《俺+UFO=崩壊世界》俺の帰還

俺は必死だった。

ん? 何を必死かって? ふふっ……部品を落とさない様にだよ!!

今のラビィは俺+部品の重量を苦とも思ってない猛スピードで荒野を駆け抜けている。

俺は彼にお姫様だっこで抱えられながら、揺れく部品と彼満なバストを眺めながら必死に部品を抱きかかえて耐えているのだ。

いっその事この部品を投げ捨てて、鼻の下をばしながらヤウラに帰ってしまおうか悩んだが、それだとあんまりにも屑すぎる。

ちなみに恥ずかしい/// とかそんな乙な思いはラビィが駆け出した二秒後に風に攫われて消えていった。

今はタダ早くヤウラに著けと切実に願うばかりである。

「――沿矢様」

と、走り出してから今まで沈黙を保っていたラビィが息切れ一つもせずに俺の名前を呼んだ。

「んん? ど……っ! どしたのっ!? 疲れたっ……なら!! 休んでっ…………全然いいよぉ!?」

むしろ休んでください。

ラビィには悪いが、俺のが疲れてるかもしんない。

に大きくを震わせつつ、言葉を発するだけで重労働だよ。

さらに今の俺は腰と間に莫大な負擔を抱えてるからね。俺の耐久力が無かったら部品で圧死してたかもしれん。

「前方から此方に向かってくる車両があります。どう対処しましょう」

「ふ~ん、車両ねぇ。それは……うぇええええええええええええええ!?」

俺は慌てて顔を吹き付ける風から守る為に背けていた視線を進路上に戻し、暴風の中で瞼を細めつつその事実が正しい事を確認する。

慌てて俺は彼に自分を下ろす様に頼み込む、こんな所を他人に見られたら生きていけないわ。

「ラビィ!! 下ろしてくれ!! 頼むから!!」

俺はてっきり言えば直に答えてくれると思っていたのだが、ラビィは俺を見下ろしながら不満気に呟いた。

「……生存を諦めませんか?」

「諦めないよ!! 全全霊を持って心臓をかして生きていく所存ですよ私はぁ!! 俺の墓石とかいらねぇからあ!! 頼む!! お願い!! ラビィ様ぁ!!」

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まるでどっちがマスターか分からないが、まぁそれ程必死だったのだよ。

ラビィは口ではなく、行で俺の願いに従ってくれた事を教えてくれた。

ゆっくりと速度を落として足を止めると、安全のためか、それとも勿ぶるかの様に徐々に俺を地面に下ろした。

しふらつきながらも勢を立て直し、し先にある車両に目線を向けた所で俺は愕然とした。

軽トラっぽい車両で荷臺に大砲を乗せたそれは、見覚えがありまくりんぐだったからである。

――弓さん達じゃね? あれ。

え? 噓? 違うよね? たまたま似たような車両で、別のハンターだよね? 僕はただ助かっただけで、神様はそこまで僕を嫌ってないよね?

俺の心はパニックと安堵がり混じって凄まじい事になっていた。

「沿矢様。心拍數と脳波がれておりますが」

れもするわ!! ど、どうすればいいんだよぉ。この狀況……」

お姫様抱っこはいいとして、ラビィの事を聞かれたらどうすればいいのだ?

廃病院でボスLG式を倒して、おまけで幸運にもの施設を見つけてGETしました♪ なんて言えるか? 初級だぞ俺は? 頭が可笑しくなったと思われるわ!!

ボスLG式は武鮫を纏ってたし、戦う所も見られてなかったから『ラッキーパンチで倒せちゃいましたぁ♪』で誤魔化そうと思ったのだが。そもそもラビィの様な巧な機械と言うかヒューマノイド? を組合がしがる可能は大だ!! 下手すりゃバラバラにされるやもしれん。

そう考えると徒歩で帰るのは正解だった訳だが、まさか弓さん達に見つかってしまうとは……お願いすれば見逃してくれるかな?

俺がオロオロと部品を抱えて悩んでいるに、ゆっくりと軽トラは近寄ってくる。

まさか逃げる訳にもいかないし、流石にラビィの腳力でも逃げれるとは思えない。

車両の中に居たのはやはり弓さんと弦さん達であった。

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二人とも口を大きく開けて此方を見ている様子が伺える。まぁ、そうですよね。正しい反応ですわ。

輝けぇ俺の灰の脳よ!! この狀況を打開する策を思いつくのだ!!

とりあえずこのまま立ち止まってても不信を抱かれそうなので、どうするかを考えつつ近づこうと思う。

俺はラビィに聲を掛けてそそくさと小走りで軽トラに近寄っていく。

「ゆ、弓さ~ん!! 弦さ~~ん!! お仕事中ですかぁ!?」

車両から出てきた二人に遠くから聲を掛けるが、返事が返ってこない。

そのまま二人の前に息を切らした狀態で辿り著くが、二人の目線はラビィと俺を互に行き來しており一言も発しない。

俺は焦りを抱えながらも、とりあえずラビィを二人に紹介する。

「あ、あの。この人はラビィ・フルトと言って……まぁ、俺が名付けたんですが。そ、それでヒューマノイドみたいなんですよ。な? ラビィ」

「はい。私は多目的任務遂行用ヒューマノイド。通稱MMHシリーズ開発の為に調整されたプロトタイプで型番は01です。ラビィ・フルトと申します」

すらすらと舌を噛みそうな言葉を流暢に吐き出してラビィは自己紹介した。

弓さん達はそれをけて、ようやく言葉を発してくれた。

「ぉ、おう」

「ど、どうも……」

茫然自失と言ったじで戸う二人を前にして、俺はとりあえず此処で何をしているのかを聞いてみる。

「あ、あの此処で何を?? 狩りですか?」

俺がそう言うと弓さんの唖然としていた表が引き締まり、突然俺に顔を近づけんばかりのスピードで駆け寄ってきた。

「何を? じゃないよ沿矢君!! 昨日の夜クースから送迎トラックが帰ってきて何があったか聞いたの!! 大丈夫!? 怪我は無い?! 泣かなかった!?」

「テントが無かった時は泣きそうでしたが……。ま、まぁ平気です……!! そ、そう!! 聞いてください、ラビィが俺を助けてくれたんですよぉ!!」

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「――沿矢様?」

俺の脳裏に過ぎったのは廃病院があまり探索されてなかったと言う事実を出にして、ラビィを見つけてボスLG式を倒してもらったと言うシナリオだ。里津さんから借金返済の為に借りけた一部裝著型HAをに纏っていた俺は、気が高ぶって生存者救出に向かってしまいボスLG式と相対したが歯が立たず。何とか逃げ込んだ一室にラビィが眠っており、彼を起こして助けて貰ったと言うシナリオである。

最初は何言ってんだコイツ? 的な目で見ていたが、俺が抱えていた部品とあまりにも巧すぎるラビィを見て徐々に二人は納得し始めた。

まぁ元々俺に何かできるとも思ってなかったからだろうな。そう考えるとしアレだが、誤魔化しやすいのは助かるぜ!!

「ふむ、そうか。確かにあそこは都市部の探索場所と同Lvの広さと厄介さを兼ね備えているとは調べてみて分かってたが……。ヒューマノイドっていうが眠ってるとはな」

意外にも、最初に信じ始めたのは弦さんであった。

弦さんは鋭い視線で顎をりながらジロジロと舐め回す様にしてラビィを真剣に凝視している。

傍から見たら何か嫌な景である。ストリップクラブにいる爺さんみたい。いや、行った事ないけどさ。

ラビィは最初は俺に視線を向けて何かを問いたいじだったが、俺が目線で合図を送ると何か納得したじできを止めてジッとしている。

弓さんも話を聞いてると理解はしたようだが、納得してないと言ったじで瞼を細めながら問いかけてくる。

「でもさぁ、借金返済の為とは言え流石の里津さんでも一部裝著型HAなんて貸すのかなぁ?? あー……でも二人は今一緒に暮らしてて仲が良さそうだもんねぇ。だからかなぁ?」

何が『なぁ?』かは知らんが凄い不満気に弓さんは問うてくる。

俺としては『なぁなぁ』で済ませてくれたらありがたいのだが、まさか弓さんに不信を抱かれるとは予想外であった。

俺は慌てて里津さんの不名譽を払拭しようと口を開く。

「いやいやいや、あの人実は子供が好きなんですよぉ! ほら、教會の子達とかもほっとけないみたいな母溢れる人なんです!! だからベニーを助けた俺を『まぁ信じてやるかぁ』みたいなじで手助けしてくれてるんですよ!! 決して仲がいいとか、そんなアレではないですから!!」

あながち噓でもないだろう。

たまに部品を売りに店へ來た子供たちの相手してやってたしな。

まぁ騒いでた子供を軽く小突いたり、蹴飛ばしたりしてたのはコミュニケーションの一環だし。間違ってないよね、うん。

俺の説明を聞いて、弓さんは渋々と言ったじで地面を足でグリグリしながら納得してくれた。

「ふーん、沿矢君は里津さんの事詳しいね……。まぁ里津さんが良い人ってのは私も知ってるし、信じるね」

助かった。帰ったら里津さんと話を合わせる必要があるな。

しかし、まだ重要な案件が殘ってるのだ。

俺はゆっくりと部品を脇に置いて、そのまま地面に華麗な土下座を決めてみせる。

「そ、沿矢君!?」

「何してんだ、オメェ?」

二人の戸う聲が聞こえてくる。

それは當然だろう、俺とてイキナリ土下座されたら頭に足を乗っけるか悩むもん。

まぁこの二人はそういう俺とは違う戸いだろうが、俺は二人にお願いすべく言葉を吐いた。

資を見つけたら検査と査定をけるって言う組合の決まりは分かってます!! けど、そうしたらラビィが確実に連れて行かれると思うんです!! 俺は彼に恩があって……見逃してやりたいんです!! 俺を助けに來てくれた二人に、こんな事を頼むのは図々しい事だとは思うんですが……。ラビィの事は黙っててくれませんか!?」

「――沿矢様」

「木津よ……オメェ」

弦さんの聲が戸いを含んでいるのは明らかに分かった。

新米である俺がさっそくルールを破ろうとしているのだ、無理も無い事だろう。

だが一日ラビィと共に過ごしただけで俺は、既に彼を抱いてしまっている。

このまま俺が地面に頭を埋める伝説的な土下座を披するべきかの検討をしていると、弓さんの底抜けに明るい聲が聞こえて來た。

「大丈夫だよ!! 組合は沿矢君の生死をちゃんと確認しないで帰ってきたんだよ? テントも無かったんだよね?? それは組合のミスだよ!! 普通は怪我人を運ぶ時は殘ったスカベンジャーの為に、テントと食料や水を置いて撤退するのが決まりなの!! だからそういうミスを指摘すれば、査定も検査もけなくて済むかもしれないよ!! 命に関わる事だもん!!」

俺がその聲を聞いて弾かれるように顔を見上げると、弓さんが両手を握って力説してくれている。

「そ、そうなんですか?? ってか……俺って何で死んだと思われたんですかね?」

そうだよ、そもそも助けた彼達から見たらHAを纏った王子様じゃなかったのか俺??

そうじゃなければ敵を食い止める為に死んだガンダ○フに見えてたの?? 俺もあれは確かに死んだと思ってたけどさぁ、普通に生きてたじゃん。

弦さんは俺の疑問を聞いて、腕を組みながら指を一本立ててクールに解説してくれる。

「木津よ、オメェさんが相対したLG-103式ってのはな。百の型番を背負う百式シリーズの一で、他の同型機よりかなり厄介な相手なんだ。いくらHAを裝備してたとはいえ、新米のお前が死んだと思われるのは當然っていやぁ當然の事かもしれん。奴等のミスと言えばそうだが……責めるのはちと酷かもな」

「そ、そうなんですか。百式……」

道理で強い訳だよ。

見た目は似てても、モン○ンで言うなら下位と上位の差ぐらいあったわ。

奴の弾が切れて無かったら確実に死んでたな。死んだ人達に助けられた訳だ……仇は討ったから報われるといいが。

弦さんは更にそのまま指をもう一つ立てると、予想外の事を口にした。

「それに、だ。このヒューマノイドは巧すぎる。俺達が送って帰るなら、別に態々馬鹿正直に見つけたと報告しなかったらバレはしねぇぞ。大既に掲示板に顔寫真られてお前は死んだ事になってるしな……。それと百式の素材もお前さんが里津に渡してやれ、きっと喜ぶぞアイツは」

「ぅえ!? ぁ、ああ。確かにそうかもしれないですけど……。い、いいんですか??」

俺はてっきり組合のルールを破るなんてとんでも無いと諭されるかと思ってたのだが、弦さんはサラッと素晴らしい提案をしてくれるではないか。

弦さんはニヒルに笑うと、俺の肩を叩いて豪快に笑って見せた。

「ははは! いいともさ! お前さんは無謀な事をしたが、そのおで二人が助かったんだ。ソイツと部品はお前が手にする資格がある。そうだろ?《スカベンジャー》よ」

そう言って俺を見つめる弦さんの目を見て、俺はようやくこの人に認めてもらえたのだと思った。

俺は其処でようやく安堵の笑顔を浮かべて言葉を返す。

「あ、ありがとうございます。ははは……二人には助けられてばかりですね」

「なーに、お前さんも世話を焼くのは好きそうだし。その俺達にも焼いてくれればそれで構わんさ」

バンバンと俺の背中を叩くと弦さんは軽トラに向かっていく。

安堵と嬉しさが合わさり、ようやく俺は自分が助かったとの実が湧いてきた。

土下座を解いて地面にだらしなく座り、俺が安堵の溜め息を吐いていると弓さんが手を指しばしてきてくれた。

「お疲れ様、沿矢君。さぁ、一緒に帰ろう?」

――そう言って微笑む弓さんを見て、ようやく俺は最初の探索が終わりを告げたのだと分かった。

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

「…………暇ねぇ」

里津 理乃はカウンターに頬杖をつきながら呟いた。

が経営するよろず屋『不屈』が繁盛する時は日程を無事に過ごし終え、町に帰ってきたスカベンジャー達が部品や裝備を売買する時であるから、彼等が昨日出発したばかりなら當然の事と言えば當然である。

とはいえそうでない時もゴミ山からの資源を売りに來る人達や、休みをとる為に探索を見送ったスカベンジャー等が來店する時もあるので店を閉める事はしない。

そもそも店を閉めた所でやりたい事も無い里津は、いわば店の経営が趣味を兼ねていると言っても過言ではない。

機械弄りは確かに好きだが、ここに運ばれてくるは段々と代わり映えのしないが増えて彼の心に火を燈さない。

「アイツが何か面白いでも持って帰ってきたらいいのに……そりゃないか」

里津は言って自嘲気味に笑った。

アイツ――沿矢が向かったのはクースと言う初心者向けの場所だ。

無茶をしない様に念も押したし、堅実に資を持って帰ってきてくれればそれでいい。

借金は確かに速く返してしいが、だからと言って死んでしまえば確実に返済は滯るのは目に見えてる。

そもそも醫療ナノマシンは確かに効果は抜群だが、余りにも高いし作不良も起こす可能が高い事もあり店の隅で埃を被っていただ。

堅実なスカベンジャーやハンターならそんな博打じみたに頼らず、他の醫療資を十萬で買い集めた方がお得と見ている。

余裕のある上級ならナノマシンを備蓄する輩もいるかもしれないが、そもそも上級はこんな寂れた町の一角には來ない。

彼等は組合所の中にあるショップか、メイン居住區の店に足を運ぶ者ばかりなのだ。

里津としても友人達を救ってくれた沿矢になからず謝の念を抱いている。

もし彼が必死にボタを五萬程集めてくれれば、それで返済を終了しても良いとさえ思っているのだ。

そもそも自分は一人暮らしだし、金には困ってない。

沿矢に組合所を紹介したのは借金が理由ではなく、彼が右も左も分からない様子が見ていられなかった事の方が大きい。

あの馬鹿力があれば、そこそこ稼げて良いスカベンジャーになるであろう事は明白だ。

自分も出來るだけのサポートはしてやったし、結構良い線をいくのではないかと里津は期待してる。

「OG式は苦にならないとして……デパートの奧から何か見つけて來たら大金星って所かしら。いや、でもアイツは臆病な所もあるのよねぇ……」

暇の余り里津はとうとう柄にもなく、沿矢の果に期待してそんな想像を始めてしまう。

そのまま暫く唸っていると、店の前で車が止まった音が聞こえてきて里津は慌てて頬杖を解いた。

車持ちで此処に通ってくれる者は上客であるのだ。だらしない所は見せたくはない。

罅割れた眼鏡をちゃんとした位置に直し、姿勢も正して構える。

しかし、店にってきたのはそう気構え無くてもいい、気の知れた客――というよりは友人と呼んでもいい程に仲が良い二人であった。

里津は一つ息を吐くと、笑顔を浮かべて挨拶を口にする。

「いらっしゃい!! 弦、弓。こんな晝前に珍しいね? 今日は狩りには行かなかったの?」

「おう、里津よ。邪魔するぜ」

「おはようございます。里津さん!」

弓と弦は里津に挨拶を返すと、り口の近くで足を止めて奧にはってこない。

店のり口周辺は持ち逃げされにくい大型の商品を置いており、弾や小さい部品はカウンターの近くに置いてある。

何時もなら二人は弾の補充か、銃の整備や狩って來た無人兵を売りにカウンターの近くへ直にやってくるはずなのだが……。

里津が何時もとは違う二人の態度に疑問を抱き始めて眉を寄せていると、當の二人はり口に向かって顔を向けている。

「どうした? ってこねぇか」

「そうだよ!! どうしたの?」

『い、いやぁ。心の準備と言うか……どう言ったら良いのかなぁ、って……』

「……沿矢?」

店の外から沿矢の聲が聞こえて來たところで、里津は大きく目を見開いた。

――クースからの帰還予定は明日ではなかったのか? どうして戻って來たのだ? 怪我でもしたのだろうか? いや、その可能が高い。

里津は素早く思考を回転させると、そう結論付けた。

――まぁ最初は誰しも上手くはいかないものだ。沿矢は途中で帰ってきてしまい、自分が怒ると思っているのだろう。

里津は一つ大きく息を吐くと、聲を張り上げた。

「いいからってきなさい!! 別に怒りはしないわよ!! 全く……」

アイツは一自分の事をどう見ているのだろうか?

里津は寧ろ彼の不手際よりも、沿矢が自を恐れている様子で気がってしまった。

思わず立ち上がって腕を組んで里津が構えていると、沿矢が恐る恐る何かを抱えて頭を下げながら店に足を踏みれてきた。

里津が不満を口にしようとした所で、沿矢が抱えているが自分には見覚えの無い代だと気付いた。

思わず眼鏡の淵を指で摑んで凝視してしまう。

しかし、それでもよく見えない事が分かり、里津はカウンターから抜け出して早足で沿矢に近づいていく。

「ぇえ!? ちょ、何よこれ?? こんなの……見た事ない。一見LG-61式か65式に似てるけど……全然違うわ。ど、どうしたのよこれ??」

里津は思わず沿矢の肩を摑む様にして問い詰めると、沿矢は乾いた笑みを浮かべながら拙く言葉を紡ぐ。

「いやぁ、弦さんが言うにはこれは百式っていう輩の部品らしくて……。ああ、そうそうLG系列だってよく分かりましたね!! コイツはLG-102? いや、3か……らしいんですよ!! 流石は里津さん!! 素晴らしい知識ですね!! はははははははは……」

まるでゴマをするような下手なヨイショを披する沿矢。

しかし、里津は沿矢のそんな態度を気にせずに思わず大聲を出してしまう。

「ひゃ、百式ぃ!?!? な、なんでそんなのが此処に!? 普通は組合が持っていくはずでしょ!? い、いや、そもそもどうしたのよこれ!? ど、どうやって!?」

――手にれたのだ? その言葉は驚愕の余り途切れてしまう。

「さ、里津よ。しは落ち著かないか。が持たんぜ?」

「落ち著くぅ!? だ、だって百式よ!? こんな、噂でくらいしか聞いた事なかったんだから仕方ないじゃない!!」

「お、おぅ。そうかぃ」

「げ、弦爺。大丈夫?」

息は荒く、目は走っている、そんな様子を見て思わず止めにった弦に里津は怒鳴りつける様にして喜びを表した。

しかし、それは歴戦の猛者である弦を後ろへ僅かに下がらせる効果を見せた。

普段では見られない異常事態に思わず弓が彼を橫から支える。

沿矢は里津の混ぶりに汗を流して目を泳がせながら、外に向けて聲を掛ける。

「ら、ラビィ? じゃあ、ってきて里津さんに自己紹介してくれない?」

『了解しました。沿矢様』

「――ラビィ?」

里津は不意にきを止めると、店にってきたに目を向ける。

真紅の眼を輝かせ、白銀の長い髪を揺らし、満なボディを黒のボディスーツにを包んだ彼は姿勢を正してハキハキと言葉を発した。

「私は多目的任務遂行用ヒューマノイド。通稱MMHシリーズ開発の為に調整されたプロトタイプで型番は01です。ラビィ・フルトと申します」

「うん……ってな訳なんですよ!! 里津さん!!」

沿矢は満足そうに頷くと、最高の笑顔で里津に向き直ってそう言った。

里津は暫く目を彼方此方に彷徨わせながら、眉を寄せてしばらく考え込んだ。

顎をり、眼鏡の淵を弄り、頭を抱えてようやく彼は結論を下した。

「――全っ然わからないわよ!!!!」

――里津の心からのびが、店全を揺るがした。

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