《星の見守り人》006 戦闘!
ガンダルの攻撃用意の命令と同時にこちらも命令を下す。
「戦闘隊長、副砲発用意!」
「はっ!副砲発用意!」
私の命令により探査船の格納されていた副砲が左右の舷側からせり出す。
非武裝に近いと考えていた相手から突然の砲塔出現に驚き、ざわめく海賊船の艦橋。
「親分!あいつの橫っぱらから砲塔らしいのが出てきました!」
「何だと!」
驚く海賊に私が今一度通信をする。
そして最後の通告をする。
「くどいようだが最後にもう一度だけ、勧告する。
悪い事は言わない、降伏したまえ。
こちらとしては貴船を破壊するには忍びない」
しかし頭にが上った相手には通じなかった。
「やかましい!できるもんならやってみやがれ!」
「仕方がない、副砲発!」
「はい、副砲発!」
私の命令一過、副砲が発される。
その一條のは過たず海賊船に命中し、その船を守っていた防スクリーンの外側の一枚をあっという間に軽く貫き、さらに側のスクリーンが赤から黃、そしてすみれにり輝く。
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海賊船部ではかつて見た事のない、その威力に驚いていた。
「撃ってきました!
この威力は確かに駆逐艦級です!
とても探査船のレベルじゃありやせん!」
古い型の探査船しか相手にした事のなかった海賊が、最新鋭の探査船の攻撃をけて驚く。
しかも海賊達は知らなかったが、それはまだ副砲でしかなかったのだ!
「外層スクリーン崩壊!
層スクリーンもあと一撃されたら持ちません!」
「何ぃ?!」
その余りの威力に驚愕する海賊たち。
今まで探査船でこれほど強い船に遭遇した事がなかった海賊達は激しく揺した。
「何でだ?何でただの探査船がこんなに強いんだ?」
愕然とする海賊にパネル越しに私が靜かに答える。
「最新型だからだよ」
「最新型だとう?そんなのが・・・!」
「だから言ったろう、降伏した方がいいぞと、どうするね?」
「やかましい!
今さら降伏なんぞできるか!
撃て!撃てぃ!」
海賊船のビーム砲がり、コランダム777の外層スクリーンに命中する。
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外層スクリーンは僅かに鈍い赤にるが、崩れはしない。
海賊船は連続して激しくビーム砲を撃ってくるが、コランダム777の外層スクリーンを赤い以上には出來ない。
敵の一撃がまったくこちらに被害を與える心配が無い事を確認すると、私が落ち著いて命令を出す。
「戦闘長、敵のスクリーン抵抗値を計算し、副砲を発。
敵スクリーンが崩壊した所で撃、最高出力のニードル線砲で機関部を狙え!
機関部を貫通するんだ!」
「はっ、抵抗値を計算し、敵スクリーンを攻撃、
スクリーン崩壊後、撃にて機関部を撃します!」
再びコランダム777の副砲からビーム砲が撃たれる。
それによって海賊船の殘っていた層スクリーンが一気にすみれから濃い紫になったかと思うと、次の瞬間に黒くなり、崩壊する。
「親分!層スクリーンが崩壊しました!
むき出しですぜ!」
「ぬぬぬ!」
さらにコランダムの船首からキラッ!キラッ!キラッ!と數本の細い線が撃たれ、正確に海賊船の船尾にビスッ!ビスッ!ビスッ!と命中する。
第3世代型探査船であるコランダムは特殊金屬であるアレナックを船裝甲としているので、スクリーンがなくなっても、相手の攻撃に対して多は船が持つが、単なる商船を改造しただけの海賊船は、裝甲も通常のジェラルミンに、形ばかりの対ビーム加工をしている程度なので、高出力の砲撃を食らっては一たまりもない。
自分達の船の主機関に線を貫通されて海賊達が慌てふためく。
「機関部に命中しました!」
「主機関停止!」
「補助機関もきません!」
「何だと!」
「予備電源に切り替わりましたが、これでは生命維持がやっとで戦闘は無理です!」
「なにぃ~!」
「親分!もう降伏しかありません!
降伏しましょう!」
「馬鹿野郎!
戦闘開始してまだ3分も経ってないんだぞ!
そんな真似が・・・」
ワナワナと震える海賊にスクリーン越しに私が冷たく言い放つ。
「どうかね?そちらの調子は?
大分難儀している様子だが?」
「ぬが~!」
「降伏しないのならば、次は艦橋を狙うぞ?」
淡々と話す私の通告に海賊船の艦橋が大騒ぎになる。
「親分~!」
「もうダメだ~」
さすがのガンダルもここに至っては降伏するのもやむなしと悟り、苦渋の選択をする。
「くくっ~わかった!降伏する!」
「承知した。
それではこれから君達を拿捕しに部隊が向かうので、武裝解除して待ちたまえ」
私のその言葉に憤怒の表のガンダルが捨て臺詞のように言葉を吐く。
「ぬぬぬ・・・これで終わりだと思うなよ!
うちの大將がくれば貴様なんぞ・・・」
「大將?誰だったかな?」
「あほう!
宇宙海賊ギムナール・イヴァンその人に決まってるだろが!」
「なるほど、心に留めておくよ」
拘束した海賊たちをコランダム777に移乗させる。
さすがに相手も白兵戦で抵抗するのは無駄だと考えたようだ。
「全部で何名かね?」
「人間が15名です、後はロボットで、亜人はいません」
思ったよりずいぶん人數がないなと私は思った。
亜人は法にれるような海賊行為には決して加擔しないために海賊船には通常乗っていない。
そのために人間の乗組員が多くなるのだが、この海賊船は人數でうまくやっていたらしい。
「副長、彼らを大型拘留區畫へ 監督班を編してくれ、なるべく強面でね」
「はっ! エダジマ副長補佐を監督兼看守長に、以下5名を監視係につけます」
こうしてガンダル以下、宇宙海賊達は我々の手によって捕縛されたのだった。
第3世代型探査船は深宇宙での出來事に可能な限り対応できるように設計されている。
過去の宇宙探査の記録から考えて設計された最新型なのだ。
単獨での長い宇宙航行中には様々な出來事が予想され、そのの一つが海賊捕縛後の拘留施設だった。
この探査船には、宇宙船の前方底部の格納庫後部付近に、左右それぞれ50人ほどを拘留可能な施設があり、計百人以上を拘留する事が出來る。
その區畫は超速航行こそ出來ないが、獨立してく事が可能で、犯罪人をかす時には直接その區畫ごとかす事が可能だ。
しかしもちろん、それをかすのは監視室を兼任している制室で、収容されている者がかす事は出來ないので、それによって走等も限りなく不可能になっている。
そこにある一部屋は々狹いビジネスホテルのような10㎡ほどの二人部屋で、2段ベッドとシャワー・トイレだけがついている。
宇宙海賊たちはこの部屋に當分の間、監される事となり、探査母船から方面司令部に戻り、裁判で裁かれるまでは、拘留される事になる。
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