《【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖、お前に追って來られては困るのだが?》45.勝利
45.勝利
「”傷を傷のままにはしておけない”?」
コレットが首を傾げた。
それにアリシアが答える。
「かつて人は”回復魔法”とは一何なのか、ということを盛んに研究した時代がありました」
「回復は回復ではないのか?」
「し、違います。回復とは復元である、というのが當時の答えです。つまり、元の形に戻ろうとする力を利用しているのが回復魔法の神髄なのです。つまり、ヘル・ミミックの真の能力は回復ではありません(・・・・・・・・・)」
「確かに復元ではない。むしろあれは創造じゃ・・・そうかっ!」
「理解が早いですね、コレットちゃん。そうです。つまり、『ダメージは十分に通っている』んです。『効いていないわけではない』のです」
「その通りだ。コレットが最初に言った通りだったな」
俺は微笑む。
コレットは、
「ほえ? わし、何か言ったかの???」
と頭に疑問符を浮かべた。
「言ったさ。”ミミックなんて擬態しか能の無いつまらないモンスターだ”とな。その通りだ。俺たちは・・・いや、いつも冒険者たちはミミックの擬態能力に騙される。奴の『創造』は、傷つけられれば、更に強くなると相手を怯えさせ、手を緩めさせることにある。そうやって冒険者が騙されているうちに、驚異的な再生能力で本當に回復してしまうんだ。このトリック(擬態)が見破れなければ絶対に勝てない」
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「なんちゅうずる賢いっ・・・!」
「まあ、相當強いのも本當だがな。SSSの災害クラスだ。だがタネが知れれば俺たちの敵ではない。行くぞ!」
「「はい(なのじゃ)!」」
俺の掛け聲とともに、皆が一斉に化けへと薄する。
『ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオ。アビアベビババアァァアアアアアアアアア!!』
おぞましいび聲が耳朶《じだ》をうつ。
だが、それは化けの未來の斷末魔だ。
俺はスキル使用を開始する。
「≪全化≫」
「≪連撃≫」
「≪疾風迅雷≫」
「≪直無視≫」
スキル効果が発揮された途端、俺たちのきはそれまでの100倍を超える。
「ぬおおおおおおおりゃああああああああああああああ!」
コレットが再び毆りかかる。
ぐしゃっ、という音と共に、化けのにがあいた。
もちろん、すぐにゴボゴボと再生が始まろうとする。
しかし、
「しゃらくさいです!」
アリシアが持っていた杖でその部分を正確に突き刺す。
『ブオオオオオオオオオオオオオオオ!? アジシアァアアアアアアアアアアア‼ オボベエ・・・』
化けが怨嗟の聲を鳴り響かせようとする。が、
「その隙さえ與えぬのじゃ!!」
『ブバァァ!?』
化けが初めて驚愕の聲を上げたように思った。でかい眼球が恨みがましくこちらを睨み付けてくる!
再生能力を俺たちの破壊が上回ったのだ。
「≪連撃≫は一撃が複數回攻撃になる変わったスキルだ。ダメージは変わらないんだがな! っと!」
俺も二人に負けじと、再生を始めようとするに、鋭い蹴りを穿つ!
『アビアベエエエエエエエエエ!』
くぐもった怒聲。
一瞬にして手が殺到し、蹴りを放って勢を崩した俺を嬲り殺そうとする。
だが、
「≪疾風迅雷≫は高速化。≪直無視≫は攻撃時の隙がなくなるスキルでな」
手が殺到した場所にすでに俺はいない。
一瞬にして化けの背後へと回り込み、更に傷口を連続で攻撃する。
「それでもギリギリだな! 凄まじい回復能力だ」
「それを言うなら”ギリギリ行けそう”ですよ、アリアケさん。私たちの相が、ええ、ええ、ぴったりだからですよ」
「完全に同意じゃ! アリシアはええことを言う!」
確かに俺たちのコンビネーションはすさまじかった。
スキルで高速化し、攻撃の隙間時間さえなくなった俺たちだが、どうしたって発生する攻撃中の隙間さえも3人で埋めてしまう。
まさに、滝にうたれるかのように化けのがどんどん削れられていった。
『バべべ! バベベベ! バアアアアアアアアアアアアアア!!』
化けの聲は途中から怒聲ではなく、悲鳴へと転じていた。
再生も創造も間に合わない初めての自に、ヘル・ミミックも、辛うじて殘ったハインリッヒの意識の殘滓も恐慌狀態に陥《おちい》る。
『ブ、ブオオオオオオオオオオオオオオオオ!』
と、ヘル・ミミックがついに俺たちに勝つことなど不可能だと悟り、手を使って逃げ出した。
手は天井へと張り付き、まるで重力などないかのように、天井を疾走し始めたのである。
「ダンジョンから出する気か!!」
「低階層ですからすぐに外です」
「どうするのじゃ⁉」
「決まっている!」
俺たちは追いかけた。だが、すぐに追いつくことは無かった。なぜなら・・・。
出口が見えた。
煉獄神殿の出口は大きな扉だ。
そこは開け放たれていて、ヘル・ミミックはそこからしゅるりと外に出た。
俺たちもすぐに後を追って外に出る。
巨大な眼球は振り返り、逃げおおせたと厭らしく醜悪に嗤った。
まさにヘル・ミミックという化けとハインリッヒが融合したことを確信させるような笑みであった。
だが、
『!?』
俺も笑っていた。
「ここまで作戦功ですね」
アリシアの言葉にうなずく。
そう、すべては狹いダンジョンでなく、外におびき出すための布石。
俺はまんまと罠にはまった間抜けな化けを指し、自分のドラゴンへと指示を出した。
「≪決戦≫付與。暴れてやれ、コレット!」
「了解! 旦那様! さあ、外なら容赦せんぞ! ヘル・ミミック!」
カッというとともに、は數秒だけ真の姿を取り戻した。
「なんて綺麗・・・」
大聖が天の竜を言祝ぐ聲が聞こえた。
神とうたわれしゲシュペント・ドラゴン。
黃金竜とも呼ばれた神竜。
『ヘル・ミミック、そして、ハインリッヒ。我が竜騎士アリアケ=ミハマ、そしてコレット=デューブロイシスの名のもとに貴殿を斷罪する』
『ア、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア⁉』
「死をもって、わしの前から消え失せよ。焔よ立て(ラス・ヒューリ)!」
瞬間、竜の口よりすべてを溶かす熱線が発せられた。
それは一條のとなって、天を衝く。
『ンギョオオオオオオオオオオオ・・・オ・・・・オ・・・オ・・・・・・ォ・・・・・・・・・・・ォ』
まさに天を衝くの柱。
どれほどの再生能力を持っていようとも、神の怒りがそのすべてを燃やしつくのに時間はかからなかった。
そして、
ポン!
軽い音を立てたかと思うと、人の姿に戻ったコレットが天から落っこちて來た。
俺はそれをキャッチする。
「相変わらず手加減を知らん奴だ」
「いやぁ、ついついな。じゃが、めっちゃ気持ちよかったわい!!」
ぬはは! とコレットは俺の腕の中で無邪気に笑ったのだった。
「うーん、やっぱりは強いうえに可いんですねえ。私も頑張らないとですね、よよよ」
なぜかアリシアが羨ましそうにしながらへこんでいた。
ともかく、こうして俺たちは一人の哀れな貴族の謀を打ち破ったのであった。
「やれやれ、それにしても予定していたよりもし大騒になってしまった気がするな。騒ぎになって目立たないうちに早く次の街に行くことにしよう」
そんな俺の言葉に、なぜか二人のは苦笑を返したのである。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
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