《【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖、お前に追って來られては困るのだが?》25.一方その頃、勇者ビビアたちは⑧(聖さん往く)
一旦ここで完結としておりましたが、読者様より続きを読みたいと言う沢山のリクエストを頂きましたので、続きを執筆して行きたいと思います。
本當にありがとうございました。
今後ともどうか本作をよろしくお願いします。
25.聖さん往く
「ちくしょう! 王國のやつらふざけやがって! なにがペナルティだ! 俺の今までの王國への貢獻を忘れたか! 恩をあだで返しやがって!」
バリン!
俺の投げた花瓶が壁にぶつかって割れた。
「ちょ、ちょっとビビア落ち著いて」
「そ、そうだぞ、ビビア。仮にも勇者とあろうものが短気を起こしては・・・」
「うるせえよ! 誰のせいでこうなったと思ってやがる!」
「だ、だってそ、それは・・・」
デリアが何か言いたげな瞳でこちらを見て來た。
くそ、今まで従順だったくせに、何だその目は! まるで俺のせいだとでも言うかのようで気にらない。
「でも確かに、かなり重いペナルティでしたね。まさか聖剣を沒収されるなんて。勇者パーティーの証明書を剝奪されたようなものです。それに、私たちの能力に疑問符がついたのでしょう。聖剣の返卻の條件がランクDクエストの任務達とは・・・」
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聖シンシアが言った。
このはどうやったのか、プララを逃がした後、驚くべきことに生還したのである。だが、はた目には大丈夫そうだが、実はそのはボロボロで、しばらく戦闘は無理だとの事だ。
「戦いの途中、運よく落としのトラップに引っかかって、逃げることに功したのですが・・・。しばらくは休養が必要です」
などと言っていた。
と、そこに、
「當然かもね。仲間を見捨てて逃げるような勇者パーティーに聖剣がふさわしいはずがない・・・」
ぽつりとした聲が響いた。それはベッドに寢るプララであった。
プララはフェンリルから逃げてダンジョンのり口へたどり著くまで、やはり何度もモンスターに襲われ、命からがら逃げかえって來たのだ。そのことは彼のトラウマとなっている。
「ふざけんな! プララ! どの口が言ってやがる! 今回のクエストの失敗は、もとはと言えば全部お前のせいなんだからなっ! お前が魔法さえちゃんと使えればこんなことにはならなかったんだ!」
「⁉ そ、そんな・・・ひどすぎるよ。あたし一生懸命やってたのに・・・。しかも見捨てた上に、全部あたしのせいだなんて・・・うう」
「うるせえぞ、それ以上口を開いたらまじでクビだからな。勇者パーティーをクビになったら、変な噂が立つ。だから他に行くところなんかねえんだよ、てめえには。・・・はぁ、んなことより、失敗の教訓から學ぶほうが大事だろうが。今回は要するにアリアケのやっていた役割・・・あー、ナビゲートだっけか。要するにその雑務擔當がいなかったのが原因だな。なら、その代わりを募集すりゃいいだけだ。んで、エルガー、指示しといたが、ちゃんといい人材は募集できたのかよ。ま、勇者パーティーに參加したい人間なんて幾らでもいるだろうけどな」
俺は鬱陶しくなった時間をさっさと終わらせたくて、プララのことは無視して次の話題に話を進めた。
「ああ、とりあえず1人選んでおいた。採用條件の中でも一番優秀だったんでな」
「たかだか雑務に優秀も何もあるかよ」
俺は馬鹿にした様子で言う。
『バシュータ』という名前のナビゲーター職の男のようだ。
募集條件にあった、各種補助スキルなども使える。これでアリアケの代わりになるだろう。
「補助スキル持ちさえれば、今まで通りの果が出せる。ふん、そのDランクのクエストをさっさと突破して、國王に泣いて土下座させてやる! ははは、はははははははははは!」
「あ、ああ。そうですね、ビビア様! 前回はちょっといつもと調子が違っただけですわ!」
「うむ、そうだな。今度こそは大丈夫だ。何せ俺たちは馴染。心の通じ合ったパーティーなんだから」
3人は調子を取り戻したかのように、明るく笑い合った。
「・・・・・・」
だが、プララが俺たちの様子をどこか冷めた目で見ていた。
その視線の雰囲気を俺たちも何となくじて、明るい雰囲気は徐々に消え、どこか重苦しいじになる。
誰も何も言わず、誰かが微かに立てる音だけが靜かに響いた。
と、聖が口を開いた。
「では私はこれで失禮します。申し訳ありませんが調のこともありますので、しばらくパーティーを抜けさせてもらいます」
「あ、ああ、そうだったな。気を付けて。そうだ、調が戻ったら連絡してく・・・」
「では失禮します」
俺の言葉を最後まで聞こうともせず、アリシアが姿を消した。それはまるで俺のことなど眼中にないとでも言うかのように・・・。
くそ!
俺は心更に悪態を吐いた。
なんでこんなことになったのだろう。アリアケなんていう役立たずを放逐しただけなのに。
(いや、その代わりはったんだ。次で挽回できる。それで聖や國王、他の民衆共にもう一度俺がいかに優れた勇者かを証明するんだ)
俺は再びあの人々に稱賛される日々が訪れることを期待して、を躍らせるのだった。
~聖アリシア=ルンデブルク~
「んふ」
勇者たちから遠く離れて、私は思わず微笑みを浮かべた。
「んふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
おっと、いけないいけない。聖なのにはしたない聲を上げてしまいました。
「こほん」
と一つ咳払いをします。
でも、しょうがないのです。だってだって、
「待っててくださいね、アリアケさん」
ほんの數日離れていただけなのに、既に≪アリアケさん分≫が切れています。
「今からアリシアがそちらに參りますからね~♡」
同じ空の下にいるであろうアリアケさんのことを思い浮かべながら、私はウキウキと旅支度をはじめたのでした。
思わず鼻歌など歌ってしまいながら。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるのっ……!」
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