《【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖、お前に追って來られては困るのだが?》84.続・アリアケ無雙、そしてコレットは聖都の中心でをんだ
84.続・アリアケ無雙、そしてコレットは聖都の中心でをんだ
~アリアケ視點~
「死ねええええええええええええええええええ」
ドラゴンの王の絶とともに、その口からは聖都すらも一撃で灰燼《かいじん》に帰《き》すであろうブレスが放されようとする。
普通の人間ならば……。
いや、この世に存在する何であろうとも、そのブレスを浴びれば、この世にとどまることは出來ないだろう。
それほどの魔力量。
ゲシュペント・ドラゴンが神とすら言われる理由。
だが、
「≪無敵付與≫」
俺は落ち著いて自へ、スキルを行使する。
しかし、
「馬鹿め! 馬鹿めが! しょせんは卑小な人の仔《こ》よ! 俺のブレスは≪無敵≫なぞ効かぬ! 無敵を無効化して、お前のを蒸発させる! さあ、この竜王に無禮な口を吐いたお前の罪ごと、疾《と》くこの地上から消え失せるが良い!」
竜王シャーロットが嘲《あざけ》りの聲を上げながら、ついにブレスを俺に向かって発した。
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だが、
「まぁ慌てるな、騒がしい竜の王よ。俺のスキルはまだ途中だ」
俺は余裕の笑みを絶やすことなく、
「≪無敵≫スキルに≪対竜種特防≫を付與する」
その瞬間、俺のからまばゆいが輝きだした。
それは≪無敵≫スキルの亜種スキル。
人がドラゴンと戦うという究極狀況のみで使用する、存在すら認知されていない究極的希スキルの一つだ。
そのしき輝は俺を包み込むと、正面から迫る、あらゆる質や概念を焼卻する神竜ゲシュペント・ドラゴンの一撃をまともにけとめるのと同時に、その膨大なブレスの魔力を一切通過させず、完全に無効化したのであった。
俺の無敵スキルと、竜のブレスが無効化の衝撃で弾けて、まるで花びらのように魔力の切れ端がヒラヒラと舞った。
「ばっ、馬鹿なあ! 俺のブレスが!? この地上一帯を、聖都『セプテノ』や地下封印すらも、こそぎ消滅させられるほどの威力なのだぞ!」
竜はぎりぎりと牙をかみしめ、悔しそうにくが、
「どうした、もう一度するか? などと言うつもりはなくてな。俺はお前と爭うつもりはない。どうだ、とりあえずここは痛み分けということにして、なぜここに來たのか詳しく話を聞かせてもらうというのは……」
「痛み分けだと!? この竜王にけをかけるつもりかぁ!」
「えっ? いや、そんなつもりはないんだが……」
本気のブレスを防がれたことで、俺がけをかけていると思われてしまったようだ。
単に無益な戦闘をするのを避けたいだけなのだが。
本當に強い者は、闇雲に力を見せる必要はないし、無用な爭いを回避するものなのだから、強者たる俺が爭いを回避しようと渉を持ち掛けることは普通のことなのだが……。
だが、そのことが、地上最強、神竜とまで言われた、目の前のドラゴン、シャーロット王には耐えられない屈辱と捉えられたらしい。
(やれやれ、強すぎるというのも難點だな)
こうして、最強と信じていた輩の自信を喪失させてしまって、相手を思わぬところで不快にさせてしまうのだから。
「勝ちすぎてしまう弊害《へいがい》か」
そうつぶやいた。
さて、ではどうするべきか。
俺が次の一手を考え始めた、その時である。
「父上ええええええええええええええええええええええ!」
バサリ!
そんな翼をはためかせる音とともに、
「コレット・デュープロイシスかっ!」
遙か上空からコレットがドラゴンの姿で急降下してきたのである。
そして、
「我が娘よ! 會いたかったぞ! さあ、千年ぶりにわが父のに飛び込んでっ……!」
「儂の想い人に何やってくれとるのじゃぁあああああああああ!」
バッキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!
「ぐはあああああああああああああああ!?」
「うわぁ……」
俺はいきなりの展開に傍観するしかない。
いきなり現れたコレットは、あろうことか、自分の父親に、
「ゲシュペント・ドラゴン・アルティメット・キーック!」
とびながら、思いっきり蹴りを放ったからである。
父親は完全に抱擁《ほうよう》しようと油斷していたためか、その娘の一撃をけて、気を失ったのか、きりもみ回転しながら地上へと落下していったのである。
「儂はコレット・デュープロイシス。大賢者アリアケ・ミハマを唯一の乗り手と認めた神竜! 例え父上と言えども、儂のみそめし大切な人を傷つけようとすれば、このコレットは竜の誇りにかけて、何にも代えて、我が旦那様を終生守ろうぞ!」
グオオオオオオオオオオオオオオオオン!
そんな咆哮《ほうこう》とともに、その咆哮に込められた念話が、聖都『セプテノ』へと響き渡ったのであった。
ちなみに、地上に戻った時に、
「うむむむむ、許さぬ。許さぬぞ。人間となんて許さんぞ……。付き合うなら俺に勝ってから……。いや、だがさっき俺のブレスを……いやいや、あれはまぐれで……」
と、意識を取り戻し、なぜか、いちおう暴れるのをやめてくれたシャーロット王が、何やらブツブツとぼやいている姿と、
「いやぁ、それにしてもよ、あのドラゴンの娘、聖都の中心でをんでおったのう、わはははは愉快よのう」
「本當にコレットお姉様ったら大膽です! ボク憧れちゃうなぁ!」
「うう、可い上に男前だなんて。さすがコレットちゃんです。ていうか、コレットちゃんにまで一歩先を行かれてしまいました! うううう」
「なるほど、告白とはああやるんですね! 勉強になりました!」
「……ん? あの、すみませんローレライさん。その勉強をもしかして近く活《い》かされるおつもりですか?」
「?」
妙に心しているフェンリルと、顔を赤くしているラッカライ、そして落ち込んだり、ローレライになぜか疑心暗鬼気味の目を向けるアリシアたちが、そんな會話をしていたのだった。
よく意味は分からなかったが。
(何はともあれ、想定外の展開ではあるが、いちおうしは彼らと會話が出來そうだな)
そんな慨を持ちながら、集まってきた大教皇リズレットを加えて、ドラゴンたちとの會話が始まった。
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