《【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖、お前に追って來られては困るのだが?》86.アリシアの両親
86.アリシアの両親
さて、俺たちは今、聖都「セプテノ」にあるアリシアの屋敷へと向かっていた。
大教皇リズレットには、白きフォルトゥナと遭遇したことなどは、簡単には伝えてある。
俺としてはそのまま詳細な報告をしても良かったんだが……。
「タフすぎますよ、先生。ゲシュペント・ドラゴンとの戦闘後なんですよ!」
ラッカライがし呆れた調子で言った。
むう、そうだろうか?
俺が腑に落ちない顔つきをしていると、フェンリルが、
「というか、我らはそもそも聖都へ到著したところだったゆえな。晝過ぎに到著して、聖都をゲシュペント・ドラゴンの襲撃から救い、そのあとは彼らとの外會談を行い、主様をこちらの代表に立てることで何とかドラゴンたちを退かせることに功した。まだ半日しかたっとらんのに、何回人類を救うのかの。なのでほれ、時刻はもう夕方よ」
「そうなのじゃ! 旦那様はかるーく救世主みたいなことしちゃってるんじゃから、そろそろ休むべきなのじゃぞ?」
Advertisement
そんなものかね。俺としては、さほどのことをしたつもりもないのだがなぁ。
ただ、彼たちの言葉に噓偽りはないようで、同じ気持ちだったらしい大教皇からも、俺をねぎらって、今日はとりあえずアリシアの屋敷で一泊してから、また明日、教會本部へ出向き詳細な報告をしてしいと言ってきたのである。
なので、その配慮はありがたく頂いておくことにした。
余り俺のような特別な者に、周囲がペースを合わせるのも余り良いことではなかろう。
(それに、なんとなく俺には事件の全貌も見えて來たしな)
というわけで、パーティーメンバー全員で、アリシアの屋敷へと向かっているわけだが、
「はわわわわ! お、お父様とお母様が來るなんて!? 聞いてませんよ、聞いてません。どうしたらいいんですか~!?」
隣を歩くアリシアが、柄にもなく焦り倒していた。
そう、彼の屋敷にはご両親がいる。
わざわざ、大教皇がリットンデ村から呼び寄せていたのである。
「うおおおおおおおおおおん!! 良かったなぁ、アリシア!やっと大好きなアリアケ君と結婚することができて!」
「本當よぉ~、お母さんも嬉しいわぁ!」
「ちょっ、二人とも聲が大きいですよ!? それに、やめてください!? 大好きとか言わないで頂けますかっ!?」
「何を言うか! 大好きな男と結婚出來てハッピーだろう!? さあ、今日は大いに飲みまくるのだ!」
「お母さんも今日は久しぶりに飲んじゃおうかしら~」
「ああーん、もうこの二人はぁ……」
やれやれ。やっぱりこうなったか。
「先生、このお二人が、その……」
「ああ、そうだ。アリシアの……」
「おおっと、いきなりすみませんでしたな。ワシはアリシアの父のハルケン。それにしてもアリアケ君も久しぶりだなあ! すっかり大きくなったようだなぁ!」
「無沙汰しております。ハルケンさんも元気そうで……」
「ハルケンさんなどと水臭い! お義父さんと言いなさい! わははははは!」
その豪放磊落(ごうほうらいらく)な格の父親と、
「あらあら、あなたったら、はしゃぎすぎよ~。気が早いって、アリアケ君もアリシアちゃんも困ってるわ~」
おっとりしている母親。
これがアリシア・ルンデブルクのご両親である。
ハルケンさんはいかにも武闘派といった筋骨隆々といった風で、母親はアリシアと同じの瞳と髪を持つ優しい容姿をした人である。母親の方はもともと聖職者だったはずだ。
二人とも敬虔《けいけん》なブリギッテ教徒である。
「ところでアリシアちゃん知っているかしら~?」
「な、何がですか、もう……」
アリシアが落ち著こうと冷水を口に含む。
「ルンデブルクでは結婚する男とは、一緒にお風呂にるしきたりがあるのよ~?」
「ぶはぁ!」
勢いよく噴き出した。
「なっなっなっなっなっなっ……」
真っ赤になるアリシア。
「聞いたことないですよ!? そんなの!?」
「だって初めて言うもの~。それにしてもアリシアちゃんったら、結婚するのにちょっとウブすぎないかしら~。本當に結婚するのかしら~?」
「ぎくり! と、と、と、と、當然ですとも!」
「なら、れるわよね~」
「そ、そんな。でも、そんな破廉恥なっ……!」
「あらあらあらあら、結婚したらもっと破廉恥なことしちゃったりするのよ~」
「ひーん! 何なんですか!? なんなんですか!? 意味もなく圧が凄い! ア、アリアケさん! アリアケさん! アリアケさんも何とか言ってください!」
「も~、すーぐアリアケ君に甘える~。子供のころから変わってな~い」
「甘えてません!」
やれやれ。
俺は肩をすくめる。
仕方ない、ここはひとつ助け船をだしてやるとするか。
「安心しろ、アリシア」
「ア、アリアケさん」
俺を信じきった目をしている。そして、自慢ではないが、その期待を俺は裏切ったことは無い。
「俺は何もしないから信用していいぞ?」
そう言って安心させるように、フッと微笑んだのである。
「って~」
だが、アリシアは震えだすと、
「なに完璧にけれちゃってるんですか! それに手を出さないって、そんな、ちょっと、もう! 意識しちゃうでしょうが!?」
「何をだ?」
「このボクネンジンめー!」
アリシアが嘆くように言った。
「わはははは! さすが我が息子! さあ、そうと決まれば天風呂に行ってくるがいい! ここの風呂はでかいぞ! と言っても強制せねばいかんだろうからな、ぬりゃあ!」
「うっひゃあ!? 離してください、お父様!?」
アリシアの悲鳴がとどろくが、そんな聲はどこ吹く風と、アリシアの父ハルケンは娘を抱えて天風呂へと連行したのであった。
~お風呂回へ続く~
ありがとうございます!
第1巻は発売後、大人気で即重版しました!
Web版から大幅加筆修正・増量しています。
気になる方はWebだけでも大丈夫ですが、無料『試し読み』だけでもどうぞ! 買ってもらえたらもっと嬉しいですが、どちらでもどうぞ!
https://magazine.jp.square-enix.com/sqexnovel/series/detail/yuusyaparty/
-----------------------------------------------
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「聖さんは今後どうなるのっ……!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直にじた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本當にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。
沒落令嬢、貧乏騎士のメイドになります
アニエス・レーヴェルジュは美しく、気位の高い伯爵令嬢である。 社交界の麗しの薔薇と呼ばれた彼女は、高嶺の花であった。 一方で、騎士である貧乏貴族のベルナールは、夜會の晩に生まれや育ちを嘲笑うような蔑んだ目でアニエスに見られたことを根に持っていた。 ――最悪の出會いから五年後、アニエスの家は突然沒落する。父親の不祥事が原因だった。 周囲の人々は冷ややかで、何もかも失ったアニエスに手を差し伸べたのは、ベルナールだけだった。 彼は使用人として働くならば、衣食住を保証すると言った。 提案を受け入れるアニエスを見ながら、ベルナールは一人、ほくそ笑む。 「――ざまあみろ、お嬢様、うちでこき使ってやる!!」 しかしながら、一緒に暮らし始めて、アニエスの本當の姿が判明する。彼女はベルナールが思っていたような娘ではなかったのだ。 仕返しのつもりで家に招いたのに、予想の斜め上の展開となる。そんな元令嬢と不器用な騎士の、ほのぼの戀愛物語 表紙畫像:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
8 188異世界転生したら生まれた時から神でした
中學3年の夏休みに交通事故にあった村田大揮(むらただいき)はなんと異世界に!?その世界は魔王が復活しようとしている世界。 村田大輝……いや、エリック・ミラ・アウィーズは様々な困難を神の如き力で解決していく! ※処女作ですので誤字脫字、日本語等がおかしい所が多いと思いますが気にせずにお願いします(*´ω`*) この作品は小説家になろう、カクヨム、アルファポリスにも掲載しています。 作者Twitter:@uta_animeLove
8 166かわいい俺は世界最強〜俺tueeeeではなく俺moeeeeを目指します〜
艶やかな黒髪、ぱっちりお目、柔らかな白い四肢。主人公の腹黒ロリ男の娘カナデが目指すのは俺tueeeeではなく俺moeeee! 磨いた戦闘力(女子力)と変態女神に貰った能力『萌え』を駆使して、異世界を全力で萌えさせます! そんなカナデが異世界にて受けた言葉「貧相な體。殘念な女だ」。カナデは屈辱を晴らすため(男です)、能力『萌え』を使って屈辱の言葉を放った領主の息子アレンに仕返しすることを決意する。 章毎にテーマの屬性を変更予定。 一章完結! 二章準備中! 【曬し中】
8 125始創終焉神の俺、異世界を満喫する!
神々を造り出した最古の神である俺、覇神魔王 竜鬼(はしまの りゅうき)はある日反逆した神達に殺された。そして異世界へ飛ばされてしまう。しかし自分の作った神が始めて反逆してくれたことに喜んでいた竜鬼は、異世界を満喫することに!?圧倒的な力で反逆者からの刺客を倒しながら世界を変えていく、彼の伝説が始まる… 処女作になりますゆえ、暖かい目で見ていただけると幸いでございます。投稿は速くするよう心掛けますが、不定期で投稿させていただきます。また、この作品では神の數えかたを一人、二人,,,とさしていただきます。よろしくお願いいたします。
8 187捻くれ者の俺は異世界を生き抜く
捻くれ者の雨宮優は、異世界転移に巻き込まれてしまう。異世界転移に巻き込まれた者達は皆強力なステータスやスキルを得ていたが、優の持つスキルは〈超回復〉だけだった。 何とかこの世界を生き抜くため、つくり笑顔で言葉巧みに人を欺き味方を増やしていく優。しかしその先で彼を待ち受けていたのは、まさに地獄であった。 主人公最強の異世界モノです。 暴力的な表現が含まれます。 評価、コメント頂けると勵みになります。 誤字脫字、矛盾點などの意見もお願いします。
8 184朝、流れ星を見たんだ
天涯孤獨の少年竜也と、病に身體を蝕まれている少年大翔。 大翔の最期を看取ってやりたい竜也だが、大翔の命の期限が迫った時、竜也は一ヶ月間イギリスに行くことになってしまう。 その一ヶ月間、大翔は病に耐え続けられるのか、それとも竜也のいない間にその目を永遠に閉じてしまうのか――――未來は誰にもわからない。
8 80