《50日間のデスゲーム》死闘44day

肩で息をしながらお互いににらみ合う、紗枝の目にはのようなものはなく、憎しみしかじられない。そしてなにもいわずにスコップを手放し隠し持っている包丁をって。

「ちっ」

とっさにしゃがみこむと首のあったところをメスが通り過ぎる。紗枝もリーチがあっても使いにくいスコップを捨てたようだ。アッパーのように包丁を切り上げるが當たり前のように避けられる、がそれが狙いだ。足を肩幅に開き腰を落として重心を下げ、手を前にし右手に包丁を構える。見よう見まねな道家のような構えだ。

紗枝の方はというと、自然かつ笑みを浮かべながらこっちを向いている。だがその目は殺意しかじないが。

「うふふふっあなたのような聞き分けのないやつ始めてみたわ」

「俺もなんで紗枝に武向けないといけないんだろうね」

「夫のに武向けるのは心苦しいけど、仕方ないよね、許してくれるよね」

「紗枝のやったことならなんでも許すよ」

「あんたには聞いてないっ」

紗枝は的確に首を狙う、だがそれがわかればって。

「速いっ」

「あはははははは、どうしたの」

わかってても無理なものは無理だ、武の達人ではないから、ただのためらいがない人だから押さえ込むことは不可能だ。

「あははははははは、避けろ避けろ」

「っ」

もはや當初予定していた包丁でメスだけを弾くのは不可能だ、ならばと作戦を。

「えっ」

メスを振りきった後、その間合いに向けて踏み込み。

「けど」

首元を突き刺そうとするメスを、そのメスをもつその腕を、包丁を手放し摑み。

「ごめんっ」

捻りあげ。

「っまだっ」

そのまま、足で紗枝のバランスを崩しながら腕を引っ張り。

「まだでも」

倒す。そしてそのまま紗枝の上にのり押さえ込む。

「ひっ」

なにもできないように紗枝の両手を押さえつけ。

「紗枝っ、俺がわからないのか」

「知らないっ、知るわけがっ」

紗枝が手足をばたつかせる、が押さえ込んでいるのでそう簡単にはかせない。

「知らないやつに」

手足はかせない。

「こんなにもめちゃくちゃにされて」

手足はかせないということに気が抜けていた。

「ごめんなさいあなた」

まだ。

「パパママもうけんかは」

口は。

「あなたに最後に」

かせ。

「會いたかったなぁ」

紗枝が舌を噛みきろうとする、だが両手は紗枝を押さえ込むのに使ってしまっている。だからかせない。かせないなら。かせるところが限られているなら。押さえ込んだ無理矢理かし、舌を噛みきろうとする紗枝の目を見つめながら、唯一かせ、かつ紗枝を取り戻せる最後の手段をとる。

「會いたかっっ」

紗枝との距離はほぼ0で、それは下手くそだが平和なときには何度もやっていた行為で、ふたりともお互いが相手にしかしたことがなくて。

そんな大切なキスを、こんなロマンがない狀態で行った。

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