《俺+UFO=崩壊世界》子供と犬と貓はジャスティス! それが世界の真実なんだよね

突然だが、俺には許せない事がいくつかある。

一つ、コンビニで買った弁當に箸が付いてない事。

二つ、唐揚げにレモンを斷りなくかけられる事。

三つ、犬と貓と子供を苛める事。

三つ目の項目はたまに子供が犬貓を苛めてたりするので臨機応変に対応すべし。

そして俺は今、三つ目の項目に引っ掛かる事案を目撃してしまったのだ。

夜中にトイレに行きたくなって目を覚ました俺は、廊下の暗さを見て『部屋の窓からしようかな』等と寢ぼけた事を考えつつ窓を開け放った。

いや、勿論本気じゃなかったと思う。

寢起きの時にする行って本當に怖いよね。

とにかくだ、座を弄くりつつ下を覗き込むと何やら蠢いているのが分かった。

その景を見た瞬間、れかけたが何とか押し留めた。

轟いているのは人影だった。

こんな路地裏で、しかも真夜中に一何をやってるのかね!?

そうをドキドキしつつ眼を凝らせば、子供一人を大人三人が取り囲んでいるのである。

すぐに良くない事が起きてるってのが分かった。

とりあえずチャックを閉め、様子を伺っていると耳を凝らすまでもなく會話が聞こえて來た。

『そいつを寄越せば、見逃してやるって言ってるだろぉ?』

『お前には勿無いだってわかんねーのか? 不要児が』

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『…………なんだよぉ、ただの鉄屑だよ? 銃や機械の部品でもないのになんでっ、しゴミ山をあさればいくらだって手にるじゃん」

『そのゴミ山から手にれたってのが問題なのよ。アソコからを盜るなって言っただろうが』

なんであそこまで子供に高圧的な態度をとれるのかね。

僕にはちょっと理解できないです、したくもないが。

このまま見ている訳にもいかんが、大人三人に無策で勝てはしないだろう。

だが、幸いにもここは二階で周りは暗闇に包まれている。

奇襲するなら絶好の場所とタイミングだ。

下の會話を聞き逃さないように注意しつつ、部屋に戻って鞄の中から十のホルダーを取り出して中から六個ボタン取り出す。

それと部屋の扉を開け、部屋の鍵と取り出したボタンをテーブルに置き、カンテラの火を消して鞄の中にれる。

ついでに予備の蝋燭もいくつか貰っておこう、 カンテラの代金が六ボタで足りなかったら主人に悪いが、今は急事態なのだ。

準備を終えると肩に鞄を掛け、掛けてた布をどけてバケツを手に持った。

『ゴミ山は誰のモノでもないよ?! おまえらがそんなコトを勝手にきめるなよなっ!』

『俺達が決めた訳じゃねぇ、知り合いにしお願いされちまって仕方な~くやってる訳よ』

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『ごちゃごちゃ言ってねぇで、さっさと寄越せばいいんだよぉ!』

大分痺れを切らしてきた様だ。

俺は窓辺に足を乗せ、バケツを足元にいる奴等の一人に頭へ落ちる様に狙いを定める。

しかし、ヒートアップしてるせいか奴等のきがユラユラと海草の様に落ち著きがない。

奇襲効果が薄れてしまうが、仕方ない。

俺はバケツの水を手で掬うと奴等の上に振り撒いた。

『あ? あぁ、雨か? おい、持ってきたか?』

案の定、水に気を取られてきを止めやがった。

その瞬間を逃さずにバケツを手放すと同時に、窓を乗り越えて飛び降りた。

鈍い音がして男が蹲るのが見える、男二人が何事かと上を向いて目を丸くしたのが堪らなくおかしかった。

「っぐうあぁ!?」

蹲った男の上に無事著地して、相手に最大限のダメージを與えつつ、此方のダメージを最小限に抑える。

相手は骨ぐらいは折れたかもしれんが、自業自得だ。

「な、なんだテメェ?!」

「ふざけた事しやがって!」

一人は揺しているが、一人は既に臨戦態勢だ。

これ以上時間を與えると一気に不利になる。

すかさず揺している男に向かってタックルをかます。

すると男は何もできずに倒れこむ、しかし追い討ちはかけない。

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案の定その場から後ずさると、臨戦態勢にっていた男の右足の蹴りが前を橫切っていく。

だが蹴りと言うチョイスは頂けないな、威力が高いが故にバランスを崩しやすくなるからな。

宙ぶらりんとなっていた右足を摑むと、そのまま思い切り持ち上げて相手の方に倒れこむかの様にを預けると相手が後ろに倒れこむ。

おーけー、ここまでだ。

生憎ここまでやっても素手である以上、俺が勝てる可能は五分五分だろう。

此方を向いて唖然としている子供を抱きかかえると、相手が勢を立て直す前にそのまま路地から走り去った。

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「ま、待って。はなせ! はなせよぉ!」

「わ、わかった。わーかったから聲を小さくしろよ。はぁはぁ、自慢じゃないがなぁ……。正面からじゃ、あいつ等に勝てる自信はないんだぞ? 俺は」

正直、もうし現場から距離を置きたかったが、子供が暴れだしたので斷念する。

ゆっくり地面に下ろすと、子供はすぐさま俺から距離を取って睨みつけてくる。

生憎だな、今日一日弦さんの睨みを経験した俺にとっては微風同然だ、チビ助よ。

「こ、コレはわたさないよ! しかったら、ゴミ山にいけよな!」

「ん? そんなチョコ板みたいな錆びた鉄片しさに、二階から飛び降りた訳じゃないぞ」

そう言うとし表から険が取れた気がする。

ただ未だに警戒はしてるな。無理もない、怖かったろうに。

「お前、家はどこだ? 見てのとおり、もう夜中だ。子供がうろつく時間じゃないと思うが」

「い、家……。 家はゴミ山の近くだけど……」

あかんな、俺はそのゴミ山って場所は當然分からない。

トラックに乗ってた時もそれらしき場所を見掛けてないし。

「生憎、俺はこの町に來たばかりで其処が何処かは分からん。お前、分かるのか?」

「うー……。わ、わかんないよ。こんな夜中に外にいたことないし。

ゴミ山から帰ろうとしてたら、アイツらが後を著けてきたから、それで逃げてたらいつのまにか……」

「そうかい、じゃ気長に行こうか」

子供の頭をでつつ、鞄から宿で拝借したカンテラを取り出した。

幸いにも道路の所々にはドラム缶の焚き火があり、火種はある。

「い、いくって?」

「そのゴミ山って場所を探すんだよ。しばらく宿には戻れん、あいつ等がいるかもしれんしな。暇を潰すついでに付き合うぞ?」

近くのドラム缶の火を借りて蝋燭に火を燈すと、カンテラの中に設置して掲げる。

と、そこで初めて子供の姿が良く見えて俺は驚いた。

し長い金髪は薄汚れているが、カンテラの燈りをけて爛々と輝きを放っている。

驚きに見開かれた目のは蒼で、痩せて見える頬は汚れよりも所々覗き見える白いの方が目立つ。

は、白人? ここは日本ではなかったのだろうか? いや、そもそも日本語を流暢に喋ってるし……んん?

「うぇ……で、でもドコにいけばいいのか分かんない」

子供は涙目になると下を俯いてしまった。

えぇ~? さっき大人三人に囲まれてた時に見せた気丈さは何処にいっちゃったのよ君ぃ?!

子供に泣かれると厄介なのは某DBが証明している。

予想外のアクシデントにし慌てつつも腰を下ろし、目線を合わせてめる。

「いや、だから俺が一緒に探してやるって。な? 大丈夫、すぐ見つかるって。俺は部屋のリモコン見つけるのだって得意なんだから」

「……うん、わかった」

何とか後一歩のところで涙腺の崩壊を押さえ込むことに功する。

よかった、リモコンが効いたかな。

「俺の名前は木津 沿矢だ。お前は?」

「ルイ、ルイ・ギドボア」

「お……おーけー、ルイ。俺に任せておけば、君は無事にゴーホームできるよ」

「……ごーほーむ?」

あ、英語分かんないのかよ。

それか俺のアクセントがお話にならないのかもしれんが。

苦笑しながら何でもないと首を橫に振ると、ルイの背中を軽く叩いて橫並びになって歩き出す。

とりあえず先程の件もある、此処の治安はあまりよろしくないと言う俺の予想は裏付けされたと見ていいだろう。

なるべく人が居る場所を歩きつつ、ぶらぶらとルイと一緒に町を見て周る。

意外にも、場所を選べば夜でも人の通りは多いようだ。

広いメインストリートでは、まるで祭りの屋臺みたいに商売している輩も多い。

カンテラを持ちながらその中を歩いていると、まるで近所の夏祭りに來たような気分だ。

「ルイ、はぐれない様に俺の手を摑んでてくれないか?」

「う、うん。いいよ」

正直まだ警戒されてるかもと思ったが、ルイはおずおずと俺の右手を握ってくれる。

夏祭りの屋臺と表現したのはいいが、売っているはエアガンではなく本の銃であったり、焼き鳥ではなく鼠のだったりと中々に刺激的だ。

だが、そんなでもお粥のみを口にした俺にとっては大変味そうに見えてしまう。

普通に食べ歩いてる奴等も多いし平気だとは思うが、ここまで食糧事の変化が激しいとし躊躇してしまうな。

「どうだ? ルイ、こんなに目立つ所なら見覚えもあるんじゃないか?」

「ん……ん~…………見たことある、かも」

きょろきょろと珍しそうに辺りを見回しながら、ルイは小さく頷く。

ふと、ルイの視線がある一點で止まった。

その先を辿ると、ようやく見覚えのある一品を販売している屋臺があるではないか。

しそうに眺める子供の視線って何かこう、保護を刺激する所があるよな。

「ルイ、しあそこに寄っていいか?」

「え? ぁ、うん」

売っているは焼き芋だ。

ドラム缶の中で芋を焼くと言うアグレッシブな方法だが、鼠のよりかは敷居は低いだろう。

「オジサン、それいくら?」

「お、買ってくれるのかい? 一つ三ボタで、五つ纏めて買うと十二ボタでお得だよ」

マジか、弦さんが紹介してくれた宿安すぎじゃね?

それともこういう嗜好品の方が高いだけなのかなぁ、価の予想がつかねぇな。

「ん~どうすっかなぁ」

本當は俺の中では買う気満々だが、し勿付けてみる。

するとオジサンはここぞとばかりに話しかけてくる。

「この芋は壁の向こうから仕れた良いだよ、汚染は一切なし! まぁ今更そんな事気にする奴はないせいで、売れ行きはあんまり良くないけど……」

汚染って何やねん。また気になるキーワードが飛び出したが、今は他に聞きたい事がある。

「ん~、オジサン。ゴミ山ってどこにあるか知ってる? それを教えてくれたら纏めて買うよ」

「本當か?! ゴミ山だな? ゴミ山ならこのまま真っ直ぐ行って、大きく道が途切れた所から右の路地裏を通ってくと行ける。ただ最近は騒な輩がうろついてるから、お勧めできる場所じゃないと思うが……。まぁ、好きにすればいい」

よほど売れ行きがよくなかったのか、オジサンは態々振り手振りで教えてくれる。

騒な輩ってのが気になるが、今更行くのをやめる訳にもいかんだろう。

「ありがと、なるべくデカイのをくれたら。また買いにきちゃうかもよ」

お禮を述べ、ホルダーからボタンを取り出して渡す。

オジサンは丁寧に芋を選んで取り出して、袋に詰め込んでくれた。

渡された袋を覗くと、全てがデカイ芋で笑ってしまった。

『いつも此処でやってるから』とオジサンに念を押されつつ、その場を後にする。

「場所も分かったし安心だな。 ほら、し此処で休んでこう。芋も冷めると不味くなるしな」

通りの一角に腰を下ろしながら、芋を取り出してルイに手渡そうとするがけ取らない。

あれ? まさか芋の臭いが好きで、食べるのは嫌いとかって言うオチじゃないよね。

「ぅー……。しらないひとに食べもらっちゃダメって、先生が……」

「おいおい……俺の名前を知ってて、俺はルイの名前を知ってる。つまり俺達は知り合いだ。ほら、俺が火傷する前に助けてくれよ」

冗談を言いつつ、芋を乗せた手を震わせる。

まさに我慢してます、的な態度だ。完璧やな。

本當に熱そうに見えたのか、ルイは慌てて鉄片を傍らに置いて芋を俺の手から退けてくれる。

いなぁ、もう。

「……た、食べるね?」

「あぁ、食え食え。芋とは熱いうちに、だ」

どちらも冷めるのが早いからな。

おずおずと口をつけたのは最初だけ、ルイはよほど腹が空いていたのか次々に頬張っていく。

それを橫目で確認しながら、俺も芋を齧る。

どうやら、芋の味さは不変なだと言う事が今日証明されたな。

宿の主人には悪いが、やっぱ粥じゃ満足できないのよ、私。

とは言え、食い溜めておいた粥が俺の胃を圧迫しており、芋のでかさもあって結局一個しか食えなかった。

ルイも一個でお腹一杯っぽい。

まぁ、いいや……。後で腹が空いたらレンジ代わりに、道端のドラム缶に放り込んで暖めなおして食うか。

「ソーヤは……なんで優しくしてくれるの?」

「ん? うん、まぁ俺のルールとか々あるが……一番の理由は今日俺が他人に優しくされたからかなぁ」

「……どういうコト?」

「今日俺は々あってすんごい困ってた。けど見返りも無しにって訳じゃ無かったけど、助けてくれた人達がいてさ」

もしかしたら弓さんなら弦さんを説得して、見返り無しでも助けてくれてたかもしれないな。

いや、あの人ならやりかねんな。その景がハッキリと想像できてしまい、笑みが零れる。

「凄く嬉しかった。その後も々良くしてくれたしな、ああいう事って普通にできる事じゃないと思う。こんな場所なら、尚更だ」

弦さんは終始、俺に気を向けてた様に見えた。

心配がどうこうとかじゃなく、警戒してた。

しかし、それが此処じゃ普通なのだろう。

けど弓さんのお願いとは言え、々良くしてくれたのはあの人自の人の良さもあるだろう。

「尊敬って言うか、憧れに近いを抱いたのはあれが初めてだった。だから俺も、ああいう人達にれる様に努力してみた訳だ」

「……だったら、もう大丈夫だよ。ソーヤがたすけてくれて……私スゴくうれしかったもん」

ルイはそこで初めて笑顔を浮かべて、そう言ってくれた。

ん? 私? え? まさか……の子? いや、そう思って見てみれば確かにの子だわ。

暗いし、ルイが薄汚れてたってのもあるが、完璧に男の子だと思ってた。

こんな時間にの子を連れまわしてて大丈夫か、俺? いや、男の子だったら平気って訳でもないだろうけどさ。

元居た場所なら間違いなく事案発生だわ、俺の作文が夕方のニュースで何回も読み上げられてる事だろう。

小學五年の時に『宇宙人を何時か打ち滅ぼす』とか書いてたからな、世論の援護は期待できないだろうな。

「どうしたの? ソーヤ」

「いや……何でもないよ。そろそろ行くか? 家族も心配してるだろうし」

芋がった袋を鞄に詰め込みながら、腰を上げる。

せっかく仲良くなってきた所だが、何時までも一緒にいる訳にはいくまい。

「うん、皆にはやく會いたい」

ルイも鉄屑を抱えてぱっと立ち上がると、何も言わずとも向こうから手を握ってきた。

い奴よのぉ……、持ち帰ったら駄目かしら。

あ、今の俺には帰れる場所が無いんだった。こんなに悲しい事は無い……。

崩壊した世界にドラム缶は欠かせない要素だと個人的には思ってます。

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