《ヤンキーが語る昔ばなしシリーズ》最終話 『牛若丸』

考えてみりゃよ。

俺の昔話をまともに聞いてくれたのはお前だけだったな。

お前と過ごしたこの半年――

……悪くなかったぜ。

あ?

いきなり何の話だって?

おう、わりーな。

まあ、今日の話を聞きゃわかるぜ。

うーし。

んじゃ、始めんべ。

こりゃマジで昔むかしのことだよ。

あるところに、牛若丸っつーにーちゃんがいたのよ。

このにーちゃん、ちいせえ頃に寺にれられてよ。

カーチャンと生き別れになっちまったのよ。

でよ。

その寺の裏山にはテングがいてよ。

そいつと毎日、刀の修行してたのよ。

で、ある日よ。

牛若丸は自分の運命を寺の坊さんから聞かされるのよ。

なんとこのにーちゃん。

実はすげー偉いやつのを引いてたのよ。

でもよ。

にーちゃんの親父は戦に負けちまってよ。

その偉い筋ってのはほとんど絶やしにされて力を失ってたわけ。

そんでよ。

真実を知ったにーちゃんは立ち上がることに決めたのよ。

そんで、自分の一族をもう一回、復活させることにしたわけ。

でよ。

そっから弁慶っつーおっさんやら盜賊の親分とかを仲間にしながらよ。

ついに壇ノ浦っつーとこで、平氏とかいうその時のラスボスやっつけちまうわけ。

すげー男だよ。

まさに選ばれし男よ。

……けどよ。

実は、俺ぁ、この牛若丸のにーちゃんの気持ちわかるのよ。

なぜならよ。

どうやら俺も――

選ばれた筋の男みてえでよ。

おう。

こないだよ、いきなり3本足のカラスに話しかけられてよ。

異世界ってとこを平和にしてくれって頼まれたのよ。

どうやらよ。

ちっと、俺の力を必要としてる世界があるみてぇでよ。

ヤヨイと一緒に、向こうの鬼を退治してくるぜ。

おう、そうだ。

ヤヨイと言えばよ。

あいつ、あの不気味な前髪をばっさり切ってよ。

最近はちゃんと俺の目を見て話しやがるワケ。

いつの間にか、すげー大人になってやがったぜ。

ま、そういうわけでよ。

ちっと、行ってくるわ。

あ?

ちゃんと帰ってくるのかって?

バーカ。

俺を誰だと思ってんだよ。

あ?

なんだよ、その心配そうな顔はよ。

ったく。

てめー、これまでここで俺の話をどう聞いてやがったんだ。

桃太郎の兄貴もちゃんと帰って來たべ。

一寸法師だって西遊記の猿だって猿かに合戦の牛のふんだって。

みーんな悪もん退治して、帰って來ただろ。

そうだよ。

語の主人公はよ、ぜってー負けねえんだよ。

大昔からよ、それは変わらねえんだ。

……だからよ。

俺も、ぜってー戻ってくる。

約束するぜ。

そしたらよ。

そん時はまた、ここでおもしれー話してやっからよ。

おめーも、変わらずにこのファミレスに來てくれよな。

それじゃ、マジでめでたしめでたしにしてくんぜ!

読んでいただいた全ての方々、ありがとうございました。

なんか當初の予定とは全然違う結末になっちゃいました笑

でも、みなさんのおかげでめちゃめちゃ楽しかったです。

いやこれマジで。

みなさまに構ってもらえたおかげで、なろうを始めてから一番幸せな時間になりました。

また書きたくなったら続き書きます。

ただ、更新せずに放置しておくのは分じゃないので、一旦終わらせます。

いつかまたダイゴが帰って來たら、どうかその時はまた構ってください。

山田マイク

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