《星の見守り人》005 宇宙海賊出現!
それは次の恒星系で探査を始めてすぐの事だった。
その報告は不意に船務長から報告された。
「船長代理 この宙域には正不明の船がいます」
「え?こんな所にかい?」
ここは文明圏から數百年も離れている宙域だ。
自分たち以外に宇宙船がいるとは驚きだ!
「はい、探査狀況から言って、人類の宇宙船に間違いはありません」
さすがに未知の宇宙人や、未知の人工ではないようだ。
もっともそんながあれば大発見だ。
「形狀や大きさは?」
「全長250mほどの葉巻型ですね」
「葉巻型ね」
21世紀以降、煙草や葉巻というはほぼ絶滅した。
しかしほとんど絶滅したにも関わらず、なぜか宇宙船の形狀を表現する言葉として、いまだに葉巻型という言葉が殘っているのは不思議だと、ふと思った。
「ふ・・・ん?どうしたものかな?
副長?何か意見はあるかな?」
「普段でしたら特に問題はないのですが、場所が問題です。
文明圏からこれほど離れた區域で何をしているのかも不明ですし、當船は辺境パトロールも兼ねているので、一応問い合わせをした方が良いと思います」
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「確かにね、場所が場所だ。
船務長、その船につないでみてくれ」
「了解」
ルーリィが通信機を作する
「相手が応じました、映像出ます」
そこにはいかにもやくざ然とした見た目が40代後半の男が映っていた。
まずは連邦所屬を明らかにするためにも、こちらから名乗る。
「こちらは銀河連邦所屬、広域宇宙探査船コランダム777、船長代理の如月だ。
貴艦の所屬と目的を知りたい」
私の問いに映像に映った男が橫柄に答える。
「へっ!銀河連邦だか、何だか知らないが、お前みたいな若造に誰がしゃべるか!
話してしいなら艦長を出せ!艦長を!」
「今、話した通り、私は當探査船、船長代理の如月だ。
現在本船の最高指揮は私だ。
貴艦の所屬を告げられたい」
その私の言葉に相手は呆れたように話す。
「はん!お前みたいな若造が船長代理やとう?
全く周りにいろっペー姉ちゃんをずらずらと並べて・・・まあ・・
それでよく宇宙船乗りが務まるな、ええ?!・・・いいか?
よーく耳をかっぽじって聞け!
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大宇宙海賊のギムナール・イヴァン、その一の子分のガンダル様とは、この俺様の事よ!
よく覚えておきな!」
「宇宙海賊だって?」
私は艦長席の通信の送信用音聲スイッチを切って周りに話す。
「參ったね、海賊だとさ。
どうするね?みんな?」
「本當なら見逃せません」
と副長。
「いつでも戦闘準備OKですよ」
と戦闘隊長。
「どうした?驚いて腰でも抜かしたか?男!」
挑発するかのように聲を発する相手に対して、再び音聲のスイッチをれる私。
「いやあ、腰を抜かしてはいないが、確かに驚いたのは事実だ。
しかし、こういった事は冗談で済まされないので心して答えてしい。
貴艦は本當に宇宙海賊なのか?」
慎重に質問を繰り返す私に対してガンダルが馬鹿にしたように答える。
「何、寢言抜かしていやがる!
今からテメエの包み剝いでやるから待っていやがれ!」
「あ~、重ねて聞く。
もし貴艦が本當に海賊船ならば、當方としては拿捕、もしくは撃沈しなければならないが、本當にそうなのか?」
「拿捕か撃沈だと?
ふざけんな!甘く見んなよ?
こちとらそんな探査船なんぞ今までに何隻も葬ってるんだ。
ちっとばかり今までの探査船よりでかいからって調子に乗ってんじゃねえぞ!
いろっぺー姉ちゃんに囲まれて舞いあがってんのか?このガキャ!
とっとと降伏するなら命だけは助けてやらないでもないぞ!
ああん?」
がなりたてる宇宙海賊に私は々ため息をつきながら答える。
「そうか、降伏するにしてもこちらも々部下と話し合いたい。
し時間をもらっても良いかな?」
「俺様は慈悲深い男だ、3分だけ時間を與えよう」
自稱海賊の相手が尊大な笑い顔を作りながら答える。
「謝する」
映像を切り、私は艦橋で部下たちと話しはじめる。
もちろん降伏する気などはさらさらないのは全員同じだ。
「船務長、敵のきに注意・・・何かきがあればすぐ報告してくれ。
さて、どうするかね?副長?」
ナタリー副長に話し掛ける。
「あの海賊ガンダルによって破壊された探査船があるのは事実です。
たった今、記録で確認しました。
現在、目の前にいる船は確かに海賊船にしてはかなり強力な武裝をしている様子です。
あれではろくに武裝をしていなかった舊式の探査船や一般の貨客船ではひとたまりもなかったでしょう。
しかし、この型の探査船が就航してからまだ5年ほどですが、現在まで、この型で海賊に戦闘で敗北した例はありません。
特にエンジンの小型高出力化と警護艦が格納配備されるようになって、飛躍的に戦闘力が上がっています。
あの程度の艦船ならば、はっきり言って、本船が攻撃するまでもなく、警護艦一隻でもお釣りが來る位でしょう。
それどころか戦闘偵察艇でも十分なはずです。
本船に格納されている警護艦は舊式駆逐艦並の戦闘力がありますからね。
おそらく彼らは過去の探査船の能で考えていると思われます」
「なるほど、それで彼はそれがわかっているかな?」
「いえ、今の彼の言からしてそれはないと思われます」
「副の意見は?」
私は自分の副であるミオにも意見を聞く。
「副長と同意見です。
あの程度の武裝では本船の防スクリーンを破る事は不可能でしょう
先ほどの言からしても、第3世代型の探査船に遭遇したのは始めてのようです。
彼は過去の自分の経験から自信過剰になっていると思われます」
「戦闘隊長は?」
「探査線で走査して敵戦力の分析をしてみましたが、本船の副砲だけで十分対応可能な船です。
敵の機関部エネルギー値は本船の10%もありません。
確かに海賊船としては強力な武裝ですが、あれならせいぜいウチの戦闘偵察艇と良い勝負程度でしょう。
従って、主砲や警護艦を出すまでもありません。
むしろ主砲を撃ったらあの船は木っ端微塵でしょう」
「あちらはこっちに探りをれてないのかな?」
「海賊船からの探査線等は全く検知されません。
完全にこちらを舐めてかかっているようです」
「そうか、まあこの船も辺境の探査船と言えども銀河連邦の船だ。
海賊行為をみすみす見逃すわけにもいかないしなあ」
正直、海賊相手の戦闘なんぞ面倒でやりたくはない。
私はふう、とため息をつく。
しかし次の瞬間、キッと顔を上げると、決然と指示を出し始める。
「仕方が無い、一気に片をつけよう。
副長、第二級戦闘配備だ。
ただし相手をあまり刺激したくない、砲塔はまだ出すな」
「はい、承知しました!」
そう言うと副長がマイクに向かってび始める。
「全乗組員に告ぐ!
本船は現在宇宙海賊と遭遇した。
これより戦闘準備にる。
全艦第二級戦闘配備!
全艦第二級戦闘配備!ただし砲塔は格納のまま」
全船に副長の凜とした聲が響く。
各部署の亜人たちが擔當部署に急ぐ。
「さて、せっかく「慈悲深く」時間をくれたんだ。
せめて最後の勧告をこちらもしてあげようじゃないか?
映像パネルオン」
映像が通じると件の海賊がふんぞり返って待っていた。
一応本當に3分間手出しをしなかったのはこちらを甘く見ているのか、それとも自分が大だとこちらに思わせたいのだろうか?
「船長代理、3分経ったぞ、どうする?
降伏するならとっととしろ!」
「すまないが、部下と相談した結果、やはり海賊行為を見逃す訳にはいかない。
君が降伏しない限り、撃沈するしかないようだ」
その私の答えに驚いたのか、ガンダルが意外そうに話す。
「ああん?てめえ、頭がおかしいのか?
ふっ飛ばすぞ?」
「理由はどうあれ、君は我々に時間の猶予を與えてくれた。
こちらとしても可能な限り撃沈は避けたいので、どうか降伏してもらえないだろうか?」
私の要請にガンダルが怒り狂って答える。
「てめえ!ふざけてんのか?
俺様が何で降伏なんぞしなけりゃなんねえ!」
「どうしても降伏してくれないか?」
「當たり前だ!この馬鹿が!
脳みそが腐ってんのか?」
「念のために言っておく。
君達は誤解している様子だが、この船の武裝は現行の駆逐艦を凌ぐぞ?
いいか?もう一度言う、駆逐艦以上だ。
君達が相手した過去の探査船とは比較にならない」
本來ならば自分の武力をこれから戦う相手にわざわざ忠告するなど、ありえない行為だった。
しかし、圧倒的な武力と彼我の差がはっきりとわかっているこちらとしては、あえて相手に自分の報を與えてみた。
出來れば戦闘は避けたかったし、それによって相手が降伏するのを期待したのだ。
だが、それは無意味だった。
「はっ!はったりのつもりか?
そんな脅しに引っかかるとでも思ったのか?
いいか?ここは一番近い宇宙連邦の基地からだって何百年と離れているんだ!
この宇宙の果てで信じられるのは自分の腕っ節だけよ!」
その海賊の言葉に相手の艦橋で賛同の聲が上がる。
海賊の部下達がガンダルをやんやと褒めちぎっているのが聞こえてくる。
自分の言葉に酔いしれているようなガンダルに軽く溜め息をつきながらも私が答える。
「仕方がない、それでは戦いを始めるとしよう。
通信映像はこのままにしておくから降伏したい時はすぐに申し出るように」
「それはこっちのセリフだ、野郎ども!
攻撃用意だ!」
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