションまで戻るしかないのかと思ったその時だった。

「晴くん! あそこで雨を凌ぎましょう!」

ユキが指を差すのは公園に設置された遊で、橫置きされた大きな土管の周りをセメントで山のような形に固めただけの簡素な作りだが、今はその土管だけが唯一の救いの手立てに見えた。

俺達は急いで駆け込み、全びしょ濡れになったを土管にり込ませる。

中にるとひんやりとした空気が流れてくる。どうやらトンネル狀になっているらしく、ちょうど反対側からも土砂降りの景が見えている。子供達がくぐって遊ぶ為の遊のようだが、高校生の俺達が座っても余裕のある大きさだから、ここで暫く様子を窺う事にした。

ざあざあと降る雨音の中、とりあえず鞄の中が無事なのかを確認した。

教科書類は全部無事、ノートやプリントも濡れておらずほっと一安心。ユキがこの場所を見つけてくれなかったら危なかったかもしれないと、彼の判斷力に謝しながら隣を見た。

ユキもびしょ濡れだが俺と同じように鞄の中は無事のようでほっとで下ろしている。

そしてユキの髪や服も水を吸っているせいでに張り付いていて……その水が滴る姿が妙にっぽくじてしまう。彼の頬は淡い桜で染まり小さな雫が伝っていって、らかなはいつもより艶やかに見えた。俺の視線に気づいたユキが不思議そうに首を傾げる。

「晴くん、何かありました?」

「い、いや、何にもない……」

この非常事態でユキが可くて見惚れていた、だなんて言えるわけがない。俺は目線を逸しながら何もない素振りで答えていた。

「こちらはノートなど大丈夫でした。晴くんは?」

「お、俺のも濡れてなかった。一安心だ」

「良かったです。あとは雨が止んでくれるのを待つしかないですね」

ユキは鞄の中からハンカチを取り出すと、それを俺の方に差し出した。

「これで晴くんは髪を拭いてください。風邪ひいちゃいますから」

「それはユキのだろ。ユキが使ってくれよ、そっちだってびしょ濡れだろ」

「あたしは平気です。晴くんの方が心配です」

「俺だって平気だから。むしろユキの方が風邪ひいたら大変だ」

そう言って差し出されたハンカチを拒むのだが、ユキは引く様子を見せなかった。その時、俺の中で良い案が思い浮かぶ。

「……それじゃあ分かった。借りるよ、ハンカチ」

「はい、どうぞ」

優しく微笑んでハンカチを手渡すユキ。花柄の刺繍がされた可いハンカチを持った俺は、自分の髪ではなく隣に座るユキの髪へと手をばした。

「は、晴くん?」

「じっとしてろ。拭きにくいだろ」

「で、でも……それじゃあ晴くんが……」

「ユキから渡されたハンカチの主導権は今俺にある。それに俺は借りるとしか言ってないぞ」

そう、俺の髪を拭く為に借りるとは一言も言っていないのだ。屁理屈じみたものかもしれないが、ユキは「もう……晴くんったら……」と口では不満を言いつつその顔は穏やかで満更でもない様子だった。

雨で濡れた白銀の髪をハンカチで拭いていく。雨で濡れているけれどユキの髪はとてもらかく、手に吸い付くようなり心地の良さに思わず頬が緩む。ユキもくすぐったそうにしながら嬉しそうにはにかんでいた。

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