《ヤンキーが語る昔ばなしシリーズ》6 『西遊記』

……うす。

今日もあちぃな……。

ああ、すまねぇな。

今日は俺、テンションゲロ低いのよ。

ケツがまだいてーのかって?

まあ、それもあるけどよ……。

実は昨日の夜よ、ちょっとユミと喧嘩しちまってよ。

いやさ。

こないだよ、お前に「さるかに合戦」の話しただろ?

あの話をよ、昨日の夕食の時にユミにもしたんだよ。

あん時みたいに「牛のうんちは偉大だ!」って、力説したワケ。

そしたらよ……

これこの通り、思いっきりビンタされちまったんだよ……。

ったくよ、意味わかんねーよ。

いきなり問答無用で往復ビンタだぜ?

普通のビンタならたまにあるけどよ、往復なんてよっぽどじゃねーとしねーだろ。

ユミのやつ、なんであんなに怒ってやがったんだろう……。

俺ぁ、さっぱり分からねーんだ。

あ?

なに?

昨日の夕飯は“カレー”だったんじゃないかって?

おう、たしかにそうだな。

ユミ特製のビーフカレーよ。

テメーなんで分かんだよ。

ああん?

もしかして、オメー、超能力とかあんのか?

は?

そんなもんなくてもわかるって?

よく分かんねーけど……まあいいべ。

そんなことよりよ、へへ。

今日も仕れてきたぜ。

とびっきりのおもしれー話をよ。

今日はなんと、中國の話だ。

いやー、この俺がまさか中國の話もってくるとは思わなかったべ。

でもよ、中國っつっても、一どこの県の話だろうな。

そこんとこ聞き忘れたぜ。

ま、多分、広島とかその辺だろ。

もみじ饅頭とかあるしよ。

なんとなく中國4000年の歴史じるぜ。

でよ。

その中國に三蔵法師っつー坊さんがいたんだよ。

んで、天竺っつーとこになんか巻を取りに行けって命令されるワケ。

當時の中國には妖怪がたくさんいるからよ、三蔵の坊主野郎は仲間を探すの。

それが猿と豚と河

正直、心許ないけどよ、まあ牛のうんちよりゃましだべ。

……でもよ。

実は、そのお供の3匹の中に、すんげー俺のテンション下げる奴がいんだよ。

そう、河だよ。

いやよ。

実は最近、うちの親父がマジで河みてーになって來てんだよ。

つか、もうほぼ河なんだよ。

キュウリも好きだしよ。

そういや、泳ぎも得意だって言ってたな。

つーかよ。

禿げててキュウリが好きで泳ぎが得意ならよ。

そりゃもう「河みたいなやつ」じゃなくて「河」だべ。

まあよ。

最初は俺もよ、微笑ましく見てたんだよ、親父の河化をよ。

けどよ。

……ある日、ふと気づいたんだよ。

俺もいつか、親父みてーになるんじゃねーかって。

そう。

伝ってやつだ。

俺ぁ震えたぜ。

そういや、俺もきゅうり好きだしよ。

かっぱ壽司も好きだし、そこでかっぱ巻きも食うしよ。

恐ろしいことに、泳ぎも得意なん……

ん?

おいコラ!

てめー、この野郎!

今、おめー、ちょっと目線あげやがっただろ!

俺の生え際を見てただろうが!

生え際見て、デコの後退合を確認しやがっただろ!

ばれねーようにチラチラみてるんだろうがよ、そういうの、やられたほうはすぐにわかるんだぜ!

いいか、おっぱいのチラ見とかも全部にはバレてんだからな!

いい加減にしろ、このエロガッパ!

……いや、すまねえ。

ちょっと興しちまった。

まあよ、今は俺もまだ禿げてねーし。

どっちかっつーとカーチャン似だし。

多分、大丈夫だべ……。

わり!

なんかよ、っぽくなっちまったな!

ま、禿げたら禿げたでカッケー河になりゃいい話だな!

そういやよ、昔キムラ先輩がすんげー良いこと言ってたんだよ。

「人間、頭は禿げてもいいけど、心まで禿げたらおしめーよ」

ってよ。

先輩の言うとおりだぜ。

つまんねーことで悩んでると、心の方が禿げちまうぜ!

で、さっきの話の続きなんだけどよ。

なんか猿が妖怪と戦って、なんやかんやあって、天竺にたどり著くらしいぜ。

マジでめでたしめでたしだよな!

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