《【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖、お前に追って來られては困るのだが?》36.一方その頃、勇者ビビアたちは⑭ ~勇者は怒りにを焦がす~
36.一方その頃、勇者ビビアたちは⑭ ~勇者は怒りにを焦がす~
「も、もしかしてアリアケさんがいないから、勇者様たちは冒険が下手くそになっているのですか?」
ぷちん・・・。
ローレライの言葉に、俺は頭の中で何かがはじけるような音を聞いた気がした。
「う、うがああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
頭が真っ白になり、知らぬ間に雄たけびのような聲が俺の口から轟《とどろ》いていた。
「ゆ、勇者様⁉」
「い、いきなりどうしたんだ⁉」
「び、びっくするじゃんっ・・・!」
誰かの驚く聲が口々に聞こえてくるが、俺はなおも絶を続けていた。
「あの、勇者様。ボスを前に大聲を出すなんて駆け出し冒険者でもありえないのですが・・・」
誰かの冷靜な聲が響いた。
その聲は俺に比べてだいぶい。
なのに、その落ち著いた言葉はひどく俺の心をえぐった。
「う、う、うううううううううううううううううううううぅぅぅぅぅ」
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なぜか目の前がぼやけてしまい、見えなくなる。
熱いものが頬を流れていくのをじた。
一何が起こっているのだろう。
「ちょ、ちょっとローレライ! もうっ・・・もう、やめてあげてよぅ‼」
誰かの悲鳴のような聲が響いた。
「だ、大丈夫よ、勇者。勇者はちゃんとやってるわ。慣れないパーティーでの冒険だったんだもの仕方ないわよ。だからね、もう泣かないで・・・」
「う、うむ。そうだぞ。男には泣いて良いときもあるが、今はまだその時ではない。それは魔王を倒すまでとっておくのだ、勇者よ」
めるような聲が聞こえた。それは俺の心をし癒そうとするが・・・、
「あは♪ あーははははははっははははははははははははっは♫」
「プ、プララ!?」
「お、お前っ・・・! 仲間がこんな狀態になっているというのに・・・」
「ひひ、ひひひひ! げらげら! こーんなに泣かされた挙句に、められてやんの! あっはっはー! ざっまぁああああああああああああああ! 私の味わった屈辱の何分の一かでも味わうといいんだわ!!」
の嘲笑は続く。
「ヘボ勇者! 泣き蟲勇者! 役立たず! 聖に逃げられた間抜け勇者! 弱蟲蟲! やーいやい! 私たちがいなきゃなんにも出來ないのに粋がってるだけのクソ勇者!!!!」
「な、仲間のピンチになんてこと言うの⁉ は、恥を知りなさい! このヘボ魔法使い!!!」
「そうだ! そもそもお前のせいでこんなゴミクエストをする羽目になったんだぞ! 全部間抜けな貴様のせいではないか! お前の様な下級魔法使い、俺たち馴染パーティーでなければ誰も絶対に使ってやらんぞ!」
「クソも間抜けもあんたらのことじゃん! 仲間を囮にして逃げたゴミどもじゃん! を置いて逃げたクズ男どもがどの面下げて言ってんのよ!」
「む、昔の話を何度も蒸し返すな! 本當にお前は昔からねちっこくてっ・・・!」
だが、その時である。
「つ、つきあってられるか! こんなクソパーティー! 俺は帰らせてもらうぞ!!」
突然の聲が響き、兎のごとく男が背を向けて駆け出した。
「「「なっ⁉ バ、バシュータ!?」」」
仲間たち全員の驚きの聲が響く。
「ポ、ポーターに逃げられたなんて知られた、最低パーティーの汚名の上塗りよ⁉」
「またあらぬ噂を立てられてしまうぞ⁉」
「と、取り押さえないとじゃん⁉」
だが、その時、更に焦った聲で・・・ローレライが警鐘を発した。
「そ、それどころじゃありませんよ! ワイバーンがき出しました! 勇者さんはじめ、皆さんが絶しまくって、うるさかったからですよぉ⁉」
悲鳴のようなびをあげる。
「み、皆さん、早く戦闘準備をっ・・・!」
そう言って全員に警戒を促すが・・・。
「・・・う、きの速いデリアはバシュータを追え!」
「は?」
ローレライの唖然とした聲が響く。
「わ、分かったわ! 殺したらいいのね⁉」
「馬鹿! 殺したらまた人殺しパーティーなどと口をたたかれる! やむを得ん! 生け捕りにするんだ!」
「分かったわ!!」
「え、ええええええええええええええええええ⁉ ボ、ボスの前で戦力を分散なんて⁉ 何を考えているんですかぁああああああああああああああ⁉」
ローレライは大森林にって初めての絶を上げる。それは余りにも信じられない景を見たことによる心からのもののように思えた。
「う、うるさいぞ!」
「こっちにも々あるのよ!」
そう言いながら、は悲愴な表で逃げたポーターの後を追った。
「こ・・・こんなのが・・・」
その聲は絶に満ちていた。
「こんなのが勇者パーティーだなんて・・・」
そして、その怨嗟のごとき失の聲が、俺の最後の理の燈《ともしび》を消し去った。
「うっがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
無意識に俺の口から咆哮があふれる。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。許さねえ‼ 許さねえ‼ 俺は勇者だぞ! 俺を馬鹿にするな! 俺を嗤うな! 俺をあざける奴らは全員いなくなれええええええええええええ‼ うわあああああああああああああああああああああ」
「ゆ、勇者!? す、しは落ち著け‼ お前は本當に村にいた頃から怒ると見境がなくなるっ・・・て⁉ この馬鹿、ファイナル・ソードを放つ気か⁉」
「ファ、ファイナル・ソードってなんですかぁ!?」
「剣に込めた魔力を暴走させて、周囲一帯を薙ぎ払う勇者究極奧義の一つだ! だが、俺たちもこのままでは巻き込まれるぞ⁉」
男の悲鳴に、
「あ、お腹痛くなってきちゃった。んじゃ、そういうことで!」
の聲が聞こえたかと思うと、やはり兎のごとく駆け出す。
「プララ、貴様ずるいぞ! ・・・・俺が先だぁああああ!」
「え、ええええええええええええ⁉ 放置するんですか⁉ ダンジョンとはいえ、この周囲一帯は良質な狩場ですよ⁉ 崩壊させたら只じゃすみません‼」
「「命大事に、だ(よ)‼」」
そう二人がび返した瞬間である。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお‼ 究極的最終崩壊ぃぃいい《ファイナルソオオオドオオ》‼」
周囲一帯を焼き盡くす膨大な熱量が放たれたのであった。
「こ、こんなのが勇者パーティーだなんてええええええええええええええええ⁉」
そんな木霊が周囲一帯に轟《とどろ》いたのであった。
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