《包帯の下の君は誰よりも可い 〜いじめられてた包帯を助けたら包帯の下はで、そんな彼からえっちで甘々に迫られる高校生活が始まります〜》第2話、風邪①
楽しかった初詣は過ぎ、三が日をユキと二人でゆったりと過ごしたその後だった。
年末年始に備えて買っていた食材を買い足しに、今日は雪の降る中を歩いてスーパーにまで出かけた。そして買いの途中で気付いたのだがどうにも今日のユキは元気がない。スーパーに行く道中も、買いを済ませて一緒にマンションへ帰ろうと肩を並べて歩いていた時も、いつもより足取りが弱々しく見えていた。
昨日までは元気な様子だったのに、一どうしてしまったのかと心配に思っている。
「ユキ、どうかしたのか? 今日はあんまり調子が良さそうに見えないんだけど……」
「あ……大丈夫ですよ。今日の夕食は何を作ろうかなって……それをちょっと悩んでいただけですから」
「そうなのか。大丈夫ならそれで良いんだけど」
「今日は何が食べたいですか? 寒いのでグラタンなどはどうでしょう?」
「今日みたいな寒い日は熱々のグラタンなんて最高だな」
「ありがとうございます。それじゃあ二人で作りましょう」
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にこりと微笑みかけるユキ。だがいつものユキと比べるとやっぱり様子が変だった。無理やり笑みを浮かべているような、そんない表。そして二人でマンションの扉をくぐろうとした時、どうして彼に元気がなかったのか、その理由をやっと理解する。
彼が靴をいで、リビングに向けて歩き出そうとした時――ユキがふらりとよろけた。
すぐ隣に居た俺は倒れそうになる姿に気付いて、咄嗟にユキのを支えていた。手を出さなければそのまま倒れて頭を打ってもおかしくなくて、俺は急に倒れたユキを心配して聲を上げる。
「だ、大丈夫か?」
「……んっ、晴くんごめんなさい。なんだか目眩がしてしまって」
よろりと立ち上がろうとするユキを抑えて、俺は彼の額に手を當てた。
熱い。それにぼんやりとした表を浮かべる顔は赤くなっていて息も荒い。
どう見ても風邪だ。
午後から元気がなくて、勉強會の話を聞いて浮かれない顔をしていた理由。ユキはずっと合が悪かったのだ。
俺は力の抜けているユキのを支えながら熱でぼーっとしている彼を再びソファーに座らせて溫度計を持ってくる。溫度計を渡すとユキは素直に腋へ挾んで、ピピッと鳴った音と溫度を確かめてみれば38.4℃もあった。かなり高い。合が悪いのは當然だ。
「ユキ……朝から調子悪かったのか?」
「その、しぼーっとするくらいで……午前中は良かったのですが、午後からちょっとずつ悪くなっていって……」
「部屋で橫になろう。今日はもういちゃだめだ、明日も明後日もしっかり休んで調を回復させないと」
「でも夕食を作らないと……あとお掃除と、それにお洗濯だって……」
「夕食は俺が作るし掃除や洗濯も任せてくれ。無理はだめだ」
「でも……」
熱で頭が茹でって判斷力が落ちているユキ。
合が悪いのに家事をしようとするユキの頭をでた後、俺は彼のを抱き上げた。
「は、はるくん……?」
「このままユキをベッドに連れて行く。部屋にるけど悪く思わないでくれよ」
「はい……」
きっとこうしないとユキは無理矢理にでも夕食を作ろうとするし、合が悪いのにき回ろうとするはずだ。それは良くない、彼の調が何より心配だった。
ユキはお姫様だっこをする俺を弱々しく抱きしめ返す。華奢な彼を抱いたまま、俺はユキの部屋へとっていった。
彼の部屋にった事は殆どない。の子らしい可い部屋というのを以前にちらりと見たきりだ。足を踏みれるのに張してしまうがそんな事は言ってはいられない。俺は意を決して部屋の扉を開いた。
目の前に広がるユキの部屋。
の子らしい小や可らしいインテリア、綺麗に片付けられていて、まさにユキの格を表すような清純で綺麗な部屋だった。そして花のようなとても良い香りがする。居るだけで幸せになりそうな、素敵な空間だった。
俺はユキをペンギンのぬいぐるみが置かれたベッドの上に寢かせた。布をかけた後に優しく頭をでる。
「ユキ、大人しく寢ていてくれよ。スポーツドリンクとか栄養のつくもの、今から買ってくるから待っててくれ」
「うん……」
弱々しい聲で返事をするユキ。一人にさせてしまって心細く思うかもしれないが、まずは風邪を治す事を先決しなくては。
俺はユキの部屋を後にすると再び鞄を持って暗くなった外へと出る。
寒空の下、急ぎ足で歩き始めた。
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