《冥府》三神之伝承

生ある間に徳を積んだ者は極楽浄土へ

罪を犯した者、人を殺めた者は、地獄よりも恐ろしい場所へ

この山がある一帯に住む人々は山の中腹に墓地を作り、死後の裁きをそうやって山の土地神に委ねていた

魂を極楽浄土へうものを天導乃神(てんどうのかみ)

地獄よりも恐ろしい場所へ突き落とすものを荒魂乃神(あらだまのかみ)と呼んだ

天導乃神に極楽浄土へ導かれるよう、荒魂乃神に清廉潔白だとを張って言える生き方をするよう、土地神様に恥ずかしい姿を見せないよう、正しく生きていこうと言う信仰が広がっていく

いつしか時代の流れと共に、天導乃神よりも荒魂乃神が裁く者が増え始め、パワーバランスが崩れ始める

力を付ける事で元々の土地神を圧倒した荒魂乃神が、新たな土地神にり代わる

以後、山は神隠しが多い事で有名になり、鬼と化して実化する荒魂乃神の目撃報も増えた

人々はその経緯を悲しんで憂い、これ以上この山に死者を埋葬する事を止めた

鬼と化した荒魂乃神が、極楽浄土へ行ける魂をも勝手に裁いてしまう事を恐れたのである

その後、3つの神を祀ったお社で周期的に神を鎮める祭事を行っていた

しかし荒魂乃神の力か、一帯の山々は雨風が激しく吹き荒れる事の多い土地となり、地りや土砂災害が頻繁に起きる事で犠牲者が増えて、次第に住んでいる人々が居なくなり始める

それに連れて祭事も行われなくなっていき、社もいつしか山の深い森に飲み込まれ、誰も知らない存在と化してしまう

住んでいた人々の子孫でこの伝承を知っている者は多いが、既に大昔の「噂話」程度にしか認知されておらず、消滅した日本の土著信仰として一部の學者たちに細々と研究されているに過ぎない

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