《星の見守り人》003 亜人という存在
周知の事実ではあるが、アンドロイドはエーアインの一種で、特に見た目が人間と同様で個別の格やを持っている者を意味し別名「亜人(あじん)」ともいう。
そしてこの探検隊に志願した者には副としてB級亜人が貸與される。
そのまま二十年間探査を続けた場合、そのB級亜人は探査に永久貸與となる。
この時代、B級亜人を利用している事は一種のステータスともなっているので、この永久貸與権をしいが為に、この宇宙探査を志願する者もなくはない。
現在いわゆる「エーアイン」すなわち「人工知能搭載型機械」は大きく分けて、亜人とロボットの2種類に分かれている。
ロボットはいわゆる「く自人形」である。
世間一般でイメージされる人間型の金屬か、プラスティック製の、特に格やの起伏も持たず淡々と仕事をする単なる「機械」である。
そしてアンドロイドはロボットと違い、人間と変わらぬ見掛けで、単なる知能以外にもや格があり、例え人工の人間であってもロボットとは別であり、法律上でもそれは區別されている。
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ロボットとアンドロイド、この2種類を総稱してエーアインとしている訳だ。
亜人は大きく分けてA級からC級の3つに分類される。
A級からC級まで、全ての亜人の見た目はまったく人間と変わらない。
この船にも元々副長としてB2級亜人が1、その他にも運航・探査のために乗組員としてC級亜人が200前後、ロボットが數百乗っている。
C級亜人は最下級の亜人ではあるが、人間が日常生活でするような事はほぼ実行可能である。
見た目は人間そのままで、格の方向付けやも持ち、ほとんど人間と変わらず、法的にもC級も含め、亜人には「準人権」と言われる人間に近い権利もある。
世間一般で普及している亜人の実に99%以上がこのC級だ。
C級はC1からC5級までに分かれ、それぞれに権限と能力が與えられて仕事をしている。
B級はそれに加えて広範的な判斷、いわゆる大局指揮の判斷が可能なほか、反応速度、パワー、ナノロボットによる自己修復などC級と大きく能に差がある。
B級は人間の指示が仰げない完全に通信が途絶した環境や大規模な管制を必要とする場所の組織の長や副司令、副などに配置される。
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したがってこの宇宙探査船のように辺境に行く船の副長や副は大抵B級だ。
萬一、人間が倒れた場合、周囲に指示を仰げなくなってしまうので、C級では能力不足による判斷不能になるためだった。
しかし訳あって、私の副であるミオはA級だ。
正確に言えば、現在は特B級であるB3級だが、私がある條件を満たせばA級になる予定だ。
A級亜人はパワーや反応速度もC級の數千から數萬倍、判斷力もB級よりも遙かに大局的に的確な判斷が可能だ。
そもそもA級亜人は通常は人間の副にはならない。
たいていは大規模基地の司令や副司令、行政の長や副長となる事が多く、こんな辺境の宇宙船に任務として乗り込む事はまずありえない。
しかしながらどちらにしてもA級でもC級でも亜人ならば、まず普通の人間では人間との區別はつかない。
顔の表はもちろんの事、の質、弾力、しぐさ、聲など全ての點において人間と區別するのは難しい。
強いて言うなら悪意ある行や獨善的行を取る者はいないという部分かもしれないが、これとて訓練されて常識を持った人間ならば、そういった行は取らないので、事実上見た目の區別はつかないと言っても差し支えはない。
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唯一、彼たちを人間と即座に區別可能な部分は首である。
首の部分には認識章がついている。
C級亜人は赤もしくは白、B級は緑、そしてA級は青のメタリックカラーのをしている。
この部分がなければ、ロボット工學者でもない限り、人間との區別はまずつかないだろう。
そしてこの部分を隠したり、を変えたりする行為は厳しくじられている。
そのような亜人がいた場合は問答無用で即、確保して亜人調整局送りだ。
船長代理である私が勤務している第1艦橋は自分の他に副であるミオ、副長のナタリー以外にも、船務長、航宙飛行長、機関長、戦闘隊長、通信長が勤めている。
そして會話はA級やB級はもちろんの事、C級亜人でも普通の人間と會話しているのと全く違和はない。
そういう意味では艦橋には人間が8人いるのとほぼ同じ狀態なので、話し相手に困るという事はない。
人間の乗員が1人でも、宇宙の果てで恒星間探査が可能なのは、実にこの亜人達のおかげだった。
しかもこの艦橋要員7人は全員型亜人で、なおかつこの船の亜人というのが、ほとんど型亜人なので、ちょっとしたハーレム気分である。
斷っておくが、私の副であるミオと、數人の亜人はともかく、他の乗員は別に私がわざわざそうした訳ではない。
もちろん探査隊長として探査隊の人員(亜人)を選抜する事は可能だ。
しかし私は探査隊を編するのは始めてだったし、特に宇宙探査関係の知り合いの亜人もそれほどいなかったので、艦橋要員や上級要員、そして數人の例外を除き、「星探査以外の事も含めて多方面で経験の富な」という條件だけつけて、乗員選抜はコンピュータと副であるミオに任せていた。
これは私の持論で人間に限らず、亜人も様々な経験をしている方が往々にして役に立つと思っているからだ。
そういった理由で、この船の副長と船務長はこの探査船に所屬するべく作られ、配屬された亜人だが、他の亜人はそのほとんどがこの船の乗員として各所から集められた亜人だった。
しかし、人間の宇宙船乗り、特にこういった辺境の探査船は圧倒的に男の比率が多い。
その乗組員達の希により、男比率?を上げるために亜人の乗員は逆に型である事がほとんどなのである。
大の比率として1:20ほどだ。
もっとも世間一般でも亜人の男比率は2:8近くであるので、これはさほど驚くにはあたらない。
そうした結果、この船のように人間の乗員が一人だった場合、亜人によるハーレムというのはしばしば起こる現象なので、それほど珍しい事ではない。
もちろん、そうは言っても私もこの狀態が嫌な訳ではない。
私だって能が変わらないのなら、そばにいてくれるアンドロイドは、いかにも機械然としたロボットや、ゴツイおっさん型亜人より型亜人の方が良いと考えていた。
まあ、確かにあまりにがたくさんいすぎると羽目を外したくもなってくる気持ちもわかる。
もっともこの恒星間探査船というは、銀河連邦の宇宙船としてもかなり長期に渡り、単獨で行する事が多いために、慣習として船員の船での奇行や言をかなり大目にみられているらしい。
特にこのコランダム777のような獨員探査船は、船長もしくは船長代理しか人間がいないために、その行は大幅に逸しても、探査船部での行為であれば、よほどの事がない限り、許されているようだ。
その結果、銀河連邦宇宙局でも遠方の恒星間探査船というのは、乗組員の方向や船の雰囲気が、その船長の趣味や個が丸々出る船として有名だ。
事実、私と一緒に天文探査學校を卒業した同期の仲間の中に一人「乗員は全て可能な限り、新品の型亜人で!中古は斷固として斷る!」と希した豪の者がいて、流石に他の仲間や教からも呆れられていた。
他にも乗組員全員型亜人希の者、全員見た目が14歳未満の型亜人を希した者などもいて、擔當教から「お前らの學年は特に変な奴らが多い」と驚かれていた。
また、逆に同じく同期の學生に、軍隊マニアで、「軍艦の乗員はすべからく屈強な男子で構されるべきである」という偏った考えの奴もいて、自分の船の乗員を全て男型亜人にした者もいる。
この生徒ともう一人が大量の男型亜人を希した結果、元々ない宇宙探査向けの男型亜人がなくなり、私の世代は他の探査船より型比率が高くなったと言われている。
もっとも誰も文句は言わなかったが・・・。
そういった例外の猛者はさておき、普通の探査船は概ね九割以上が型亜人だ。
そして彼たちのおかげで宇宙の深遠までたった一人で探査に來てもさほど人間関係は気にはならないのである。
いや、むしろ他の人間がいるよりも楽かも知れない。
何しろ彼達は基本的に従順で、単純なミスを犯す事はないのだから・・・
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