《包帯の下の君は誰よりも可い 〜いじめられてた包帯を助けたら包帯の下はで、そんな彼からえっちで甘々に迫られる高校生活が始まります〜》第10話、クリスマス⑧
「そろそろケーキ食べないかい?」
そう切り出したのは秋奈だった。
話に花を咲かせてお菓子も摘んで、そろそろ良い頃合いだと思ったのだろう。お腹をこれ以上お菓子で膨らませてしまうのも勿ない、クリスマスは味しいケーキで満腹になるのが一番なのだ。
「それじゃあ冷蔵庫から取ってくるよ」
「ケーキを切り分ける用に包丁かナイフもお願い出來るかな?」
「もちろんさ。それに人數分のフォークと小皿も用意する」
「晴くん。一人で運ぶのは大変そうなのであたしも手伝いますよ」
「あ、白鳩さん待って。ちょっとお願いしたい事があるんだ」
秋奈は部屋の片隅に置いてあった黒いバッグに手をばす。確かあれは秋奈(正しくは立夏の案)がサプライズとして用意したものをれているはず。扱いに困っている容で気が向けば披するという話でずっと俺も気にしていたものだ。
「白鳩さん……立夏が居ないからやめようかなって思ってたんだけど……折角だから、やっぱりお披目しないかな?」
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「ふふ、する事にしたんですね。良いですよ、あたしも協力します」
「なんだ、ユキもサプライズの容を聞いてたのか?」
「はい。立夏さんから容について聞いていました。々と準備が必要なものなので、事前に秋奈さんとも打ち合わせを」
「ちょうど今から披しようと思う。でも、し準備に時間が必要だから……どうしよう。部屋で待っていてもらおうか」
「そうですね。あたし達は廊下で準備をして――」
「いや客人を寒い廊下に放り出すわけにもいかないだろ。二人は部屋の中で準備しといてくれよ。俺もケーキを用意しておくから」
「ありがとう、晴。そしたら部屋にる前に出來ればノックしてしいかな。途中で見られたら臺無しになってしまうから」
「分かった。それじゃあ行ってくる」
ユキと秋奈の二人が言うサプライズとは一何なのか。
それに期待を寄せながら俺は一旦自室を後にする。
階段を降りてキッチンへと向かい、小皿とフォークとケーキを切り分ける包丁を用意する。一度にケーキと一緒に持っていって落としたら大変なので、ケーキとその他は別々に持っていく事にした。
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まずは小皿とフォークと包丁を食用のトレーに乗せて、それを持って再び二階に上がる。廊下にそれを置いた後、ユキと秋奈が扉の向こうで何をしているのか気になりながら立ち止まる。壁に耳を當てて盜み聞き――なんて発想を一瞬してしまったが、それでは二人が用意してくれるサプライズが臺無しになってしまうと、考えを改めてケーキを取りに戻った。
冷蔵庫の中からケーキのった白い箱を取り出して再び部屋へと戻る。ケーキと小皿を片手にノックをして準備が整ったか聞いてみる。
「用意してきたぞ。そっちはどうだ?」
『は、晴くん……準備は出來ているんですが、その、心の方の準備が、まだ……』
「心の準備?」
『白鳩さん。一度深呼吸をしよう』
『で、ですね……すう、はあ……』
サプライズの準備そのものは終わっているようだが、心の準備というのはどういう事なのだろうか? 部屋の中で大きくて盛大なクラッカーでも鳴らすつもりでいて、紐を引っ張るのに勇気がいるだとか、一何を企んでいるのか気になって仕方がない。扉の向こうにその答えがあるのだが、二人の許可が無ければ中にはれないのだ。
「リビングで待っていようか?」
『も、もう大丈夫です。深呼吸をしたら落ち著きました』
『ボクの方も。開けてもらって大丈夫だよ、晴』
「それじゃあ遠慮なく」
どんなサプライズが待っているのか。驚いてケーキのった箱を落とさないよう、しっかりと構えながら扉を開いていって――目の前に広がる景に言葉を失った。あれだけ落とさないようにと思っていたケーキのった箱や小皿から手を離しそうになって、慌てて勢を立て直しながらもう一度その景を確かめる。
部屋の中にはサンタが二人いた。それもただのサンタではない。恐らく世界でもトップクラスの超絶サンタが並んで立っていた。ユキと秋奈のサンタ裝に俺は目を奪われてしまう。
二人は赤を基調としたサンタクロース裝にを包み、頭にちょこんと乗った赤い帽子には白くて丸いボンポンが付いている。そして何より驚いたのが、そのサンタ裝がかなり大膽な出の仕方をしていて艶のある気が溢れ出ていた事だ。
大きく開いた元はユキと秋奈のたわわに実ったの谷間を強調していて、くびれのあるへそ周りは隠さずに丸出しだった。二人が履く太ももの半分よりも遙かに短い超ミニのスカートは、らかそうなおの膨らみと彼達のパンツがちらりと見えてしまう程に短かい。
二人の大膽なサンタ姿を生で拝めて幸福の絶頂に居ると同時に、恥ずかしくて照れ隠しするユキと秋奈の姿があまりに可すぎて眩しく見えた。
「これ……思ったより恥ずかしいです」
「だ、だね……もうし抑えても、良かったかも……」
スカートを手で抑えながら、頬を赤く染めてもじもじと恥じらうユキと秋奈の姿に心臓が跳ねる。いつも見慣れた制服や私服姿でも十分魅力的なのに、まさかこんな形で二人の可い姿を目にする事になるとは思いもしなかった。しかし――なんという破壊力。普段とのギャップもあってか、あまりの衝撃的な景に思考回路が停止しそうだった。
これは夢じゃないのかと疑ってしまうくらい現実離れした狀況に頭が追いつかない。
「こ、これがサプライズだったのか……?」
二人の姿に目が釘付けになりながら、ケーキのった箱を何とかテーブルの上に置く。ユキと秋奈の二人は互いに顔を合わせて小さく頷いた。
予想外過ぎる容に俺は驚きを隠せない。頬に熱が帯びていくのをじていた。確かにクリスマスと言えばサンタのコスチュームなんかは定番と言えば定番なのだが、まさか二人がこんな大膽な裝を著て現れるとは誰が予想出來ようか。
「ど、どうでしょう。晴くん、似合っていますか?」
「えっと……」
「お、おかしいかな……ボクらがこんな裝を著るのって」
「そ、そんな事ない! 凄く良く似合ってる! めちゃくちゃ可いよ!」
正直に言って二人とも反則レベルで可すぎて、そのを抑えきれなかった。かなり食い気味で聲を上げてしまって、しまったと思った時にはもう遅かった。
俺の言葉を聞いて二人は妖艶に笑む。その笑顔を見ていると俺も無に恥ずかしくなって、両手を顔で覆いながらその場にしゃがみ込む。自分でもびっくりするくらい腑抜けた顔をしていると思った。
不意打ち過ぎて心臓がバクバク鳴っている。さっきからずっと鳴りっぱなしだ。嬉しいとかそういう次元の問題ではない。あまりにも刺激的すぎる。今まで生きてきた中で最高のプレゼントかもしれないと思う程だった。
「晴くんがこんなに喜んでくれるだなんて。勇気を出して良かったです。ね、秋奈さん」
「だね。恥ずかしかったけれど、さっきの晴の顔を見たら嬉しさが圧倒的に上回ったよ」
二人のサプライズは大功だった。
しゃがみ込む俺を満足気に見つめた後、ゆっくりと近付いて手をばす。
「晴くん、でもあたし達のサプライズは裝をお披目して終わりじゃないんですよ」
「噓だろ、まさか……まだ続きが?」
「そのまさかだよ、晴。おいで」
二人に手を引かれて立ち上がるとテーブルの前にまで連れてこられる。秋奈は白い箱の中から味しそうな苺のクリスマスケーキを取り出して、ユキがそのケーキを綺麗に切り分ける。
そして二人はフォークを握り、ケーキを更に一口サイズに切り分け始める。もうこの時點でこれから何が起こるかを察してしまった。期待と興がり混じった覚を覚えつつ、俺は二人から口を開けるようにせがまれる。
妖艶な笑みを浮かべるサンタ姿のユキと秋奈。頬はほんのりと紅していて息遣いもし荒い。潤んだ青と紅の瞳を互に見つめながら、差し出された一口サイズのケーキを二人から食べさせてもらうという至福のひとときを味わった。
そして最後に――今年のクリスマスは人生最高だったと一言添えさせてしい。
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