《【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖、お前に追って來られては困るのだが?》27.エルフの長

ちょっと前半分を加筆修正しました。しは読みやすくなったかな。(8/15)

27.エルフの長

「このたびは同胞が申し訳ありませんでした」

俺たちをこっそりと家に招いたセラ・・・エルフ族のお姫様は、改めて俺たちに謝罪の言葉を口にした。

「うむうむ、苦しゅうないぞ! わしはいいから旦那様へしっかり詫びをするのじゃ! うまうま! それにしてもエルフと言うのは高慢な者が多いと聞いたが、そうでもないのじゃなぁ」

コレットはセラから出された手料理に舌鼓をうつ。

だが、俺は肩をすくめる。

「エルフ族というのは普通プライドが高いので、人間に対して頭を下げることは滅多にない」

だから、こうして≪エルフの謝罪≫をける、というのは本當に特別なことだ。

無論、彼に俺の真の才能を見抜く目があるからこそ、自然と頭を下げているのだろう。

非才である者ほど俺の力を見抜けないというのは皮な話だ。

「アリアケ様のお話は伺いました。本當に素晴らしいご活躍です。まさに救世主としての働きと思います」

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やれやれ。

「大したことではないさ。それにお前の謝罪はもうけ取った。もう謝る必要ない」

「その上とても寛容なのですね。エルフにもあなたほどの方はおりません」

俺は肩をすくめ、

「失禮ながらこのエルフのお姫様のセラ姫こそ、実はエルフ種族の中では変わり者だと思うぞ」

「ぜひセラとお呼びください。ですが、率直なことで。私のことを分かって下さる方とお會いしたのは、うふふ、初めてです」

どこか嬉しそうにセラは笑った。

俺もしその気持ちが分かった。

俺のような特別な位置にいる者のことを、普通の人々が理解することは手に余るのだ。生き方や才覚が違うためそれは仕方ないなのだが・・・。

しかし、だからこそたまに自分の本質を他人に指摘されると、何だかとても嬉しくなるのである。まるで自分が特別だということを、一時でも忘れられるかのように。

「それはともかく、事を聞かせてもらおう。助けるか助けないかは、その後だ」

「ごもっともです」

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は居住まいを正すと話し出した。

「実は1年ほど前からこの森に異変が起き始めました。お聞きになられたかと思いますが、我らの故郷たる≪沃の森≫の木々が枯死し始めたのです」

「その原因は?」

「よく分かりません」

セラは首を振った。

「兄がエルフ長になったのが10年ほど前。別段、おかしいことをしているわけでもないのに、ここ最近になって森に異変が起こり始めました。いえ、むしろ兄がエルフ長になってから、木々は一時とても活力があったくらいなのですが」

「ほう」

俺は顎に手を當てた。

「しかし・・・今となっては、木々は枯死し、結果結界が弱まり、モンスターが出現し始めた。兄は焦り、その原因を々と考えたのでしょう」

「結果、俺と言うわけか?」

「じゃが、追放の時期はほんの數週間前じゃぞ? 枯死し始めた1年前とは時期が合わぬのではないかの?」

「アリアケ様が勇者パーティーに加していたこと自が、災厄の原因だと兄は言っています」

「なわけないじゃろ。愚かじゃなあ」

「ええ、はい。我が兄のこととはいえ、お恥ずかしい限りです。エルフの恥でございます」

セラは眉を寄せる。

「メディスンの町の活躍のことはお聞きしました。まさに勇者パーティーにふさわしき大賢者としてのご活躍。あなた様が福音をもたらすことはあれ、災厄をもたらすなどとは、とても思えません。反対にアリアケ様ほどの方を追放などと、勇者パーティーは何をしているのか、と憤っている次第です。というか、やはり頭がおかしいのでしょうか・・・」

「また大げさなことを・・・」

「大げさではないのじゃ! うむうむ、セラよ! そなたなかなか見どころがあるの! じゃが、旦那様はやらんぞ! 旦那様はわしの旦那様じゃからの!」

「ま、まあ。そんな。私なぞとてもつり合いません・・・」

そう言って、なぜかセラが頬をピンクに染めて、ちらちらと俺の方を見た。

途中から話がよく分からなかったが、

「話は分かった。だが、実を見ないことには判斷もつかないな」

「! それではっ・・・!」

「エルフ族を救うかどうか、判斷はまだだ。ともかく森へらせてもら・・・」

そう言いかけた時であった。

「その必要はない!」

バン!

扉を開き、數名の男たちが押しって來た。手には弓や槍を持っている。

その中心にいたのは、

「ヘイズお兄様・・・」

「セラよ。これはどういうことだ! 災厄の種を里へ呼び込むとは!」

だが、セラはその言葉に強い言葉で言い返した。

「アリアケ様が災厄の種などとは失禮千萬です。謝罪してください、お兄さま!」

「た、たわけめ! 誰が人間に謝罪などするか。勇者パーティーを追放になった男などに篭絡されおって! いや、何か魔でも使われたか。ええい、もういい。衛兵!」

「はっ!」

「3人を≪封印牢≫へ閉じ込めよ! あれならば、並大抵の魔力波は封じ込められる。セラはしばらくそこで頭を冷やせ! そして、アリアケとその仲間はそこへ永遠に幽閉する! そうすれば災厄もおさまろう!」

「お兄様! なんて愚かな! アリアケ様こそがエルフ族を救う存在だということが、どうして分からないのですか⁉ 外に目を見開けば、こんなことは誰にでも分かることです! アリアケ様がいかに優れた方かなどっ・・・。むしろ他の勇者パーティの方々が愚か者であることなど自明の理ですっ・・・」

「ええい、黙れ黙れ!」

セラのびもむなしく、彼はすぐに捕らえられてしまう。

「さて、どうしたものかな」

一方の俺は悩ましく首をひねった。

「ふん。何と泣きぼうと許しはせぬ。せいぜい自分のこれまでの行いを悔い、牢で大人しくするのだな。命を取らぬだけ有り難く思え!」

だが俺は、

「はい?」

とポカンとして、

「視野の狹い男だ・・・というか閉じているな、ヘイズ、お前の視界は。まあ、エルフらしいと言えばエルフらしいか。だが、エルフの長としてはもう長を求めたいところだ。まあ、まだ青二才では仕方あるまい、今後努めよ。・・・何にしろ、妹に謝しておけ」

「なつ!? へ、減らず口を・・・」

「お前こそな。命があるのは、妹のおかげだぞ。まったく馬鹿者めが。いきなり踏み込んだ時點で、セラの家でなければ、俺に敵として認識され、迎撃されて即死だったぞ? 人の家をで汚すのをためらったから、ヘイズ、お前の命は今まだあるのだ。それに、俺が悩んでいるのはな、お前たち種族の命運そのものだ」

そう言いながら、よっこらしょと立ち上がる。

「に、逃がすな! 衛兵!」

「はっ! 大人しくっ・・・」

「実力差も読めんのか、お前らは?」

ドン! と俺にまとわりつこうとした衛兵たちが、軒並み吹きとばされた。

「なっ⁉ こ、これほどの差がっ・・・! た、たかが勇者パーティーを追放された役立たずポーターのはずなのに!」

「メディスンの町を救った英雄なのですよ! お兄様! もっと外に目を向けてください! もはや中だけで完結できる時代ではないのです! その方は本當の大賢者様です! きっとこの世界をお救いなる歴史的な人に間違いないのですよ!」

「いや、そんな大それたものではないからな。そこは訂正しておく。そういう役割は頼むから引退させてくれ・・・」

「訂正を訂正するのじゃ! 旦那様こそゲシュペント・ドラゴンの末姫たるこのわしコレットの唯一の乗り手なのじゃから! もっと世界に羽ばたいてもらわぬとなぁ!」

「は? ゲシュペント・ドラゴンとその竜騎士だと? そんな神話のような話があるわけが・・・」

「あー、もう、話がそれまくっているぞ、お前ら。と・に・か・くっ!」

俺は話の流れを斷ち切るように言った。

「ヘイズとしても俺が封印牢に行くことは歓迎なのだろう。ならば、俺は封印牢に行くとしよう」

「なっ!? それはどういう・・・」

「そうすれば、お前も見極めがつくだろう。何が≪枯死≫の原因なのか、な。エルフのリーダーはお前なんだ。せいぜいしっかりと見極めよ」

俺の言葉にヘイズは目を剝いた。

それは、俺と言う男が、どれだけ広い視野で事を見ているのか、思い知ったと言う風な顔であった。

「お、お前は・・・。お前は本當にアリアケ=ミハマなのか。追放された、無能と言われた、あの噂の・・・」

「どんな噂か知らんが・・・。その噂は一誰の口からきいたことなんだ? そして、目の前で一何が起こっているんだ? ここは里の外ではないぞ? お前が重視している、里の中でまさに起こっていることなのだぞ?」

「⁉」

俺はそう言い殘して、封印牢へ案するように衛兵たちに命じる。

衛兵たちは立ちすくむヘイズの顔を窺いながらも、とにかく俺の言葉に従い、封印牢へと案したのであった。

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