《包帯の下の君は誰よりも可い 〜いじめられてた包帯を助けたら包帯の下はで、そんな彼からえっちで甘々に迫られる高校生活が始まります〜》第11話、大晦日②
ユキのご馳走が出來上がる頃にはすっかり日が落ちていた。二人で椅子に腰をかけ、テーブルに並べられたご馳走に向けて俺は目を輝かせる。
ユキの作った豚に、皿に盛り付けられた唐揚げ、とろっとした赤いソースをまとったエビチリ、溢れるハンバーグ。チーズのふりかけられたおしゃれなシーザーサラダ。俺の大好きなだし巻き玉子も用意されていて、まるでレストランが用意するオードブルのようなバラエティかなご馳走がテーブルの上に広がって、どれもこれも凄く味しそうだった。
「それじゃあ頂きましょうか、晴くん」
「ありがとうな、ユキ。一緒に食べよう」
今年最後の食事を楽しむべく、俺とユキは手を合わせて「いただきます」と聲を上げた。
まずは味見もした豚から手を付ける。箸で材を持ち上げると白い湯気が立ち上って、今度は熱いままに口へと運ぶ。
味見した時點でその味さは分かっていた事だが、こうして材も一緒に味わうとその味さは數段跳ね上がるようにじた。豚の脂から出る甘さが味噌の塩気と香りと混ざり合い、それが絶妙な味わいを生み出して口の中には幸せが広がる
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これだけでも俺にとっては十分すぎる程のご馳走なのだが、テーブルの上には金銀財寶と見間違える程のユキの手料理が並んでいるのだ。今年最後の食事は俺の人生にとって最高の食事なのは間違いなかった。
どれもあまりに味しくて自然と顔はほころぶし箸だって止まらない。ユキの作った唐揚げはがサクッとしていて中の鶏はらかくてジューシーでしっかりと付けられた下味が絶妙だ。エビチリは辛すぎない程良いピリリとした味付けで、プリプリとしたらかい海老との相は抜群。
そして大好きなだし巻き玉子を食べながら、幸せの絶頂を味わっている時にユキと目が合った。俺がご馳走を楽しむ様子を眺めながら、彼も幸せそうな表で顔をほこらばせる。そんなユキの顔を見て思わず恥ずかしくなって目を逸らすと、ユキはくすっと笑みを浮かべた。
「そ、そんなに見られると恥ずかしいな」
「ふふ、あまりにも味しそうに食べるのでつい」
「実際めちゃくちゃ味しいよ。何もかも最高に味い」
「そんなに喜んでもらえるだなんて。今日は頑張って良かったです」
「ユキには謝の気持ちでいっぱいだ。こんな嬉しい気持ちで新年を迎えられるなんて最高だよ」
今日のご馳走だってとてつもなく味しくて幸せだが、普段の料理や彼との共同生活にもひたすら謝している。學式の日から始まったユキとの生活。ユキが居なければこんな充実した日々を送る事は出來なかっただろうし、今の幸せな時間もなかったはずだ。
そう考えると彼にどれだけ世話になったのか、俺にとってユキという存在の大きさを実する。そしてこの生活が來年も続いてくれる事が何よりも嬉しかった。
ユキは俺の言葉に照れたような反応を見せつつ、らかな青い瞳でこちらをじっと見つめる。
「あたしもですよ。晴くんと一緒に過ごせた毎日は幸せそのものでした。來年も仲良くしてくださいね」
「こちらこそ來年も仲良くしよう。明日の初詣も楽しみだ、また願い事を葉えてもらいに行かなきゃな」
「明日は晴れてくれると良いですね。秋奈さんも來てくれるので、元旦から楽しく過ごしたいです」
「今日は雪模様だけど明日の天気は晴れるって話だ。楽しみだよな、本當にさ。それと明日は振り袖を用意するのにユキの母さんが來てくれるんだよな」
「はい、朝のにお母様から著付けを手伝ってもらう予定です」
「ユキの母さんか。日本にユキが帰ってきてからまだ挨拶してないし、ようやくってじだ」
「お母様も晴くんの顔を見たがっていました。明日はきっとお母様も喜んでくれるはずです」
小學生の頃はユキの母親には何度もお世話になった。
俺の親がユキを我が娘のように思っていたのと一緒で、俺もユキの親にはとても可がってもらったのだ。あの頃の謝も含めて明日はきっちりと挨拶をしなくては。
「秋奈さんとは神社の近くで合流する予定なので、お母様に車で神社まで送ってもらいましょう。楽しみですね、初詣」
「そうだな。一緒の年越しに、みんなでの初詣。うんと楽しもうな」
心が躍る。ユキと迎えられる新しい年、それから続く幸せな毎日を楽しみにしながら笑い合って、俺達はテーブルに並べられたご馳走に再び箸をばす。今年最後の食事を二人で満喫するのだった
※
年明けの時間が近付いてきた。
俺とユキはコタツにってぬくもりに包まれ、ゆったりとした時間を過ごしながら新年を迎えようとしていた。というかユキのご馳走で満腹なところに、ついさっき年越し蕎麥を食べた事でお腹の満腹値は頂點に達していて、一歩もけなくなってリビングのコタツの中で休憩していると言った方が正しいか。
満腹狀態でも年越し蕎麥を食べられたのは、ユキが作ってくれた年越し蕎麥が味しかった事もあるのだが、流石にこれ以上は食べれらないと二人でぐったりとしている。お腹の満腹と今日一日の満足に浸りながら、隣に座るユキの方へと視線を向ける。
穏やかなで優しい表を浮かべながら、テレビに流れる歌番組を観ているユキ。そんな彼を見つめながらぼんやりと大晦日らしい景だなと思っていた。
いつもは父さんと母さんとゆっくりとした時間を過ごしながら年を越す。今年はその一緒に居る相手がユキで、彼と年を越すのは初めてなはずなのに、去年過ごした年越しよりもしっくりときてしまうのは何故だろう。そんな事を考えながらぼーっとしていたら、いつの間にかユキがこっちを向いていた。
「晴くん、もうしで日付が変わりますね」
「ああ、いよいよ年が変わるんだな」
「なんだかどきどきしますね」
「そうだな。不思議なじだ」
隣に座るユキは俺の肩に寄りかかる。俺も応えるようにユキの頭に自分の頭を軽く重ねると、彼は嬉しそうな笑みを浮かべていた。年が明けるまであと數分、その僅かな時間を二人で寄り添って過ごすだけで幸せに満たされていく。
それから程なくしてテレビの畫面にはカウントダウンの文字が表示され、俺達は顔を合わせて同時に口を開く。ゼロになる瞬間、互いに言葉を重ね合わせた。
「「あけましておめでとう」」
1月1日に日付が変わった瞬間、俺とユキは笑い合いながら新年の挨拶をわす。去年は々な事があったけど、振り返るとどれも楽しい思い出ばかりだった。今年も幸せな毎日が続く事を祈りながら、れ合った手を握りしめる。
「晴くん、今年もよろしくお願いしますね」
「こちらこそ。よろしくな、ユキ」
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