《お月様はいつも雨降り》第十

「そうだな、お互い変わってしまったものな」

僕はし寂しそうに笑ってそう言う青年の案に導かれるまま彼の車に乗った。

こんなに高そうな外國製のRV車に乗ったのは僕には初めての経験だった。

「ご機嫌よう、月影IVY07HB」

助手席から顔を覗かせたのは、シャントととても似た姿をした人形だった。

「月影IVY05HB、しばらく通信が途絶えていたので破壊されたと思っていた、経緯をデータで報告しろ、もうしで上様は凍死するところじゃった」

シャンが僕の上著の中から怒った顔を見せた。

「07、その件についてはお詫び申し上げます、何しろ、私たちのやり取りはそのころから筒抜けでした」

「えっ!」

驚きぶりからもシャンはそのことを知らなかったらしい。

「もうサテライトネットワークが破られたの?」

「大國の報技は私たちの想像以上です、ただすべてではなく、斷片的にれていると思われます、おそらくですが、増幅點に近ければ近いほどその容は解析されているといっていいでしょう、私たちは、その場所で調査することが多かったので、報を知り得た段階で強制的にネットワークを遮斷したの」

「だからか……」

まだ、全が冷え切っていて頭の冴えない狀態が続いている僕には二の會話が何を意味しているのかさっぱり分からなかった。

「他の子たちは?」

「共有済み、07、あなたに伝えられなかったのはこちらの責任ではなくあなたたちが……」

「スリップさせられたから……」

「おっしゃる通り、月影型ではあなたとあなたのマスターが初めてよ」

「スリップの予兆は?」

それまで黙っていた青年は運転をしながら話しかけてきた。

「上様の発言を総合すると『アポカリプティックサウンド』だと思う」

僕は記憶の中のシャンがそのような単語を神社で言っていたような気がした。

「天使のラッパか……」

のヒーターが効いてきてとってとても心地よくなってくる、疲れている僕にとって、それは睡魔をいざなうのに十分な溫度であった。

僕はまた夢の中で小學生になっていた。

「すげぇ風があたるし、すげぇ遠くまで見える!」

クラスの中で一番背の低いレンはいつもこの場所に上ると機嫌が良くなる。

僕は校舎の二階がし近くなるじしかしないので、そこまで気分がハイテンションになることはない。でも、ジャングルジムのてっぺんまで上がるとしだけ大きな乗りに乗っているような気分になる。

「ヒロト戦闘隊長、レーザーキャノン砲撃準備、目標は四次元怪獣、しっかり狙えよ」

「了解だ」

一番上の段がし怖いヒロトは二段目に足をかけて立ち、レンの言葉に大きくうなずく。

ジャングルジムからし離れた銀杏の木が今日のごっこ遊びの目標だ。

「既に殘されたのは本艦だけだ、撃った後、ワープはできそうか」

「エネルギーが足りません」

し太った子、そうだマサハルだ。マサハルは両手でつかんだ鉄棒をぐいぐい揺らしている。

「そうか、それなら特攻しかない、〇〇、それでいいな」

レンの隣にいる僕はどうやら副艦長のようだ。

「特攻って、それ、短絡的すぎないか」

ジャングルジムの僕が、今の大人の僕になったところで目が覚めた。

「上様、著いたぞ」

シャンに起こされたのは今日が二度目だ。一度目は……

「あれ?ここどこ」

広い地下駐車場であった。並んでいる車はどれも一目見ただけで僕には絶対買うことのできない高級車ばかりだった。

「〇〇、降りる準備だ」

「誰だっけ、まだ、名前を聞いてなかったよね」

背の高い青年は、今度はしだけ聲を出して笑った。

「レンだよ、小學校で同じクラスだった、ああ、背、びたもんな」

背の高い青年の顔には、確かに昔の背の低かったころの彼の面影がしだけ殘っていた。

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