《【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖、お前に追って來られては困るのだが?》31.一方その頃、勇者ビビアたちは⑨ ~勇者は仲間を募集する~

31.一方その頃、勇者ビビアたちは⑨ ~勇者は仲間を募集する~

俺たち栄ある勇者パーティーは『ラクスミ―』という、そこそこ大きな街を訪れていた。

王國のクソどもが、前回の冒険の失敗を理由に俺様から聖剣を取り上げ、その返還條件として、この町でのDランククエストの達を條件にしたためだ。

(Dランクだと! はっ! 俺は勇者だぞ⁉ そんなものは、雑魚冒険者どもに任せておけばいいのにっ!)

屈辱にをゆがめる。こんなクエスト、楽勝すぎるのは明白だった。

だが、

「とはいえ、回復士のメンバーを募集する必要があるな」

俺たちは冒険者ギルドのテーブルを囲い座っていた。

現在のメンバーは拳闘士デリア、盾役のエルガー、魔法使いプララ。そして、ポーターとして雇ったバシュータという男の計5人だった。

大聖アリシアは前回の冒険で大怪我をしたようで、まだ連絡はなかった。

さすがに後衛の回復役なしで冒険に出るような真似は出來ない。

「ふん、まあ王都ではない片田舎の街とは言え、そこそこの街だ。勇者パーティーからの呼びかけともなれば、數十人は集まるだろう。ははは、むしろこれからの選抜が思いやられるな」

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「その通りですわビビア様。とりあえず書類審査で9割がたは落としてしまうとしても、結構殘りますからね」

「最後はどうしても面談だからな。ま、俺たちは人を見る能力だけはあるからな。しっかりと見極めるとしよう。なぁ、プララ」

「ん・・・ああ、そうだね・・・」

仲間たちと、殺到して來るであろう新たなメンバーを待つことにする。1、2日もあれば相當の応募があるに違いなかった。

しかし・・・。

「どうして全然集まってこねえんだ! しかも、かろうじて集まって來るのはろくに初級ヒールも使えねえ奴らばかりじゃねえか!」

「そのうえ、報酬の前払いが條件だと言ってきています。完全に途中で走する気ですわ」

「ど、どうする勇者よ・・・。審査基準を下げないと面談まで進める応募者が一人もいないぞ・・・」

「お前は馬鹿か、エルガー‼ 審査基準を下げて面談して採用したとしても、とてもこんな奴らに後衛なんて任せられるわけねえだろうが!」

「む・・・。馬鹿とは言いすぎなのではないかっ・・・」

くそったれが! と俺はテーブルを蹴り倒す。

「なんで栄えある俺たちのパーティーにこんな雑魚どもしか集まってこねえんだよ! おいデリア! お前の募集の仕方に問題があったんじゃねえのか⁉」

「そ、そんな!?」

「もしくは、実際にビラを作ったのはエルガーだったな・・・。本當に鈍《どん》くせえな! てめえのせいでとんだ時間の無駄をくらっちまったぞ!」

「なあっ⁉」

俺の腹の蟲は収まらない。ミスをした仲間共を叱責するのはパーティーリーダーである勇者たる俺の役目だ。

しかし。

「くくく、見てみろよ、あれ」

「本當だな。へへへ、みっともねえ奴らだぜ」

「ああ、奴らが例の・・・くっくっく」

どう見ても俺より格下の冒険者どもが、遠巻きにこちらを嗤っていることに気づいた。

俺は怪訝な顔をする。今までこんなことはなかったからだ。勇者である俺を嗤うヤツなんている訳がないし、いて良いはずもない。

恐らく、こんな田舎のを知らない駆け出し冒険者か何かで、禮儀を知らないのだろう。格下をいきなり脅かすのもかわいそうだ。ここはし世の中を分からせる程度にしてやるとしよう。

「おい、お前たち。俺たちが誰だか知らないのか! 俺たちは栄ある勇者っ・・・」

そう言いかけた俺の言葉を、

「知ってるさ! あの聖剣を沒収された間抜け勇者パーティーだろうっ!」

そう言って、あろうことか遮ったのである。

「は?」

俺は言われたことが理解できず固まる。奴らは言葉をつづけた。

「『呪いの窟』で仲間を見捨てて逃げたんだって⁉ 本當だったら『冒険者ライセンス剝奪』だぜっ! よかったな、國がかばってくれてよう!」

「その上、大聖様にも見放されたって噂じゃねえか!」

窟から逃げかえってきた時は、泣いて震えてたらしいな! はははは、普段えらそうなくせして、けねえ奴らだぜ!」

ギルド中が俺たちを心底馬鹿にしたような笑い聲に包まれた。

俺は余りの屈辱に顔を真っ赤にする。殺意すら抱くほどに。

だが、次の言葉で逆上していた俺の溫は、逆に凍り付いてしまう。

「それに比べてアリアケさんは立派だよなぁ」

「は?」

何だって?

「ああ、あの方こそまさに人々を助ける救世主様だ」

「口だけのコイツらなんかとは違う。本當の意味での賢者様だよなぁ」

「ちょ、ちょっと!」

デリアが焦った聲を上げた。

「どうしてそこでアリアケなんかの名前が出るのよ!」

「そうだ! あんな非力で無能な男の名前がどうして出る!」

エルガーも抗議の聲を上げた。

すると冒険者たちは意外そうに、

「なんだ知らねえのか? ついこの間『メディスンの町』の近くに魔の森が出來たんだ」

「そのことくらいは知っている! 王國騎士団と冒険者たちが総出で防衛したともな!」

だが、冒険者は馬鹿にしたように鼻を鳴らすと、

「そりゃ國の建前さ。王國騎士団は全滅して、街は壊滅寸前だったんだ。もう無理だって皆諦めてた。そこにアリアケさんが來て、リーダーとなって冒険者たちをまとめあげ、一致団結して、魔の森のモンスター1000を撃退したんだよ。しかもボスはキング・オーガだったんだぜ」

「なんだって⁉ そんなわけがっ・・・!」

「信じられねえのも無理はない。だが事実だ。何せ俺もその戦闘には參加したからなぁ。ここにいる奴らの中には、そん時にアリアケさんに世話になった奴は大勢いるぜ」

まさか! そう思う。

だが、冒険者の言葉に、「俺も」「俺もだ」「アリアケ殿に助けられた」などと、アリアケの野郎を慕う言葉が次々と溢れ出て來たのである。

「それに最近は風の噂だが、エルフの里を救った、なんていう噂もある。エルフ族がアリアケさんのファンクラブを作ったなんて話もあるくれえだ。まったく、エルフ種族が人間を褒めるなんてことは前代未聞すぎて、ちょっとした評判だよ」

「し、信じられないっ。そんな馬鹿なっ・・・!」

俺は悔しすぎて歯噛みする。

ぎりぎりと歯が鳴り、膝に爪が食い込んだ。

と、その時である。

「ね、ねえ。やっぱりアリアケに謝ろうよ」

プララがそんなことを言い出したのである。

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