《星の見守り人》001 宇宙探査

そこは酷寒の世界だった。

私はその雪に埋もれたテントの中で白い息を吐きながら考えていた。

(もう今日でここにいるのは3日目になるか・・・)

そして私はテントの中で々震えながら日記を書いていた。

遭難三日目、そろそろ食料も心細くなってきた。

その時、ゴウン・・・と音がして數メートル先の壁が割れるのが見えた。

そしてその開いた部分から一人の人がこちらへ向かって來た。

にピッタリと著している水と白のスーツを著た長い金髪のだ。

この寒さの中でもその薄著でともせず、このテントに近寄ってくる。

その人は私のいるテントに近づいて口の幕を上げると、中にいる私に話しかけてくる。

「いかがですか?船長代理?そろそろお時間ですよ?」

「なんだ、もうそんな時間かい?」

「ええ、そろそろ休暇は切り上げて仕事に戻ってください」

「やれやれ」

私は腰を上げてテントから這い出ると思い切りびをする。

「あ~あ、せっかく雰囲気が出てきたのになあ」

「まあ、3日目ですからね」

「今度は1週間くらい休みを取ってやる事にしよう」

「次は私も一緒しますね」

「そうだな、やっぱり一人だとあまり面白くないかな?」

「それで?この部屋はどうしますか?」

金髪にそう質問されて私は考え込む。

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私はそれまでしていた遊び・・・「雪山で遭難ごっこ」をしていた部屋を見る。

ここは本船の実験室で、本來は様々な星の環境を再現して実験をする部屋の一つだが、今や完全に私の趣味の部屋と化していた。

「まあ、いいか・・・

これはもう片付けてしまってもいいよ?」

「では、後ほど片付けておきますね?」

「うん、よろしく。

あ、このテントは私の別室へそのまま持って行っておいて」

「承知しました」

「では行くか?」

そう言うと私はその実験室を出て、自室へと向かった。

自室へ戻り、艦服に著替えた私は船の艦橋へと向かう。

艦橋へ著いた私は船長席に座り、この三日間の報告を読む。

「今回も特に変わった事はなし・・・か」

類とモニターに映った報告を見て私は誰とも無しにぼやいた

「ま、それはそれでいいんだけどね」

そのままドッカリと艦長席の背もたれにもたれかかる。

その時に橫からの聲がする。

「お茶を淹れましたよ」

「ああ、ありがとう、ミオ」

船長席でミオの淹れてくれた茶をすすった

ミオと呼ばれたは腰までびる見事な金髪で、スタイルは完璧と言うほどに整っていた。

人間ならばモデル並みだ。

そう、人間ならば・・・この金髪のミオは人間ではない。

は亜人、すなわちアンドロイドだった。

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26世紀初頭、念願のワープ航法が発明されて、人類は太系外へと飛び出していった。

意気揚々と出かけて行った人類はしかし、失した。

巖・巖・氷・巖・・・

宇宙は人類の夢や希を葉えるほど潤ってはいなかった

確かに鉱資源は富に存在し、時には希金屬等の鉱脈が発見されて採掘基地が作られる事もあった。

その點では宇宙は人類の願を葉えてくれた。

しかし人類のような知的生命はもちろんの事、微生や蟲のような生以外には生命と思われるようなが発見されるには至らなかった。

あのヒーラー恒星系、第2星ヒラマが発見されるまでは…

時に西暦2751年、ヒーラー系第2星ヒラマが発見された時、地球は沸きに沸いた。

の地球外生命が見つかったのだ。

正確に言えば、それ以前にも微生や非酸素呼吸型の昆蟲程度の生命は見つかっていたが、それは宇宙の仲間というにはあまりにも人類とはかけ離れていた。

しかしヒラマでは酸素があり、顕微鏡などを見なくとも、その目で見、手でれる生がいたのだった。

人類は決して孤獨ではなかった!

それまで発見された生命は生學者ならともかく、さほど一般人の興味を引くようなではなかった。

しかもヒラマの生らしかった。

そのはほとんどがぬいぐるみのような見かけで実際、兇暴もなく、特に危険な部分、行もない。

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人類にけいれられるべくしてれられたのである。

そしてその発見によって、いささか水をかけられていた宇宙探査に再び激しい炎が燃え盛った。

我こそは第2のヒラマを見つけんと、こぞって宇宙に散らばっていったのである。

そして50年ほど前から大銀河探査時代が始まった。

それまでもあちこちへと宇宙探検と稱して探検隊や調査隊を派遣する事はあったがそれらは全て単発的であり、散漫で特に組織だったではなかった。

しかし地球から進出した人類が銀河連邦を名乗り、その行範囲が広がるにつれて、組織的な銀河系の地図作りの必要を痛した連邦は正式に宇宙探査局を発足し、散漫とした探検ではなく、組織的に地球を中心とした全方向へ大規模な探査団を派遣し始めた。

単なる遠距離からの天文観測だけでなく、実際に探査船を派遣して地球近郊から詳細な宇宙地図を作製し、將來の人類宇宙社會に備えるべく組織的で大規模な銀河系の探査が始まったのだ。

銀河連邦はまずは全ての銀河系の恒星地図を作するべく拠點となる一片10kmからなる立方形の巨大要塞基地を1000年毎に配置しはじめた。

そこから大型の探査母艦を中心として銀河系の各方面へ探査隊をだし、各恒星系の探査をしているのだった。

しかし宇宙は広い。

いかに超速航法を駆使しているとは言え、探査母艦に戻るのも數ヶ月に1回、ましてや方面司令部や故郷の星に帰るのは、早くとも2年に1回という有様だ。

つまり一度探査船団に加わったが最後、2年間は故郷の地面を踏む事は葉わないのだ。

場合によっては5年以上に及ぶ場合もある。

さすがに人類の壽命が100歳以上まで延びているとはいえ、これは文明から切り離されて暮らすにはかなり長い年月だ。

そのために銀河連邦の探査局が人員を募集しても、応じる人間はそれなりにいるのだが、む人材が十分な人數が集まるとは言えなかった。

そして宇宙の深遠に人間を送る以上、もちろん人間ならば誰でも良いという訳にもいかず、応募してきた人間を全て採用する訳にもいかない。

その結果、他の分野以上に極端な自化が進められていた。

探査の基點となり、都市機能を持っている方面司令部基地はともかくとして、そこから発進する探査母艦でも人間の乗員はせいぜい數百人、さらに実際に各恒星系の探査をする探査船となると、多くとも人間の乗員は10人、大抵は1人で探査をする事になっている。

そう、この探査船に乗っている人間は船長代理兼、探査隊長の私「如月 星(きさらぎせい」唯一人なのである。

本來ならばこの宇宙探査船「コランダム777」にも、船長を始めとして10人程度の乗員は乗り込んでいる筈なのである。

事実、遠距離天文探査でハビタブルゾーンに星があると判明している場合は船長以下、星學者、地質學者、學者、植學者等々10人近くの構になる場合が多い。

ハビタブルゾーンとは簡単に言えば、恒星からの距離によって、H2Oすなわち「水」がでありうる狀態、つまりもっと大雑把に言えば地球で言う所の海や湖が形される可能がある宇宙區域をいう。

もちろん恒星の大きさ、熱量その他の條件によってその距離や幅は大きく変わってくるので、決して太から地球までの距離と同じではない。

なぜ水がある天が重要かというと、水があればそこには各種の生がいる可能、そして逆に生がいなかったとすれば、星改造をすれば人類が比較的容易に移住可能である場合が多いからだ。

とにかくその場所、ハビタブルゾーンに遠距離探査や無人探査で、ある程度以上の天があると判明している場合は星學者や生學者などを送り込むことになっている。

しかしこの宇宙開拓で人手不足の時代、遠距離からの天文探査でハビタブルゾーンに星があるかどうかわからない恒星系に余計な人員を裂いている余裕はないのである

遠距離からの天文探査でハビタブルゾーンに地球型の天が無いと判明している場合、もしくは不明の場合は移民等の可能が低いために、通り一遍の探査で十分ではある。

しかし無人探査には限界があり、最低でもある程度狀況がわかり、判斷が出きる人間1人は探査に派遣しなければならない。

結果、この船の私のような人間の促教育、2年間銀河連邦の士學校で授業をけて卒業させる。

そして5等士として2年を探査船の幹部として恒星系の宇宙探査で経験を積み、3年目からは4等士となり、一人で探査隊長、兼船長代理として生命のいないと思われる恒星系に送り込まれる事となる。

そして一回の探査航海が終われば、よほどの事がない限り、即座に3等士に昇進となる。

なぜ船長代理かというと、本來この恒星間探査船の船長は3等宇宙佐すなわち三佐以上でなければならないのだ。

だが、人手不足の上、そんな上級士を何人も辺境の探査に向かわせる訳にもいかず、1等士から4等士を「船長代理」として一人で探査に向かわせる事になった。

ちなみに1等士というのは昔の軍隊で言うところの佐か大尉辺りだ。

宇宙は広く、その範囲を各區域段階ごとに治めるために、銀河連邦の士は実に多段階となった。

現在、銀河連邦の階級は士だけでも、一番上の天帥と言われる階級から1番下の5等士まで16階級もある。

下士や兵卒まで含めれば20階級以上だ。

1等士は士としては上から12番目で、下からは5番目だ。

そして探査隊隊長及び、その代理は三佐から4等士までの5階級の士が勤める事となる。

もちろん階級によって多の探査範囲や権限の差はあるが、普通に考えれば4階級にも渡って同じ職種・役職というのは有り得ない。

だが、この仕事だけは特例として存在しているのである。

そのような訳で、この全長200m、幅・高さ共に50mからなる、ほぼ直方に近い形狀の宇宙船の中には基本的に人間が船長代理たる私1人しかいない。

他の乗組員は全て、アンドロイドとロボットなのだ!

いよいよ以前から書き溜めていた宇宙の連載をはじめました!

この連載を始めるに當たって、一番古い記録を見てみたら、西暦2010年の4月だったので笑ってしまいました。

まさか10年以上もお蔵りしているとは自分でも思いませんでした。

そんな古ぼけた話ですが、付き合って読んでいただければ幸いです。

さしあたり、第1章までの部分は毎日更新予定なので、よろしくお願いいたします。

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