《ヤンキーが語る昔ばなしシリーズ》1 『桃太郎』

なんかよー、すげー昔よー、クソ田舎にジジイとババアが住んでたらしいのよ。

そんで、ジジイは山に木をシバキに、ババアは川に服洗いに行ったらしいの。

そしたらよ、いやこれマジ笑うんだけど、ババアが川で服を洗ってたらでっけー桃が流れてきたっつーワケ。

それも、どんぶらこ、どんぶらこ、なんつーダッセー音がしたとかなんとか言っててさ。

どんぶらこってなんだよとか思って笑ってたら、これがマジだっつーんだからやべーよな。

でよ。

ババアはこの桃を持って帰ってジジイに見せたらしいのよ。

そしたらジジイ、早速食おうぜってなもんで、奧からドス持ってきたわけ。

ねーわ。

いやマジねーわ。

だってよ、普通、拾ったもん食わねーべ。

でよ。

ジジイが桃をぶった切ったら、中からガキが出てきたの。

ジジイとババア、マジびっくりよ。

いやー、ぶっちゃけよー、俺、この時の二人の気持ちよく分かるぜ。

俺もよ、ユミからアレが來ないって言われたとき、すっげーびっくりしたもん。

いや、別に嫌とかそういうんじゃないのよ。

なんつーかなー。

俺もまだわけーし、覚悟が決まってなかったんだと思うわ。

あ、ユミっつーのは俺のオンナな。

こいつがまた生意気でよ。

結局妊娠はしてなかったんだけど、責任取れだなんだってぎゃーぎゃーうるせーのなんのって。

ま、そういうとこもしてるんだけどさ。

でよ。

ジジイとババア、このガキを育てるって言いだしたわけ。

いや、いい爺さんと婆さんじゃねーか。

俺ぁ、ちょっとうるっときたぜ。

ガキ育てるってのは生半可な気持ちじゃ出來ねーよ。

それも自分のガキじゃねーんだから、そりゃあ大変だぜ。

キムラ先輩も言ってたんだよ。

連れ子のガキはなかなか懐かねーから面倒くせーってよ。

ま、それでもやっぱガキは可いつってたけどさ。

でよ。

このガキ、桃太郎とかだっせー名前つけられて、すくすく育ったらしいのよ。

しかもこいつ、めちゃくちゃ喧嘩がつえーと來てる。

あんまり強すぎて、なんか鬼をぶっ殺しに行くとか言い出したの。

いや、最初にそれきいたとき、俺ぁ「マジかよ!」って思ったぜ。

だってさ、鬼だぜ鬼。

キムラ先輩も昔は『鬼のキムラ』って言われて埼玉じゃ恐れられてたけどよ、マジの鬼は多分キムラ先輩よりつえーよ。

キムラ先輩でも勝てねーのに、いくらつえーつったって、ガキじゃ絶対勝てねーだろって思ったわけ。

でも、そいつは行くって言い張るらしいのよ。

ジジイとババアがいくら説得しても聞かないわけ。

まあ気持ちは分かるけどよ。

俺も男だからよ。

そう簡単に吐いた唾は飲み込めねーよな。

でよ。

ガキは日本一っつー旗を背中に差して鬼が住んでるっつー鬼ヶ島とかいうとこに出発したわけ。

んでよ……えーっと、なんだっけ。

そうそう!

んでよ、ここからがブリバリすげーんだよ!

なんかそのガキ、その途中で猿と犬と鳥を仲間にしたんだって!

え?

なんでそんな興してるのかって?

いやお前、がツレになるんだぜ?

たまらねえだろうがよ!

いや、本當言えばさ、俺は貓が一番好きなんだよ。

ユミんちの貓とか超かわいいんだぜ。

あ、あとで寫メ見せてやるよ。

でもよ、実は俺、犬も同じくらい好きなわけ。

ほら、俺って昔犬飼ってたじゃん?

こいつがさ、汚ぇ雑種なんだけど、やたら俺に懐くんだよ。

俺、親父にぶっ飛ばされるたびに、そいつのとこに行ってたわけ。

そしたら、めてくれるんだよ、うちのコロちゃん。

もう死んじまったけど、あいつは今でもマブダチだぜ。

そういうわけでさ、俺、ちっちぇーころから夢だったワケ。

とお話が出來るのってがよ。

でよ。

まあなんだかんだあって、そいつはマジで鬼を半殺しにしちゃったらしいのよ。

鬼ヶ島でもなんか々あったらしいんだけど、わり、聞いたんだけどあんま覚えてねーわ。

なんか猿とか犬とか鳥も戦ったらしいけど、その辺もよくわかんねーわ。

ま、とにかく倒したんだってさ。

いやーでもよー、すげーよな、そのガキ。

あいつ多分、キムラ先輩よりつえーよ。

いや、もうガキなんて言えねーな。

キムラ先輩よりつえーんだから。

俺、今から桃太郎さんって呼ぶぜ。

年下とかそんなの関係ねーよ。

リスペクトに年齢とかマジ関係ねーべ。

でよ。

その桃さん、鬼から金銀財寶を取り返して、家に持って帰ったんだってさ。

鬼のやつらまじでイモ引いてよ、もう2度と悪さはしなくなったらしいわ。

マジでめでたしめでたしだよな。

次回、鶴の恩返し

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