《俺+UFO=崩壊世界》ドキドキワクワクな初験の連続の幕開け 編
借金を返すぞ!!
なんて息巻いたはいいが、俺にはどうすればいいか全くわからん。
俺が目覚めた二日後には、もうすっかりみも治まりに異常はもう無かった。
とりあえず今は里津さんに借りたTシャツと、ぺネロさんが持ってきた制服のズボンを履いて里津さんの店の手伝いをしている。
當然迫田と戦った時に俺が著ていた服は全部駄目になっていた。ロイ先生ごめんなさい。
しかし、ズボンを持ってきてくれたぺネロさんが俺と目を合わせてくれなかったのが困った。
そんなにショッキングな景だったのだろうか、し落ち込んでしまう。
いや、かと言ってあの時凝視されても困ったんだろうけどさ。
仕事容だが、會計や接客とかではない。
ごちゃごちゃした店の中の整理が目下の所、俺の使命だ。
俺の異常な力強さを良い事に、里津さんは変なロボとか武やら部品などをかして商品の配置転換に忙しない。
まぁ里津さんはだし、こういう事ができないのだろう。
それかただのズボラであるかだ、俺はその可能が一番高いと思うがな。
「ふーん……アンタ本當に力が強いのねぇ。いいわ、信じたげる」
朝からチマチマ働いて、ようやく晝ごろには全ての配置転換が終わりそうって時に、里津さんの口から衝撃発言が飛び出した。
思わず俺が抗議の聲を上げるのもの無理はないだろう。
「ぅえ!? 信じてないのにこんなに酷使したんですか?! もう最後の商品整理終える所っすよ!?」
なんてだ……今でもサンタさんを信じてる俺を見習ったらどうだ? UFOがいてサンタがいない道理は無いからな。
「うるっさいわねぇ……。それと、アンタ首ね」
あかん、絶句してしまった。
まさか初日で首を切られる事になるとは……。
しかも酷使した後にだぞ? 世界は滅んでもブラック企業は滅亡していなかったのだ!!
里津さんは呆然としている俺を目に俺が並べた商品の中から、何かを取り出すと俺に押し付けてきた。
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け取ったを見ると、ハンドガンっぽいでかい銃と弾とマガジンがった箱だった。
何だ? 退職金かな? それとも全て諦めて、これで自分の頭を撃ち抜けって事なのかな? ふふっ、親切ぅ♪
「アンタ、組合所に行きなさい」
里津さんは腕を組んで、ドヤ顔で言い放った。
何だ? 組合所? ハローワーク的な所か? それとも銀行の呼び名だろうか? この銃を使って強盜しろと?
俺の混しきった様子が分かったのか、里津さんは眉を顰めると訝しげに聞いてきた。
「アンタ……組合所を知らないの? まぁいいわ。組合所ってのはハンターやスカベンジャーって職業に就ける場所よ。前世界のビルや、地下街に侵してここにあるような機械の部品を見つけたり。荒野を彷徨う無人兵を倒して、部品を奪ったりする奴等って覚えとけばいいわ」
ふーん。あ、じゃあ俺が荒野で最初にやった事って正にそれだ。
ってかそれって職なの? 俺の知ってる職とは大分違うけど。
「それって……そこに行く必要あるんですか? 勝手にやっちゃ駄目なんですか?」
「組合所ってのは、町や都市が彼等を支援する為の場所なの。車や戦車の燃料を補給してあげたり、弾や裝備を提供したりね。一番重要なのが報よ。大どこに何があるのか教えてくれるし、彼等自で報換したりもするしね。で、ハンターやスカベンジャーはその見返りに見つけた部品や武の一部を組合に寄付するの。まぁ、良い裝備や弾はボタを支払わないと提供されないし。車や戦車持ちってのは功してる奴等だから、その恩恵をけられるのは極一部なんだけど」
なるほど、為になった。
つまりとても危険な職業だって事やないかい!!
いや、でも十一萬ボタという大金を手にれるにはそんな職業でもないと無理なのか……?
なくとも、ここで商品整理しているだけじゃ返せるとは思ってなかったが。
そんな俺の思いを見かした様に、里津さんは腰に手を當てて提案してくる。
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「それとも、アンタ此処でずっと働いて返す? ざっと計算しても數年は掛かるわよ」
ですよね、里津さんが言う事は尤もだ。
まさか、そんなデンジャーな職に就く日が來るなんて思いもよらなかったよ。
だが今の俺は一度死んだも同然のだ、こんな事でビビッてられっかよ!!
そうとなると話は早い、俺は決意を固め鼻息荒く一つ頷いて里津さんに了解する。
「分かりました! 組合所に行ってみます! ……けど、不採用とかってなったらどうしましょう?」
自己アピールとかどうしよう、鉛筆を指で回すのとか得意だけど。
そうだ! 中學の時にブルマ廃止を止める為に生徒會長に立候補して、男生徒から多大な指示を得た事とかアピールになるかな?
その日を境に全學年の子生徒と、先生方の俺に向ける眼差しが変わったんだがな。主に蔑む方向に。
ちなみに學年のマドンナにされ、反旗を翻した一部男子生徒達の所為で俺は負けた。
気にわされやがって……。マドンナは何時の時代も存在するが、ブルマは絶滅寸前だったんだぞ!!
そう俺が心の底から熱くんだ時の、真実に気付いた彼等の悲痛な後悔の顔は未だに覚えている。
「んーまぁ、その銃持ってりゃ平気平気。アンタの馬鹿力を主張してもいいけど、確実に軍に目を付けられるわよ? 問答無用で徴兵されるかもね」
う、うーん。軍かぁ。
きつくて、汚くて 給料安そうの三Kだし、それは勘弁だな。
ただ一つ問題がある。
「……里津さん、これってどう扱うんですか?」
俺は箱に視線を落として、けなくそう呟いた。
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里津さんに銃の手解きをけた後、俺は銃を鞄にれて組合所に向かってる所だ。
とりあえず弾の裝填方法や、安全裝置の切り替え方等はバッチリだが、銃の手れ等は教えてくれなかった。
ボタを払えば見てやるとの事だ。流石里津さん! 商売人の鏡やでぇ~~。
まぁ、あの人には多大な借りがある。
この銃だってそうだ。俺は一刻も早くボタをかき集めてしでも恩に報いるのだ。
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何気に今の所あの人の家で寢泊りしてるし、けどラブコメちっくなHなイベントはまだ験していない。
どうやら俺はギャルゲーの主人公ではない様だ。まぁ、世紀末なギャルゲーがあるかは知らんが。
あるとしたら『あたたたたたぁ! ふぁたぁ! えへへへ♪ 間違ってアナタが三秒後に死んじゃう壷を押しちゃった♪』 ってじかな。
キャッチフレーズは『死ぬ前に告白を功させろ!』で行こう。
企畫の段階で沒になるか、深夜のテンションで社員が迷った末に販売を強行して、ワゴンの中で百円で売り投げされる未來しか見えないな。
そんな痛い妄想はさておき。
何処に向かえばいいのか聞くと、里津さんはある高いビルを指差した。
折れたり、崩れたりで大高くて十階くらいが関の山な建造が目立つ中、そのビルは崩落しておらず倍以上でかかった。
おで迷う要素がない、これで迷うような奴なら路地裏で死してしまうだろう。
そして、どうやら俺は死しなくて済む様だ。
ようやく組合所とやらに続く真っ直ぐな大通りに出た。
これが俺が迷い果てた末に見てる死ぬ間際の幻でもない限り、無事に辿り著けるだろう。
ただ、そのビルに近づくと周囲に何やら騒なと、騒な輩がたむろっているのが見えて歩みがスローダウンする。
車はいいよ、うん。荷臺に大きいガトリング砲乗っけてたり、車の窓から銃口が覗いてたりするけどさ、まぁいいよ。
ただし戦車、テメェは怖い。
何でさぁ、通りに砲口向けてるの? 暴発とかしたらどうするの? いや、そういう事はないのかな? でも昔のなんだろ?
いや見たじ俺の時代の戦車より高能っぽいが、戦車の事なんてよく知らないし~……。
堪らずムーンウォークで帰りたくなってるが、それでは余りにもけない。
組合所に近づくと、重武裝してる連中の騒な視線が俺に突き刺さる。
俺は夜中コンビニにる時に不良の視線を浴びたら、逆に此方から向かってって難癖付けた事もあるが、そんな小とはlvが違う。
コンビニの不良がド○キーなら、こいつ等はキラー○ンサー()だ。出現する大陸が違うLv差だよ。
とりあえず組合所の尊厳な高いビルを眺めながら『うわ~、ここがそうなのか~』的な何でもない風を裝いつつ近づいていく。
組合所のり口に辿り著く頃には大分首筋が痛くなってきていたが、何とかその視線に目を合わせない様に組合所の中に潛する事に功した。
まず中にろうとして驚いたのが扉が自ドアだって事だ。
次に驚いたのが左右にガラス戸が開かれると、俺に吹き付けてきた冷気である。
なんとエアコンが點いているのだ、ってかエアコンどころか晝間なのに電気も點いてやがる。
そうか、ここが都市の支援をけてるって本當だったのか。
いや、別に疑ってた訳じゃないけどね。ですわ、電気って偉大。
ってすぐの所にはフロントが三つ並んでる。
そしてその全部にこの世界では極めて珍しい、綺麗で清潔な格好をしたが一人ずついるではないか。
まるで元居た場所に戻って來た覚に襲われるが、視界の端にショットガンっぽい銃を持った若い警備員がいるので臺無しだ。
何となく左端のお姉さんが好みだったのでそっちに足を向けると、他二人の視線がキツくなった気がする。
素直に中央にしとけば良かったかな……だったら自然だったし。
「あの、すみません。ハンターかスカベンジャーになりに來たんですけど」
俺は早速そんな後悔を抱きながらも、フロントのお姉さんに聲を掛けた。
セミロングで黒髪、勝気な眼差しがグッと來る俺好みなお姉さんはニッコリと笑う。
「はい、登録で「ハンターかスカベンジャーになりに來ただぁ?! 何にもわかっちゃいねぇんだな、小僧」……ちょっと! 止めなさいよ!」
突然お姉さんの清楚ボイスが山男にチェンジャーして俺を罵倒しだしたかと焦ったが、そうではなかった。
何かを睨みつけるお姉さんの視線を追うと、り口の近くの壁に背中を預けて此方を睨む、背が190cmはありそうな格の良い黒のオッサンが居た。
早速キナ臭い事になりそうで、ゲンナリしつつも対応する。
「だから~今まさに説明をけようとしてたでしょ? それとも何か? アナタは生まれた時からその報が脳裏に刻み込まれてた訳ですか?」
お前はトラックに轢かれた転生者か何かか? こちとらUFOに拉致されてんだぞ、何の前報も無かったわ!
俺とオッサンのやり取りを見ている付のお姉さんと、近くに居た警備員の息を飲む音が聞こえた気がする。
オッサンも自分が一瞬何を言われたのか分からないってじで唖然とした表を見せたが、すぐに破顔した。
「ッハハハハ!! そうだな、俺が悪かった。最近この職業を勘違いしている輩が多くてよ、のない奴が多いんで気が立ってたんだ」
さっきの態度から一転して、爽やかに笑うとオッサンは此方に向かって歩いて來た。
お、おお……豪快な人やな。何となく死んだ爺ちゃんに似てるわ。
オッサンは俺の目の前に立つと、手を差しべてくる。
おお、何という紳士や。世紀末でも紳士は滅びてなかったんや!!
「いえ……気にしてないです。木津沿矢です」
俺が妙なを覚えながら、その手を摑むと周りから溜め息が聞こえて來た。
ん? なんだろうの溜め息か? にしては何か……ん?
「あの……もういいですよ。それとも俺の手が気にりました?」
オッサンは俺の手を摑んで離そうとしない。
なんか眉を潛めて苦しげだ、何? 持病の発作かな? それとも俺の手がオッサンのアレルギーを引き起こしたのかな?
「っな……! いや、な、何だお前?」
「ぅえ?! あ、いや。木津 沿矢です」
よく聞こえてなかったのかな、俺は戸いつつも二回目の自己紹介を繰り返す。
するとオッサンは不気味なでも見るかのように俺の手を振り払うと、外に出て行った。
おーけー、紳士は今この時を最後に絶滅した様だ。
「あ、あの。君、大丈夫……?」
俺が紳士の絶滅を嘆いていると、付のお姉さんが態々フロントから出てきて俺の顔を橫から伺って來た。
「ええ、それよりあの人何だったんですかね? 手フェチですか?」
「え? う、うーん。無事ならいいの、じゃあ説明するわね」
お姉さんは首を傾げながらフロントに戻っていく。
何だよ、首を傾げたいのはコッチだよ。
今の時間完璧に無駄になっただけじゃねぇか、オッサンなんていなかった。
その後、俺はお姉さんの説明をけた。
まずハンターとスカベンジャーの違いだ。
スカベンジャーは里津さんが教えてくれた様に、前世界の施設に侵して武や機械等をかき集める集団だ。
ただ施設にはまだトラップが生きてたり、警備ロボが徘徊してたりする様なので大変危険との事。
かと言ってそのどちらも存在しない施設に行っても、當然何ももう殘ってたりしないから注意だそうだ。初心者がよくやらかすってさ。
ハンターとやらは荒野に彷徨う前世界で起きた戦爭で使われた無人兵やロボ等を破壊して、その部品を手にれる集団。
ただ、そういう屋外を彷徨う兵は大変危険だそうで、車や戦車とあとHAとやらに乗って戦うのが基本條件みたいなモノらしい。
その分そいつ等の部品は高額らしい。まずスカベンジャーとして施設でHAとか車や戦車を見つけて、ハンターに移行するってじっぽい。
まぁ普通にそのどちらもこなす奴等も當然居るので、名稱に拘る必要は無いらしいのだが。
「それじゃ、ココに名前と年齢を記して。住所は……まぁ気にしないで、無いならないでいいから。あ、私が書いてあげようか?」
一瞬馬鹿にされてるのかと思ったが、よくよく考えれば教育なんてこの世界ではけられる奴はないのか。
お姉さんに大丈夫と一言告げて、用紙に必要事項を書き込んでいく。
住所は、まぁ書くのは止しておこう。
詳しい場所知らないし、里津さんに許可も貰ってないし。
気になるのが所持武を記する欄だ、この銃の名前なんて知らない。
それとも俺が名付けた『デッド・マグナム』でも事が足りるならそうするが、うーん。
仕方なく鞄にれておいた銃を取り出して、お姉さんに見せる。
「あの、これの名前って……っ!!」
瞬間、耳を劈く音が聞こえ橫っ腹に衝撃をけた。
何かに強く押されたじで、思わず勢を崩して転んでしまう。
「馬鹿!! 何してるのよ!」
「ま、守ってやったんじゃないか!! そいつは見えない所からイキナリ銃を取り出したんだぞ?!」
「引き金に指を乗せたかどうかくらい確認しなさい!! 素人ね!!」
を起こすと、付のお姉さんと若い警備員が口論していた。
警備員は銃を此方に向けており、銃口からは煙が上がっている。
え? 何? 俺は撃たれたの? 痛みをじないのは俺が死ぬ數秒前だから?
慌てて衝撃をけた箇所を調べるが、異常はシャツにが開いた事と、其処を押すとし違和があるってだけだ。
ありがとう、宇宙生。僕を頑丈に作り直してくれて。
ただ何か母親に悪い気がするような、複雑な気分。
「き、君平気なの? 防弾ベスト……は著てないわね。 アンタ空砲でもれてたの? 間抜けで良かったわね」
「そんな訳無いだろ!! ほら、ちゃんとゴム弾がってる!!」
若い警備員がチャンバーから弾を取り出して見せる。
おいおい、他に言う事があるだろ? てめぇは自分が無能じゃない事の方が心配なのか?
「ちゃんとってるぅ……。じゃねぇよ!! てめぇの脳ミソがちゃんとってるか確認してやろうかぁ!?」
俺は憤怒して勢いよく立ち上がると、若い警備員に詰め寄った。
ただでさえ大怪我して大変だったのだ、それに俺に何かあったら教會の皆に莫大な借金殘しただけじゃねぇか!
相手への怒りや教會の事を思って完全に頭へが上った俺は、お姉さんが靜止するのも構わずに奴へ早足で近づく。
奴は慌てて此方に狙いを定めるも、銃を素早く右ストレートを放つ様にして摑み、取り上げて放り投げる。
「ひっ、ひ!! だ、誰か!! 応援を!! 援護してくれ!!」
「あ、テメェ逃げるな!!」
若い警備員は顔を恐怖に染め上げると、後ろを向いて逃げ出した。
俺が兇悪犯だと思うならお前が逃げたらお姉さん達お仕舞いやん、そう思うとますます苛立ってきて堪らず追いかける。
俺が頭を冷やしたのは奴がホールに逃げ込んだ瞬間に、吹き抜けとなっていた二階から他の警備員達に一斉に銃を向けられてからである。
いかん、早速やらかしてしまった様だ。
俺は素早く後ろに手を組んで前に飛び、アザラシの様にホールに勢いよくり込む。
俺の神速的な無抵抗表現に若干の戸う聲が聞こえたが、何とか撃たれずに済んでどっかの部屋に連行されたのである。
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後悔……ってみんなしたことある?
俺? 俺は今絶賛験中さ!!
真っ白い部屋に椅子が一つと、明らかにマジックミラーである鏡が壁に設置された部屋に、俺は既に數十分程閉じ込められている。
そろそろ俺に違法な拷問をする為に、ジャック・バ○アーが飛び込んできてもおかしくないね。
ああ、そういや特別編がまた放送されるって聞いてたのに……見たかったな。
俺にはジャックの様なク○エ的な仲間はいないので、勿論誰も助けには來ない。
いや、ぺネロさんとかが銃を片手に突撃してきても驚くけどさ。
『失禮するよ』
俺がいつも辛い時にする妄想の世界に飛び立っていると、ノックが聞こえてきて、ようやく部屋の扉が開かれた。
妄想はいいね、人類に與えられた自由の翼だよ。楽しくって時が経つのが早い早い。
ってきたのは付で相手してくれたお姉さん、そして俺を撃った若い警備員、最後にビシッと決めたグレーのスーツと皹がってない眼鏡を裝著した役員っぽい人。
彼等は俺の前に並び立つと、一歩進んで役員っぽい人が話しかけてきた。
「すまなかったね。君の無実は彼の証言と、監視カメラの映像で確認した。彼は新人でね……《突然》銃を取り出した君に驚いただけなんだ。 許してくれないか?」
どことなく言葉の言い草に此方を非難する含み混じっているが、そう言われると確かに俺にも非がある。
ココで『あ~ん!? 謝料として11萬ボタよこせや!!』と一発逆転を狙ってみてもいいが、確実に功はしないだろう。
ここは素直に謝罪をけれて穏便に済ませよう、追い出されても困るし。
「あ、はい……。此方こそ騒ぎ起こしちゃってすみません。銃で撃たれるなんて滅多に無いですから。ちょっと驚いちゃって、すみませんでした」
故郷が懐かしいよ、なくともあちらは警告くらいしてくれただろうしな。
俺が言葉を返すと、あからさまに若い警備員は安堵して彼も頭を下げた。
お互い若いもんな、頑張ろうぜ。まぁ相手は若いって言っても二十歳ぐらいだけど。
此方こそ、いえいえそんな的なやりとりをしていると、おずおずと付のお姉さんが質問してくる。
「あの……。君、本當に大丈夫なの? ゴム弾とはいえ、あんな至近距離で撃たれたのに……」
「――え、えぇ。今日は俺のラッキーデイだったみたいですぅ。いやー良かった」
そもそもラッキーだったら撃たれてないとは思うが『宇宙人に改造されて、俺超頑丈っす!!』って言う訳にもいかない。
言ったらココから出してもらえないか、今度は実弾で撃たれるかもしれないし。
「……和解できて良かったよ。田中君、彼は登録に來てたみたいだから案を再開してあげてやってくれ。それじゃ」
あからさまに『あーようやく面倒終わったわー』的な態度をさせつつ、革靴から小気味のいい音を立てながら役員眼鏡は出て行く。
まぁいいさ、口に出さないなら戦爭は発しないからな。ただし冷戦狀態にはなるかもしれんがな。
俺が役員眼鏡が出て行った扉に冷めた目を向けていると、名前が田中らしいお姉さんが可く咳をして注意を惹こうとする。
「ん、んん! 私は田中よ。よろしくね。じゃあ撃場に向かいましょう? 君の武はDF-112ディフェンダーね。うん、反がネックだけど。その分威力も高いし、いい武ね」
田中さんが拘束された時に取り上げられた鞄を返しながら、意外な言葉を口にした。
俺は鞄をけ取ったまま、思わず驚きを隠せなかった。
「ぅえ!? 撃場ですか? う、撃つんですか?!」
「それが試験だからね。大丈夫。その銃だと……裝填數は七発だから、反の強さによる命中率を考慮すれば二発當たれば合格かな」
里津さんに使い方は習ったが、さすがに街中だったし撃たせてはもらえなかった。どうしよう……。
白い部屋から出てから警備員と軽く挨拶して別れ、ワックスが掛けられた綺麗な白い廊下を田中さんの案の中進む。
撃場とやらは地下にあるのか、何故か電球が切れかけてる薄暗い階段を下りて後を付いて行く。
地下の階層に下りると、骨にすれ違う人が減った。
壁は皹ってるし、電球には蟲がたかってるしで上とは大違いだ。
田中さんも、俺が訝しげだった事に気付いたのか眉を顰めて困った様に笑った。
「あはは、ごめんね? 最近はここもあまり使ってないのよ。君みたいに武を所持して登録しにくる人って稀だから」
「え? じゃあ、他の人はどうするんですか?」
「えっと、軽く組み手をやったり検査をして基準を上回ってれば、組合所から武が支給されるわ。と、言っても安だけどね」
あ、今のは緒ね? と田中さんは微笑むと前を向いて歩くのに集中した。
なるほど。里津さんが銃をくれた訳が分かった。
正直そんな事をすれば、俺の異常を隠し通しきれるか自信が無い。
既にやらかしてしまってるしな、ナイス判斷です里津さん!!
ようやく撃場に著いたのか錆が目立つ扉のドアを田中さんが開けると、広い地下で金屬質な鈍い音が響き渡る。
中にって俺はをで下ろした、俺がTVやドラマで見た撃場とあまり変わりが無いからだ。
田中さんは壁に埋め込んであるPCに似た端末の電源を立ち上げると、壁の隙間が開いてキーボードが出てきた。
こういうのを見ると未來ってじだよね、できれば滅ぶ前の時代を一目見たかったよ。
田中さんは素早く何かをキーボードに打ち込みつつ、指示を出してくる。
「それじゃ、そこに立って弾がってるかちゃんと確認してね。あ! 待ってね……よいしょ、ふふ似合ってるわよ」
田中さんが態々作業を中斷して、俺にゴーグルとイヤプロテクタだっけ? を裝著してくれる。
ぶっちゃけ自分でできるのだが、田中さんは面倒見がいいらしい。選んでよかった。
臺の前に立ち、ディフェンダーのリリースボタンを押してマガジンを取り出し殘弾數を確認する。チャンバーの確認も怠らない。
次にチャンバーに弾がってないことを確認し、マガジンを裝填してスライドを引いて、安全裝置を切り替える。
おーけー、後は引き金を引けば弾が出るはず。
構えはどうすっか……撃たなかったから習ってないし。
そうだ、ジャックや! ジャックの撃ち方や!! 妄想してたので姿はバッチリ覚えてるぞ。
えーと、右足を後ろに引いて半にする。
それから右手に銃を持って真っ直ぐ構えて、左手は肘を曲げて銃の底に手を添えるじか。
『中々様になってるじゃない、期待してるわよ! それじゃあ、あのパネルに表示された數字がゼロになったら的を出すから、焦らずにね!』
田中さんは俺の肩に手を掛けてイヤプロテクタをし耳から離すと、エールを送ってくれた。
頷きを返して撃場に目を凝らす、上部に設置されていたパネルに數字の10が表示された。
そして直に段々と數字が減っていく、俺は最後に大きく深呼吸して落ち著きを促す。
カウントが零になると同時に地面がったと思ったら、視線の先で空中にホログラムで突然人型の的が表示された。
それにし驚きつつも、フロントサイトに目を通して狙いを定める。
距離は二十五メートルか三十くらいだろうか? しかし、當てるだけならばを狙えば簡単のはず。
とりあえず、此処だ! と思う所で銃を固定して引き金を引く。
一瞬、俺は弾が発された事が分からなかった。
視界がチラつき、音も聞こえたが何の手ごたえもじなかったからだ。
視界の先では、的の後ろの壁に突然赤い丸が表示され點滅している。
どうやら、あそこに當たったと言う事を教えてくれてるのか。
右に的一つ分の距離で外れたっぽい、俺は姿勢をかさないまま銃口の先を僅かに逸らす。
おーけー、焦るな。二発だ、二発でいいんだ。まだ後四発外せるし、ちょー余裕だし。
俺は今度は當たれと願いを込めて引き金を振り絞る。
すると、的の左肩辺りに赤いマークがって表示された。
ど、どうやら當たってくれたみたいだ。よし、後一発なら頭でも狙ってみるか。
俺は余裕を取り戻して、またし銃口をずらして調整する。
今度は何の気概もなくあっさり引くと、口元部分がってくれた。
おお! じゃあもうし上にすれば眉間か!
またし微調整して引き金を引くと、目と目の間よりし左上の部分がる。
よし、もうかす必要はないかな? 試験もクリアしてるし、さっさと終わらせよう。
俺は何の心配もせずにその場所で銃を固定したまま、引き金を一拍ずつ置いて三回引くと同じ位置が連続して點滅する。
よしよし終わった。俺は安堵の溜め息を吐いて、マガジンを取り出して安全裝置を切る。
イヤプロテクタとゴーグルも外し終え、違和から耳をっていると田中さんが紙を持って駆け寄ってきた。
「凄い凄い!! わ、ワンホールショットを連続四回なんて試験ではじめて見たわ! し、しかもディフェンダーでよ?!」
何故か俺よりはしゃぐ田中さん。
ほら見て!! と、渡された紙に表示された著弾記録に目を通しつつ、ハイテンションな田中さんに若干引きつつも俺は疑問の聲を返す。
「え? ぇえ……。でも、銃を固定すれば楽にできませんか?」
「はっ、はぁ?! それが出來たら撃に苦労しないわよ!!」
何故か喜びから一転して切れられた、喜怒哀楽の激しい人だな。
まぁ、良い記録が出せたなら良かった。
もしかしたら、合格後の待遇も良くなるかもしれないし。
「良かったわね。この記録は試験記録としては最高記録よ! ほら、あそこにずっと表示されるの。目立つわよ~~? まぁ、でもココを使う人なんて……あんまり居ないんだけどね」
確かに撃場の一角にある畫面には、俺が今手元に持ってる紙と同じ結果が表示されている。
試験結果の隣にはフリーやらラピッドとかの畫面も用意されている。
々なルールがあるっぽいな、オリンピック競技にもなってたし當然か。
「ふーん、そうなんですか? 皆は練習とかしないんですか?」
「しないしない、流石に訓練に使う弾は支給されないからね。自費よ自費。ここを使うと言ったら余裕のある人や、新武の試し撃ちしたい人くらいかな」
勿無いなぁ、こんなに広いのに。
テニスくらいなら余裕でできるぞ、寧ろそうした方が活気が溢れそうだけどな。
「試験は合格よ、細かい説明は上で行うわ。あ、どうする? あそこに名前載せる?」
あそこ、と指差されたのは試験結果のレコード記録が表示されている畫面だ。
む、俺はゲーセンのスコア等には必ず名前を殘して來た男だぞ? 勿論やります!
「あの、あそこって実名じゃないと駄目なんですか? こうニックネームとかは駄目ですか?」
「ん? まぁ、どっちでもいいけど。えーと……よし、なんて力するの?」
田中さんが壁に設置された端末を弄くって、こちらを向いた。
俺はニッコリ笑って親指を立てた。
「じゃあ、ジャックでお願いします。俺の憧れの人なんです」
やっぱ困った時はジャックさんやな。
まぁ彼の真似をして、イ○クとかで無茶な拷問が流行って問題になったらしいが、それとは別だからおーけーやろ。
「ふーん、ジャックねぇ。有名な人だったの?」
「ええ、大ファンでした」
多分俺と田中さんでは言葉の意味合いが違うだろうが、頷いておく。
彼の一途な使命とブレの無さ、そしてそれから生じる周りとのズレからの孤獨を見ていると、思わず応援しちゃうんだよなぁ。
田中さんは素早く力し終えると、端末の電源を落として此方を向いた。
「それじゃ、早く行きましょう。もうすぐ定時だし」
「あっ、はい」
さらっとそういう事を言われると『仕事だから相手してあげてるのよ』って言われたじで急にテンションが下がっちゃう。
何となく気を落としつつ、撃場を後にする俺であった。
大組合所行って~とかは考えてるんですが。
実際に書いてみると想像と大分違ってくるんですね~。
まぁ基本勢いで書いてますのでご勘弁を……。
あと登録するのにボタが掛からなかったり、武が支給されたり大盤振る舞いなのは、この世界では人手が圧倒的に足りてないからですね。世紀末ですし、おすし。
【書籍化+コミカライズ】悪虐聖女ですが、愛する旦那さまのお役に立ちたいです。(とはいえ、嫌われているのですが)※完結済み
★書籍化&コミカライズします★ 目が覚めると、記憶がありませんでした。 どうやら私は『稀代の聖女』で、かなりの力があったものの、いまは封じられている様子。ですが、そんなことはどうでもよく……。 「……私の旦那さま、格好良すぎるのでは……!?」 一目惚れしてしまった旦那さまが素晴らしすぎて、他の全てが些事なのです!! とはいえ記憶を失くす前の私は、最強聖女の力を悪用し、殘虐なことをして來た悪人の様子。 天才魔術師オズヴァルトさまは、『私を唯一殺せる』お目付け役として、仕方なく結婚して下さったんだとか。 聖女としての神力は使えなくなり、周りは私を憎む人ばかり。何より、新婚の旦那さまには嫌われていますが……。 (悪妻上等。記憶を失くしてしまったことは、隠し通すといたしましょう) 悪逆聖女だった自分の悪行の償いとして、少しでも愛しの旦那さまのお役に立ちたいと思います。 「オズヴァルトさまのお役に立てたら、私とデートして下さいますか!?」 「ふん。本當に出來るものならば、手を繋いでデートでもなんでもしてやる。…………分かったから離れろ、抱きつくな!!」 ……でも、封じられたはずの神力が、なぜか使えてしまう気がするのですが……? ★『推し(夫)が生きてるだけで空気が美味しいワンコ系殘念聖女』と、『悪女の妻に塩対応だが、いつのまにか不可抗力で絆される天才魔術師な夫』の、想いが強すぎる新婚ラブコメです。
8 96優等生だった子爵令嬢は、戀を知りたい。~六人目の子供ができたので離縁します~(書籍化&コミカライズ)
子爵令嬢のセレスティーヌは、勉強が大好きだった。クラスの令嬢達と戀やお灑落についておしゃべりするよりも、數學の難しい問題を解いている方が好きだった。クラスでは本ばかり読んでいて成績が良く、真面目で優等生。そんなセレスティーヌに、突然人生の転機が訪れる。家庭の事情で、社交界きってのプレイボーイであるブランシェット公爵家の嫡男と結婚する事になってしまったのだ。嫁いですぐに子育てが始まり、最初の十年は大変だった事しか覚えていない。十六歳で公爵家に嫁いで二十年、五人の子供達を育てブランシェット家の後継ぎも無事に決まる。これで育児に一區切りつき、これからは自分の時間を持てると思っていた矢先に事件が起こる――――。六人目の子供が出來たのだ……。セレスティーヌが育てた子供達は、夫の愛人が産んだ子供。これ以上の子育てなんて無理だと思い、セレスティーヌは離縁を決意する。離縁してから始まる、セレスティーヌの新しい人生。戀を知らない令嬢が、知らないうちに戀に落ち戸惑いながらも前に進んでいく····そんなお話。 ◆書籍化&コミカライズが決定しました。 ◆マッグガーデンノベルズ様にて書籍化 ◆イラストは、いちかわはる先生です。 ◆9人のキャラデザを、活動報告にて公開
8 130【書籍化】探索魔法は最強です~追放されたおっさん冒険者は探査と感知の魔法で成り上がる~
※BKブックス様より第1巻好評発売中! リーダーやメンバーから理不盡なパワハラを受け、冒険者パーティを追放されてしまったおっさん冒険者ロノム。 しかし、趣味に使える程度だと思っていた探査と感知の魔法は他を寄せ付けない圧倒的な便利さを誇っており、全てのダンジョン探索がイージーモードになるような能力だった。 おっさん冒険者ロノムはその能力もさることながら、人當たりの良さと器の大きさもあって新パーティのメンバーや後援者、更には冒険者ギルドや國の重鎮達にも好かれていき、周りの後押しも受けながらいつしか伝説の冒険者と呼ばれるようになっていく。 一方、知らないところでロノムの探査魔法にダンジョン攻略を依存していた前のパーティーはどんどん落ちぶれていくのであった。 追放によって運が開かれたおっさん冒険者のサクセスストーリー。
8 67【書籍化・コミカライズ決定!】過労死寸前だった私は隣國の王子様と偽裝結婚することになりました
書籍化・コミカライズが決定しました! 情報は追ってお知らせいたします。 宮廷付與術師として働くフィリス・リールカーン。彼女は國內で初めて宮廷付きになった付與術師として活躍していた。両親を失い、多額の借金を肩代わりしてくれた婚約者とその家に恩返しをするため、日夜パワハラに耐えながら仕事に打ち込む。 しかしそんな努力も空しく、ある日突然信じていた婚約者から婚約破棄を言い渡されてしまう。知らぬ間に浮気されていたことを知り、悲しみと怒りが溢れるフィリス。仕事で朝帰りをしている時に愚癡を漏らしていたら、見知らぬ男性に聞かれてしまった! しかもその相手は、隣國の王子様だった! 絶體絶命の窮地に陥ったフィリスに、隣國の王子は予想外の提案をする。 「フィリス、お前は俺の嫁になれ」 これは無自覚な天才付與術師が、新天地で幸せを摑む物語。
8 52負け組だった男のチートなスキル
都內某所にある天才たちを集めた學校、天運學高校。そんな學校に通う學生の名を高月光助と言った。 だが彼は毎日過酷ないじめにあっており、更には世間で思われているような天才でもなかった。 この先ずっとそのような日課が続くと思っていた光助の元にある転機が訪れる。彼の通う學校の全校生徒が突然異世界に転移されることとなったのだ。 新たな世界に一時は希望を抱く光助だったが、この世界でさえもステータスと呼ばれる能力の指數で彼らの足元にも及ばない。しまいには何も知らない異世界に一人で放り出されてしまうこととなったのだ。 だがそんな彼にはある秘密があった。 高月光助は神さえも驚かせるような力を秘めていたのだ。 改訂版書いてます。
8 91生産職を極めた勇者が帰還してイージーモードで楽しみます
あらゆる生産職を極めた勇者が日本に帰ってきて人生を謳歌するお話です。 チート使ってイージーモード! この小説はフィクションです。個人名団體名は実在する人物ではありません。
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