《包帯の下の君は誰よりも可い 〜いじめられてた包帯を助けたら包帯の下はで、そんな彼からえっちで甘々に迫られる高校生活が始まります〜》第2話、風邪②

この年始はユキの調が治るように盡くしてあげなければ。何を買うかもスマホでメモしておいたし、急いで買ってユキの元に戻らなければ。そう思って駆け足でスーパーに辿り著いた後、俺は大急ぎで買いカゴの中に商品をれていった。

「あれ、雛倉くん。どうしたの?」

聞き覚えのある聲に顔を上げる。

その先にいたのは生徒會長だった。彼も買いカゴを片手に立っていた。

「生徒會長……? どうしてここに?」

「私も買いよ。このスーパーが家に一番近いから、今日は々と買っておこうと思って」

「もしかして生徒會長も一人暮らしなんですか?」

「そうよ。生徒會長も、って事は雛倉くんもそうなのね」

「え、ええ……マンションを借りてもらって、親から離れて暮らしてますね」

正確にはユキと二人で住んでいるので一人暮らしではないのだが、それを説明するとややこしくなりそうなので止めておく。

「お互い大変ね。それにしても買っているのはスポーツドリンクと……おでこの冷卻シート? 合が悪いの?」

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「俺じゃなくユキの合が悪いみたいで。看病しないといけないのでそれでスーパーに來たんです」

「ユキさんの看病を雛倉くんが? この前も生徒會室でお話した時、とても仲良さそうにしてたわよね。でも看病をするくらいの仲だなんてびっくりした。やっぱり二人は特別な関係なのね」

「そうですね。俺にとってユキは特別な存在です、そんなユキが合を悪くしているので何とかしてあげないとって……」

ユキは俺にとって特別な存在だ。

同じ屋の下に暮らして、常に一緒に居るような関係。そして小學生の頃からの長い付き合い、ずっと一緒にいようと誓いあった絆。だから今もユキの為に必死になっている。

「最近は特に寒いから、それで調を崩してしまったのかもしれないわね。雛倉くんも気を付けるのよ、最近の風邪はたちが悪いから」

「ありがとうございます、生徒會長。俺も気を付けます」

「ユキさんにもよろしく言っておいて。早く良くなるようにって」

「はい、伝えておきます。それでは失禮しますね」

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俺は生徒會長に頭を下げて買いを再開する。彼も手を振った後に別のコーナーへと歩いていった。

足早に必要なものを買いカゴへとれてレジを済ませ、駆け足でマンションへと向かう。今きっと合が悪いなか一人で寂しい思いをしているだろうと、ユキの事を心配しながらとにかく急いだ。

靜かなマンション。買い袋を下げたままユキの部屋を再び訪れる。ベッドの上にはスーパーに行く前と変わらない様子でユキが橫になっていて、とりあえずおでこに冷卻シートをっておく。それからスポーツドリンクを袋から取り出してコップに注いだ。

「ほらユキ、飲んでくれ」

「うん……ありがとう、はるくん……」

熱が出て事でユキは汗をかいている。

が乾いていたのだろう。ゆっくりとを起こしてユキはスポーツドリンクを飲み干した。ごくごくとが鳴る音が聞こえて、空になったコップを俺へと手渡す。

「夕食はお粥でいいか? 栄養補給用のゼリー飲料とかも買ってきたんだけど」

「はるくんのおかゆがたべたい……」

「そうか。じゃあ待っててくれ、今作ってくるから」

ユキは小さく頷いた。

の容態を心配に思いながら、離れる前にもう一度ユキの頭をでた。

「すぐ治るから。今は良い子にして寢てるんだぞ」

「うん……いいこにしてる」

よしよしと頭をでるとユキは安心したのか目を閉じた。このまま一人にするのは心苦しいけれどそうも言っていられない。お粥を作るために俺はキッチンへと向かった。

お米を研ぐところから始める。冷たい水に手を浸して米を研ぐ。そして水を流して何度も繰り返す。それから炊飯のスイッチをれると鍋で湯を沸かした。お粥だけでなくお味噌も用意しようと思っていた。いつもユキがやっているように鰹節から茹でて出を取り、味噌を溶かしていく。

文化祭の準備中にやっていた自炊のおかげで、料理はある程度こなせるようになっている。ユキの風邪が良くなるのを祈って俺は調理を続けた。

炊いたお米を茹でて卵粥を作る。味付けは塩だけのシンプルなものだけど、しだけれた出が良いじに効いたようで、味見をしてみるとなかなか味しかった。これならきっとユキも満足してくれるだろうとお椀に盛り付けていく。

そして卵粥と味噌のシンプルな夕食をユキのいる部屋へと持っていく。火照った顔のユキがベッドの上で靜かに俺が來るのを待っていた。ベッドに近付いてテーブルに食トレーを置く。

「お粥とお味噌を作ってきた。他に食べたいがあったら言ってくれ」

「ありがとう……いまは、おかゆとおみそしるで、いい……」

「自分で食べれそうには……ないな。俺が食べさせるから待ってろ」

「うん……」

お粥をスプーンで取った後、俺は息を吹きかけて冷ましてからユキの口へと運ぶ。

「ほら、食べて」

あーんと口を開けるユキにお粥を食べさせる。

もぐもぐと頬張るユキのタイミングに合わせて、お粥やお味噌を食べさせる。それを味しく味わう余裕はきっと今のユキにはない。けれど食べながら何度もありがとう、嬉しい、と笑顔を浮かべてくれるユキ。

そんな彼おしくて抱きしめたくなってしまうが、必死に堪えて平靜を保つように心掛けてユキの食事に集中した。そしてお粥のったお椀もお味噌も空になって、合は悪いが食はある様子を見て安堵する。食を片付けた後、ユキの著替えや背中を拭くタオルを用意してそれも彼の元へ持っていく。

「ユキ、汗をかいてるよな。拭いてあげるから上著いで、それとほら著替え」

「うん……」

ユキは頷くと著ている服に手をばす。

も風邪で頭がぼーっとしているからあまり気にしていないようだけど、いくら看病とは言え彼をまじまじと見るのは悪い気がして俺は咄嗟に顔を逸らす。ベッドの上で服がはだける音が耳に響いた。

「はるくん……どうぞ」

ユキはそう言いながら俺へと背を向けたようだった。

ゆっくりと振り返って彼の姿を確認する。上著をいで火照った白いわになって、薄い桜の下著に目が集中してしまう。

「……?」

「いや、何でもないんだ。ふ、拭くからな」

俺はタオルで汗ばんだユキの背中を拭き始める。白くてらかでらかいユキの背中を優しく拭いていく。そこから首筋や鎖骨に沿って肩の方へと向かっていき、そのまま引き締まったお腹に下りていった。

「ユキ、腕もあげて」

「は、はい……」

腕を上げさせて腋の下まで丁寧に拭こうとするのだが、の子の甘酸っぱい汗の匂いと彼の腋の窪みにやたらと気をじてしまって、俺の顔は徐々に熱くなっていった。

そしてを拭く度に小さく聲を出して反応するユキ。これは彼の看病で他意はないはずなのに、変な気分になってしまう。変な事を考えては駄目だと思っても、脳裏に浮かぶのは艶めかしいユキの姿ばかり。こんな時に何を考えているのかと自分で自分が嫌になって、そんな邪念を振り払おうと俺はわざとらしく咳払いをした。

するとユキはをびくりと震わせてこちらを振り返る。

その顔が赤くなっていた。熱のせいだけではないと思う、彼は確かに恥ずかしがっていて、そしてそれはユキだけじゃなく俺だって同じだった。俺の顔も真っ赤になっている。

お互い顔を逸らして黙り込んでしまう。

を拭き終えると、ユキはベッドの上で著替えを始めた。

一度も振り返る事は出來ず、ユキが著替え終わった後も、俺は顔を逸らしたまま。そしてしばらく気まずい時間が続いた後…… 沈黙を破ったのはユキの方だった。

「はるくん……あたし、今とってもしあわせだよ……」

「ユキ?」

「あたしが風邪をひいて……つらいってなったら傍にいてくれて、こうやって看病してくれる……それがとってもしあわせだよ」

ユキは焦點のぶれた潤んだ青の瞳が俺のいる方を見る。朦朧とした意識の中で微睡んだ瞳、小學生の頃のいユキを思い出させるようなゆったりとしたらかな口調。まるで夢見心地のような表で彼は想いを口にする。

「はるくん……あたし、晴くんと……ずっといっしょにいたい」

「ユキ、ずっと一緒に居ような。早くユキの風邪が治るように俺も頑張るからさ」

火照ったユキのを優しく抱きしめる。ユキは安心してしまったのかもしれない。小さな寢息が聞こえてくる。すうすうと眠るユキにそっと布をかけてあげた。

優しく靜かな夜が流れる。

俺はあどけなさの殘るユキの寢顔を眺めながら、ずっとずっと傍に居続けようと誓った。

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