「ダーリンどうしてかないの、ねぇダーリンどうして赤いの、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン」

「あの」

「ダーリン、ダーリン、誰、まさかあなたもダーリンを連れ去ろうとしてるの」

紗枝が彼に聲をかけようとすると、彼は虛ろな瞳を紗枝に向ける。あれは、危ない。

「ダーリンを、ダーリンを連れていかせない」

虛ろな目のままナイフを振るう、どこかに隠し持っていたのだろう。包丁ではなくナイフだ。

「ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン」

「あなた」

「紗枝に指一本れさせるかよ」

だからそのナイフを、スコップで弾く。無造作に振られるナイフ、それを弾くスコップ。だがスコップ先端は鉄なのだが、それ以外は木製だ。だからナイフを弾ききれない。

「殺しちゃおうよ」

「ダメだ」

「なら撃っちゃう」

殺してしまうのは簡単だ、だがそうするとこいつに食わせていた食料がもったいない。かと言っていつまでも堪えきれない。

「おい」

「ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリン、ダーリンを奪おうとするやつは死ね」

「あなたなんでこんな」

「似てるから仕方ないだろう」

「あなたとこのが」

來る前にも話したが、俺自も紗枝や菜々が死んだらこれくらい、いやこれ以上に暴れると思う。だからか珍しく他人に関わろうとしているのかもしれない。

「ってあれこれって」

彼に関して、かつ今だけで言えば紗枝よりこのの事を気にしている。つまりは。

「浮気かな」

「死ねっ」

紗枝がバールを振る、俺に。

「ストップ紗枝」

「あなたは私だけを見てればいいの」

「ダーリン、ダーリン、ダーリン」

「いやごめんなさい、本當にごめんなさい」

「許さないわよ、あ、な、た」

「ごめんなさい、ごめんなさい」

後ろから來ていた狐達はなにも言わない、というか助けてしい。

「ごめんってば」

「許さないわよ」

「ダーリンと私の部屋から出てけ」

「こいつらなにやってるんだ」

紗枝には武は振れないし、彼に武を振る余裕はない。紗枝の方は俺を狙うだけで彼には見向きもしない。そして彼はどちらも相手にしているので防もせずに武を振ることができるので倒れはしない。

「あなたそんなに泥棒貓の方がいいの」

「良いわけあるか、俺には紗枝が一番なんだよ」

「出てけ、出てけ、出てけ」

そして。

「うっさいっ」

狀況は。

「で、きゃっ」

最悪な。

「紗枝本當にストップ」

方向へと進み出した。

ゴスッ。

「えっ」

「えっ」

「えっ」

「「「「えっ」」」」

彼に降り下ろされたバールは。

「どうして」

彼に當たることはなく。

「おい」

それを遮るように飛び出してきた。

「ちっ」

人に。

「FOX4っ」

「どうして私をかばうの」

當たり。

「一目惚れ」

辺りをに染め。

「そんな理由で」

「仕留められなかった、もう」

「ごめんってば」

その上に男が1人。

「おいFOX5応急措置」

「了解」

「FOX1応急措置は応急措置だぞ、しかも薬は」

「あなた離してよ、あなたをたぶらかす」

「ごめんってば落ち著いて」

倒れこんだ。