《包帯の下の君は誰よりも可い 〜いじめられてた包帯を助けたら包帯の下はで、そんな彼からえっちで甘々に迫られる高校生活が始まります〜》第6話、ホワイトデー⑪

マンションに帰った俺とユキは著ていた上著をいだ後、二人でリビングへと向かった。

3月も半ばで暖かくなってきたとは言え、若干の寒さをじてオイルストーブの電源スイッチに手をばす。

ユキはキッチンへと向かうとコーヒーを淹れ始めて、俺も彼の手伝いをする為にマグカップを用意し始めた。

芳醇なコーヒーの香りが部屋の中に漂い始める。その匂いを嗅いでいるだけで、心が安らぐじがしてほっとした。

俺達は湯気の立つ溫かなコーヒーのったマグカップを片手にリビングのソファーへと腰掛ける。

ユキはミルクと砂糖のたっぷりったカフェオレを一口飲んでから、ほっと息をらしていた。

「放課後は本當に助かりました。あのままだったらきっとけ取ってしまっていたと思います」

「あのブランドのバッグな。俺もちょっとびっくりした」

俺もブラックのコーヒーをに流し込みながら、ちらりとユキの方に目を向ける。先ほどまで寒そうにを震わせていたが、今はもうすっかり大丈夫のようだ。ただやはりいつもよりも元気がないのは間違いない。

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バレンタインのお返しとは言えだ。高価なブランドのバッグは流石にやりすぎだと思っていたが、まさかあんな事をしてくる生徒がいるとは予想外。

ユキがバッグをけ取らずに済んだ事に安堵する一方で、もしもあの場で俺が止めなかったら一どうなっていたのだろうかと不安が募る。今後、似たような事が起こらないとは言い切れないのだ。

ユキは優しい子だから、斷るのは苦手なタイプだ。だからこそバレンタインから始まり、ホワイトデーでも大変な目に合ってしまったわけで、これからはそういう事がないように二人で話した方が良いのかもしれない。

俺と目が合ったユキは苦笑いを浮かべた後、再び一口だけカフェオレを口に含んでからゆっくりと話し始めた。

「他の皆さんはどういう風にしているのでしょうか? バレンタインだったり、ホワイトデーだったり……」

「大勢の人達に配らないっていうのが良かったのかもな。秋奈もたくさんの人から頼まれたそうだけど義理チョコは用意してなかったし、立夏の場合もバレンタインは何処吹く風ってじらしいし、生徒會長も人気者だけどチョコは生徒會の役員だけに絞ってた」

「そうだったんですね……。皆さん、親しい方だけに配ったり……」

「ユキは素直で優しい子だから、バレンタインの時は々な人にチョコをせがまれて、それを全部抱え込んじゃったけどさ。來年からはやり方を変えた方が良いのかもな」

「今度からはなるべく斷れるようにします。それに……晴くんにも迷をかけてしまいました。バレンタインの時も、今日だって」

「迷なんて思ってないし、俺だって力になれる事があるなら手伝うよ。気にしないでな、ユキ」

「……はい。ありがとうございます」

ユキは嬉しそうな笑顔を向けてくれたけれど、やっぱりその表にはし影があった。

無理もないと思う。いきなりあんな事に巻き込まれれば誰だって困してしまうのは當然の事。

俺は彼を勵まそうと手をばす。

ぽんっ、と頭の上に軽くれてやるとユキはそのまま俺の手に頭を預けるように寄りかかってきた。

「晴くんの手は暖かいです。いつもあたしの味方になってくれる、優しい手で……こうして貰っていると安心できます」

「そうか。それなら良かったよ、ユキの言うように俺はいつでも味方だからさ。困った時は頼ってくれよな。今日だって何か他にあれば言ってしい」

「それなら――もっとでてしい……ですね」

上目遣いで見つめてくるユキ。その瞳は潤んでいるように見えた。

今日も以前のバレンタインの時のように、彼にとってたくさんの初めてがあって疲れてしまったはずだ。そんな彼しでも癒せればと俺はユキの綺麗な白銀の髪を優しくでてやる。

さっきまでの影の落ちた表にはらかさが戻っていて、ユキは気持ち良さそうに目を細めていた。ふにゃりと緩んだ彼を見つめながらそっと手を離す。

あっ、と殘念そうに聲を上げるユキ。離れていく手を名殘惜しそうに見つめる彼に俺は優しく微笑んだ。

「また後でゆっくりな。それより今日はさ、俺もユキに渡したいものがあったんだ」

ソファーの橫に置かれている鞄に手をばす。

ユキは不思議そうな顔をしていたが、俺は取り出した箱と小さな袋をテーブルの上に置いた。

らしくラッピングされたその二つを見つめるユキの表はみるみるに明るくなっていく。そして、俺とプレゼントを互に見てからおずおずと尋ねてきた。

「晴くん、もしかしてこれ?」

「俺からのホワイトデーのプレゼント。今日はユキ、んな人に囲まれてて渡すタイミングが見つからなくて、渡すのが遅くなってごめんな」

「そ、そんな事ないです! むしろずっと待たせてしまっていたみたいで……あたしの方こそごめんなさい」

申し訳なさそうに謝ってくるユキに俺は首を振ってから、テーブルの上のプレゼントを手渡した。

「今日はユキも々あって疲れちゃっただろうからさ。これでしは元気が出てくれたら良いんだけど」

「こうして頂いただけでも十分元気になっています。開けてもよろしいですか?」

「どうぞ」

ユキは丁寧にリボンを解いていき包裝紙を開いていく。まず初めに開けたのは俺の手作りクッキーで、貓の形をした可いクッキーをユキはじっと見つめていた。

俺の視線に気付いたユキは照れくさそうに頬を染めながら俺に問いかけてくる。

「これ……手作り、ですよね?」

「ああ。今日に向けて々と準備してさ、頑張って作ってみたんだ。食べてみて」

「はい!」

ユキは袋の中のクッキーを取って、それを口の中へと運ぶ。サクッとした音が聞こえて彼の顔がほころんでいった。

「晴くん、これすっごく味しいです! バターの香りがふんわりとしていて、ほんのり甘くて……何枚でも食べられそうです」

「初めての挑戦だったから々と心配があったんだけど、ユキがこうして喜んでくれるなら作ってみて本當に良かったよ」

満面の笑みを浮かべるユキを見てほっとする。

もぐもぐとクッキーを食べるユキ。俺は彼の口元に付いたクッキーの欠片を取ってやろうと手をばすのだが、ユキはその手に頬を當たるように首を傾げて、幸せそうな表のまますりすりと頬をこすった。

「あ……ユキ、その口元にクッキーがついてるから」

「ふふ。そうだろうなーって思いましたよ。でも晴くんの手が大好きで、近付いてくると頬ずりしたくなってしまうんです」

「まったく、仕方がない奴だな……」

呆れたような口調で言うが、心では嬉しいと思っている自分がいる。

甘える貓のような仕草を見せるユキのに親指をそっと寄せた。ぷっくりとした桜らかなに指先がれる、口元のクッキーを取ってあげたいだけなのだが俺が指をかす度にそのぷるんとしたは揺れて、くすぐったそうにユキは小さく聲をらしていた。

そしてゆっくりと手を離すと、満足そうにしているユキはカフェオレを一口飲んで一息吐く。今度は俺が作ったもう一つのプレゼントを大事そうに抱えた。

「こちらの方も晴くんがあたしの為に選んでくれたんですね」

「まあな。誕生日プレゼントの時みたいな大したものじゃなくて悪いんだけどさ」

「そんな事ありません。晴くんが一生懸命考えてくれたもの……凄く嬉しいです」

「そう言って貰えると俺も安心するよ」

ユキはそっとその包みを開ける。中にっていたのは青った小瓶で、それを目にした瞬間ユキは嬉しそうに笑顔を見せた。

「これ……あたしがしいって思っていた香水……? あの、どうして晴くんがこれを?」

「実はクッキーを作ったのも立夏に協力してもらったんだけどさ。その時にもう一つプレゼントを用意するなら何が良いかって聞いて、立夏がこの香水の事を教えてくれた」

「立夏さんが手伝ってくれたんですね。それで、この香水の事も……。今度お出かけする時は、必ずこの香水を付けていきますね」

「うん。ユキには是非とも付けて行ってもらいたいな。凄く良い香りだったしさ」

俺はユキの髪にれて、そっとでていく。すると彼は気持ち良さそうにして俺にもたれかかってきた。

「今日はんな人にホワイトデーのプレゼントを頂きましたが、こんなに幸せな気分になれる贈りは晴くんのだけです。本當に……ありがとうございます」

白くらかな頬を僅かに紅く染めながら、ふにゃりと綻んだ笑みを見せてくれるユキ。

あどけなく微笑むその姿はまるで天使のように可らしく、それは俺だけに見せてくれる特別なもの、他の誰にも決して見せたくないと思う程におしかった。

俺はらしいユキを抱き寄せながら、テーブルの上のマグカップへと手をばす。彼と一緒に飲むブラックコーヒーは砂糖をれていないはずなのにとろけるのように甘い味がした――。

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