《包帯の下の君は誰よりも可い 〜いじめられてた包帯を助けたら包帯の下はで、そんな彼からえっちで甘々に迫られる高校生活が始まります〜》第6話、ホワイトデー⑤
俺と立夏によるクッキーの作りが始まった。
最初にやったのは計量を使っての分量計測。ボウルにれた材料の量を正確に測るというのは意外と面倒で、お菓子作りに初挑戦の人は割と適當にやってしまう事が多いらしい。レシピに書かれた分量をちゃんと守りつつ、どばっとれずにしずつ調整しながらやるというのがポイントなんだそうだ。
それからボウルに室溫まで戻したバターをれて砂糖をすり混ぜる。そこに卵黃を足した後、更に混ぜ続けた。
「この後に薄力を混ぜるんだけどね、そこにもポイントが一つあるんだー」
「ふうん、混ぜるだけなのにポイントが」
「そそ。あんまり混ぜすぎると焼いた時のクッキーの食が悪くなっちゃうから、っぽさがなくなるくらいまでさっくり混ぜるくらいで良いの」
「混ぜれば混ぜるほど味しくなるかと思った」
「時間をかけるのが味しさの訣じゃないんだよねー。大切なのはそこじゃなくて、要所を抑えること。それと食べてくれる人の事を考えて、どうしたら一番喜んでくれるのかを考えて作るんだ。わたしが橫についてその要所を教えてあげるからさー、雛倉くんは作業に勤しんでよね」
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「わかった、ありがとう」
俺は立夏の指示に従い、薄力を加えてゴムベラで丁寧に混ぜていく。そして混ぜながらユキの事を考えていた。彼の作る料理はいつだって味しい。それは立夏が言うように要所を抑えて的確に調理をこなしていけるから、その料理を食べる俺の事を考えてどうしたら一番喜んでくれるのか、俺の笑顔を想像しながら作ってくれるのだろう。だからいつも俺好みの味付けで、何を食べても舌が唸るほどに味しいのだ。
「あは、雛倉くん。今さ、ユキっちの事を考えてたでしょ?」
「え……っ」
図星だった。思わず揺してしまい手が止まる。
そんな俺の反応を見て、立夏は悪戯っぽく笑っていた。
「分かりやすいなぁ雛倉くんは。顔が真っ赤だよー」
「な、なんで分かった……?」
「そりゃね、ユキっちを見る時にしてる顔、今の雛倉くんしてたからさー」
「ユキを見る時の顔……」
「そそ。なんていうかなー、優しい顔するんだよね。ユキっちと一緒にいる時の雛倉くんって」
そう言いながらけらけらと笑う立夏から目をそらす。ユキを見ている時の顔を意識した事なんてなかったから、周りから見たらそんな分かりやすい顔をしていたのかと、そう思うと恥ずかしくて堪らない。
「恥ずかしがらなくても良いのに。さっき言ったみたいにさ、食べてくれる相手の事を考えながら料理するのってすっごく大事なことだから。早速実行しちゃうなんて雛倉くんは料理のセンスがあるのかもねー」
「……そ、そうだったら良いな」
照れ隠しにぶっきらぼうに答えると、立夏はにかっと笑って俺の脇腹をつついた。
「雛倉くん、それじゃあ味しいクッキーで喜ばせる為にも頑張っていこうねー。次の作業は――」
立夏は俺に再び指示を出す。心強い助っ人である立夏の協力があればきっと上手くいく。クッキーを食べてくれるユキ、秋奈、そして生徒會長の為にも作業に沒頭する。
それから俺達は無事にクッキーを完させた。
様々な形のクッキーが並んだテーブルを前に達と共に二人で笑い合う。
オーブンから出したばかりのクッキーからは甘くて香ばしい匂いが漂っていて食をそそられた。
作ったクッキーは3種類あって、シンプルなプレーンとチョコチップを混ぜたもの、それに更にココアパウダーを混ぜたチョコクッキーだ。ハート型だけじゃなくトランプのダイヤやクラブと言った形のものだったり、ハリネズミのようなの形にしたクッキー、特にお気にりなのは貓の形をしたクッキーで、3種類の生地を上手く合わせて三貓のような柄の可らしいクッキーを作った。食べるのがもったいないと思える程によく出來ている。
「雛倉くん、一つ味見してみたら? 焼きたてのクッキーってそうそう食べれるものじゃないしー」
「そうだな、それじゃあ3種類あるから一つずつだけ食べてみようか」
俺は丸い形のクッキーに手をばす。口にれるとさくさくとした食が伝わってきて、噛む度にバターの香りが鼻を抜ける。甘みもちょうど良くて今ここにコーヒーがあれば何杯でも飲めてしまいそうな程に味しかった。
「焼き立てってこんなに味しいのか」
「それもあるかもしれないけど、シンプルに雛倉くんのクッキー作りが大功ってことかなー。ほんと初めてとは思えないくらい上出來だよー」
「立夏が手伝ってくれたおかげさ。本當にありがとうな」
「いえいえー。冷えたら綺麗にラッピングして、ホワイトデーはばっちりだね!」
「後はどう渡すか、だな……」
渡すタイミングはどうしようとか、何て言って渡すべきなのか、それを考えると今から頭の中がぐるぐるしてしまう。すると立夏は俺の背中を押すようににかっと笑って、
「だいじょぶだいじょぶ! 勢いで何とか乗り切っちゃえ―」
その言葉を聞いてし肩の力が抜けた気がする。確かに変に取り繕うよりも、いつものように真っ直ぐな気持ちのまま渡した方が向こうも喜ぶはずだ。クッキー作りだけでなく、こうして笑って背中を押してくれる立夏の存在に謝しながら、俺は出來上がったクッキーを眺めていた。
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