《【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖、お前に追って來られては困るのだが?》19.大賢者は冒険者ギルドを追放される

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19.大賢者は冒険者ギルドを追放される

しばらく待たされた後、階段から一人の男が下りて來た。

周囲は一通りざわついた後、次はヒソヒソ話を始めている。

まあ、勇者パーティーを追放になった男が現れれば、市井の者はざわつきもするだろう。

さて、階段から下りて來たのは、頭の禿げあがった、筋骨隆々の男だ。かつて冒険者だったのだろう。そういう雰囲気が見て取れた。

「アリアケ=ミハマ。本か?」

「そうだが。そういうあなたは?」

そう答えた俺を、男は睥睨するように見てから、

「人相書きとも一致するな。はあ。どうやら本のようだな。俺はここのギルド長のオシムだ。ふん、よく恥ずかしげもなく、冒険者ギルドへ顔を出せたものだ!!」

いきなり大聲で、怒鳴る様に言った。

周りのヒソヒソ話も靜かになる。耳をそばだてているのだ。

そんな中、ギルド長のオシムは、大きく息を吸い込んでから、

「アリアケ=ミハマ! 元勇者パーティーの一員であるお前から、冒険者ギルドのライセンスをはく奪する!」

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宣言するように言った。

「まじかよ!」

「すげえ、ライセンスはく奪だと⁉ そんなの相當な罪を犯さなきゃ、くらわねえ罰則だ!」

「こいつはすげーニュースだぜ! かつての勇者パーティーのメンバーが、墮ちるとこまで墮ちたってな!」

周りがまた一気に騒ぎになった。注目の的といったところだ。やれやれ。目立たないという目的はどうやっても達できなさそうである。

だが実は俺もし興していた。

(俺の予想を上回ったか)

そう小聲で言った。

(旦那様、なんで嬉しそうなんじゃ? こやつら、旦那様から何か知らんが剝奪するとか言っておるのじゃぞ?)

(いやいや、俺の予想を上回れることが滅多にないのでな。ふむ、ランクをEまで降格される程度かと思っていたのだが・・・。こいつら俺の予想を超えたぞ?)

これでは薬草取りの依頼をけることもできない。また、素材の買い取りもギルドにしてもらえないということだ。他の商店でも買い取りはしてもらえるが、ギルドよりも安くなるだろう。

(困ったものだなあ)

(もうちょっと困った顔をしてから言うものではないかのう?)

(おっと、そうだな)

俺は粛然とした顔をする。

「一つ尋ねたい」

「なんだ。もはやお前が冒険者ギルドに戻ることはできんぞ」

「へ?」

俺は目をぱちくりとさせ、

「いや、そんなことはどうでもいい。というか、何でまた再登録なんぞせねばならん。面倒くさい」

「そ、そんなことだとっ・・・」

ギルド長が絶句する。

義理でっていただけだからなぁ。申しわけないが、あんな面倒なのはもう頼まれてもごめんだ。

俺は真っ赤になるギルド長の反応を無視して続けた。

「魔の森が近隣に出來たと聞いた。そんな最中にライセンスはく奪というのは、なかなか思い切った判斷だと思ったのだが?」

「ふん! 何かと思えば、そんなことか。ははは、殘念だが、勇者パーティーを追放になったお前ごときの力を借りるまでもない! どうせそのことを拠にライセンスはく奪の処分を取り消させようとする魂膽だろうが、そうはいかん! お前の処分が緩むことはない‼」

鬼の首を取ったように言う。周囲も一緒に嘲笑やらではやし立てる。

「いや、だからそんなことはどうでもいいんだが・・・。まあ、今のでおおよそ分かった。今は第1段階の”兇荒”狀態だと思うが、その対処に誰かが向かっているんだな?」

「その通りだ。先ほど言っただろう。王國の勅があったと!」

なるほど、そういうことか。

「王國騎士団か。・・・だが、なぜ勇者パーティーではない?」

俺は疑問に思う。もちろん王國騎士団が出向くこともあるが、ここは王都から見て遠い。ならば、近くにいる勇者パーティーに討伐依頼が出そうなものだが・・・。何かあったのだろうか?

「そんなこと知るか! ともかく、お前の出番はもうない‼ 勇者パーティーを追放になったような無能にはな! 俺たちだけで魔の森討伐は十分だ! 今、王國騎士団が討伐に向かっている! そして、最奧のボスを倒したらここの冒険者たちで掃討戦を行う。それで終わりだ!」

「そうだそうだ! ははは、無能は出ていけ!」

「二度と顔を見せるな、アリアケ=ミハマ! 勇者パーティーに馴染というだけでっていた役立たずめ」

「俺たちだけで十分なんだよ! お前の助けなんて全く必要ねえぞ」

ギルド中が興し、俺をあしざまに罵り、嗤った。勇者パーティーの一員だったという嫉妬もあるのだろうか。今回の事件がもはや終わったことだとでもいうかのように、嗤い続ける。

そして、その直後『ダン!』という暴な音を立てて、冒険者ギルドの扉が開かれたのであった。

そこには一人、みどろの騎士が一人、倒れこむようにしてって來る。

鎧は破け、剣は折れていて、息が上がっていた。

そして、その死にかけの騎士は大きく息を吸い込むと、

「と、討伐は失敗!」

そうんだ。

続けて、ギルドにいる全員に向かって、

「モンスターの大軍が街へ進行中! お前たちは至急防衛に當たれ! これは王國から冒険者ギルドへの強制命令である! 逃亡は死刑だ!」

そう命令し、気を失った。

冒険者ギルドには、王國からの急招集を斷れないという法がある。

一瞬、ギルドはシーンとなった。そして、

「そ、そんな、噓だろ⁉」

「話が違うぞ! 俺は楽なクエストだからって來ただけなのに!」

「や、やだ! なんでこんなことに! 騎士団が勝てない相手に俺たちが務まるわけがないわ‼」

「だ、だが、逃げたら死刑だって。どうすればいいんだよ⁉」

一気に阿鼻喚の様相となった。

初心者の冒険者グループやレベルの低い冒険者には泣き始める者もいる。

ギルド長は先ほどまで真っ赤だった顔を青ざめさせていた。

「ふむ、騎士団め。全滅しそうになったから、モンスターたちを引き連れたまま退卻してきたか・・・」

俺は騒然とするギルドで、一人はぁ、とため息を吐いた。

「騎士団ともあろうものが、馬鹿者たちめが」

「面白かった!」

「続きが気になる、読みたい!」

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