《包帯の下の君は誰よりも可い 〜いじめられてた包帯を助けたら包帯の下はで、そんな彼からえっちで甘々に迫られる高校生活が始まります〜》第8話、お買い

幸いな事にあれだけびしょ濡れになって寒い思いをしたのに、俺もユキも風邪をひく事はなかった。ユキは俺が上著とカーディガンを貸してくれたおかげだと改めて謝の言葉を伝えてくれて、俺も照れながらユキが暖めてくれたおかげで大丈夫だったと返事をした。

それから雨宿りをしながら話をした折りたたみ傘について思い出し、俺の部屋の片隅に置きっぱなしになっていたそれへと手をばす。いつもは雨が降りそうな日にだけ普通のビニール傘を持って通學していたが、それでは今日のような急な雨には対応出來ないと鞄の中へ常に折りたたみ傘をれておく事にしたのだが――。

俺の持っていた折りたたみ傘は父さんからのお古で、普段からあまり使っていなかったので果たして大丈夫なのか確かめようと、部屋の中で折りたたみ傘を開いてみた。

しかし、開いた瞬間にばきりと大きな音を立てて骨組みの一部が折れてしまい、それはもう使いにならなくなってしまった。呆然と壊れた折りたたみ傘を眺めていると、ぱたぱたとスリッパで歩く音が近付いてきてゆっくりと部屋の扉が開いた。

「晴くん……今の音、大丈夫ですか?」

結構派手な音を鳴らしてしまったので、それを心配したユキが扉を開けて顔を覗かせる。俺は苦笑いを浮かべつつ、壊れた折りたたみ傘をユキへと見せた。

「傘が壊れた」

「あ……今のって傘が壊れた音だったんですね」

「ああ。普通に開いただけなんだけど、そのままぽっきりと」

「折りたたみ傘は壊れやすいものが多いので仕方ないですよ。晴くんは悪くありません」

ユキは扉を開けて俺の部屋の中へとる。そして骨の折れた折りたたみ傘を見つめてうんうんと頷いた。

「隨分と古いもののようですし壽命だったのかもですね」

「あー父さんがずっと使ってたお古だったからな……」

「晴くんのお父様には申し訳ないですけど、その狀態ではもう使えませんね」

「だな。どうしたもんか、他に折りたたみ傘なんて持ってないし」

「では週末にお買いへ行きませんか? ちょうどこれから冬に備えて々とお買いをしようと思っていたんです。折りたたみ傘もそうですが、雪が降るようになると外出するのも億劫になってしまうので、雪が降る前の今のうちにと思って」

「なるほどな……確かにそろそろ冬ごもりの準備をしておきたいよな」

このマンションで生活するようになってから冬を越すというのは初めての経験だ。いつもなら母さんや父さんに任せきりにしていた事だが、こうしてユキと二人で暮らしている今は自分達で準備しておかないとならない。防寒対策などもしっかりやっておいた方が良いだろう。

「もちろん、晴くんが嫌でなければですが。二人で行けば荷も半分になりますし」

「そうだな……俺も買いたいものがいくつかあるから一緒に行くか」

斷る理由もなく、むしろ一人で行くよりもユキと一緒の方が楽しいだろうと思ったので俺はすぐにそれを了承する。

今週の休日にショッピングモールを回って々と買いをして、ついでにユキと久々の外食を楽しもうと今からわくわくが止まらない。スマホのスケジュール帳で日付を確認しつつ、その日を楽しみに予定を記していった。

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