《【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖、お前に追って來られては困るのだが?》91.アリシアの友達
91.アリシアの友達
さて、俺たちは教會本部一階へとやって來た。
教會本部は非常に大きく、一階はプリースト(神)たちを育するための教室がたくさんある、神學校のような様相を呈している。
そのため、かなり若いプリーストたちの姿がみられた。俺たちと同じくらいの年齢の者たちも多い。
まだコレットたちはやってきていない。
しばらく待っていようかと思っていた時である。
「わ~、アリシアちゃんじゃな~い! 久しぶりだねー」
「なに? アリシア、帰ってきてたのか?」
「アリシアは序列第3位のエリートなんだから、本部にいるのは當然……。ぶつぶつ」
突然、聲をかけてくるたちがいた。
「あっ、皆さん、久しぶりですね~!」
アリシアが笑顔で応じた。
「アリシア、彼たちは?」
「あ、はい。アリアケさん。彼たちはですね~、私の神學校時代の友達なんですけど、名前はサキ、ルルカ、ベヨルタさんです」
アリシアがそう紹介しようとすると、
「あ~! っていうか、あなたが大聖とドラゴンちゃん、両方と結婚するっていう鬼畜な大賢者さんなんだね~!」
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「ほう、あなたがそうか。いや、ブリギッテ教はたくさんのを応援するぶっ飛んだ教義だが、大聖とドラゴンの末姫を一緒に、とは。肝が座ったお人だな」
「それにしても、大聖と言われるアリシアだけで満足できないなんて、コレットとかいう人はそれだけ人さんだったり? ぶつぶつ……」
ふーむ、どうやら俺のこともよく知られているようだ。
そして友人として、アリシア以外のと結婚することに、しわだかまりをじているらしい。
ブリギッテ教は重婚を認める教義だが、それをどうじるかはもちろん人それぞれだからだからな。
しかし、
「んん? あれ~、っていうか。アリアケさんの隣にいる、その長で人で髪が奇麗なお姉さんがもしかして、コレットさんなんですか?」
「「「へ?」」」
俺たち三人は首をかしげる。
彼たちが言ったのは、フェンリルのことだったからだ。
どうやら、コレットの名前はみんな知っていても、顔までは知らなかったらしい。
「なるほど、人とは聞いていたが。……ふーむこれほどとは。アリシアのようなフワフワした可いらしさとは真逆の超絶人……。クールビューティー……」
「そういうことなのね……。アリシアだけで不満だなんて、理解できなかったけど……。コレットさんがこんなにでは……」
彼たちは、フェンリルのことを勝手にコレットだと思い込んで、口々に納得していく。
フェンリルも俺も、いきなり勘違いされて訂正する暇《いとま》もない。
そして、
「うっ、うっ! アリシアったら不憫! こんなが相手じゃ、アリシアみたいな天然フワフワじゃあ太刀打ちできないよね!」
サキと言われたが、憐憫《れんびん》の聲を上げた。
「どういう意味ですか!?」
「アリシアは興すると冷靜さを失う時があるから、ちゃんとコレットさんの意見を聞いて、円満な家庭を作るんだぞ?」
「なに目線のアドバイスなんですか!?」
「早く子供を作ったほうがいい……。そうすれば捨てられる心配は格段に減る。と、うちのママが言ってた」
「こ、子供はしいですが……。そんな心配されるいわれはありません! それにアリアケさんは私を捨てたりしないですから! ねっ!?」
アリシアが律儀にツッコミをれていた。
ついでに俺に念押ししてきたので、思わずうなずいてしまう。
「男はみんな最初そう言う。とうちのママが言ってた。ぶつぶつ」
ベヨルタと言われたの家に何があったんだ……。
とはいえ。
なるほど、神學校時代の関係が手に取るように分かった。
アリシアは大聖などと言われて世間では敬われる存在のため、普段は敬虔な信徒、慎ましやかな聖を演じる必要があるが、どうやら友人たちの間では楽しくやっていたらしい。
そういう場所がちゃんとあったことが俺には嬉しかった。
村を離れる時、すごく寂しがっていたからな。
と、
「あ、々話してる間に、そろそろ次の仕事の時間だよ?」
「ふ、そうか。時間の流れは早いな。じゃあな、アリシア。また積もる話をしよう」
「夫婦円満が一番。コレットさん、うちのアリシアをお願い……」
「ふーむ、まあ良かろう。この我がうけたまろうぞ」
誤解を解くのも面倒になったのか、フェンリルは鷹揚に頷いて答えた。
それを聞いて安心したのか、アリシアの友人たちは去っていく。
やれやれ、なかなか個的なメンバーだったな。しかし、
「いい友人たちじゃないか、アリシア。どうやら全員、君の心配をして來てくれたみたいだ」
「そうでしょうか???? 何だかよく楽しまれていたような気がしますが!?」
「我をアリシアと比べて心配になるのも無理もない。どうであろう、主様。我とも結婚するかえ? あやつらにもアリシアの面倒をみるように言われたゆえ」
「調子にのらないでください!!」
アリシアが元気よくツッコミをれたところで、
「あら、もう來ていたのね、アリアケ君たち」
そう言ってまた聲がかかる。
長い金髪とどこかおっとりとした聲を持つ。
この教會の最上位に位置する。
「そんなところにいないで、執務室に行きましょう。紅茶とおいしいクッキーを出しますわ♬」
大教皇リズレットが現れたのであった。
まだコレットたちが來るまで時間があるが、まぁいいだろう。
俺たちは一足先に、彼の執務室。
教會の中樞へと足を踏みれたのである。
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