《星の見守り人》010 オンボロ宇宙船
私の問いに、自分の老朽船を修理してもらった恩もあるせいか、イワシタが話を始める。
「確かに本來ならばあんなボロ船はスクラップにするべき船でしょう。
しかしあれでも私の祖父の代から使っている著のある船でしてねぇ・・・
私には家も同然なんですよ。
それに・・・」
ここまで話して、イワシタはため息をつく。
「ここまで來るのにあの船で5年近くかかりました。
何しろご覧の通り古い船ですからなあ・・・
こちらの船でしたらあっと言う間に行ける場所でも、あの船ではおそらくその十倍以上もかかるでしょう。
ですからもしどこかの星に曳航して行くとなると、おそらく完全に修理して戻ってくるまでにまた數年はかかってしまう。
私にはその時間が惜しい、そしてもう一つ、これが決定的で一番の理由ですが・・・」
言葉に詰まり、頭をかきながら言いにくそうにするイワシタ。
「何ですか?」
「私にはあの船を完全に修理するだけの財産がありません」
そう言って悲しそうに首を橫にふるイワシタ。
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「多の食料や燃料を購する程度ならともかく、宇宙船のエンジンを完全に修理するとなるとね・・・」
イワシタの説明に私もようやく理解をしてうなずく。
「・・・なるほど」
それは公務員として若く、経験もなく、仕著せのしかも最新鋭の贅沢な船で、補給の心配など全く無く旅をしている私には衝撃の一言だった。
その言葉はそういった厳しい狀況とは関係なく、仕事とは言え、のほほんと航行をしている私には全くない観點で、痛烈な一撃だった。
しかし言われてみれば、本來は船を修理するにも食料を補給するにも、先立つが必要なのは當然だった。
私の探査船は母船があり、そこに戻れば、自分がゆっくりと休んでいる間に、いくらでも修理や補給はしてもらえる。
そして、例え母船が近くにいなくとも、最新型の汎用探査船たるコランダム777はその気になれば、任意の天から資を採掘して、搭載されている最新鋭の工作機により、船の修理をする事も可能なので、私はその事に全く気がつかなかった。
悪気はなかったとは言え、うかつにも相手に恥を掻かせてしまった事を私は後悔して、何か現狀を救う名案は無いものかと考えた。
「どうしたかな、何かいい考えはあるかな・・・?
ミオ?技師長?」
「そうですね。さすがにエンジンを無償で差し上げる訳にもいきませんし・・・」
と困顔のミオ。
「あのエンジンを本船の設備で完全に修理するとなると、まず簡易ドックを作る所から始めなければなりませんよ。
そこでエンジンを取り外してから分解をして…」
と技師長が工程の困難さを説明し始める。
イワシタがその二人の會話に慌てて止める。
「いやいや!本當に無理はしないでください。
私も宇宙の探検家。宇宙で朽ち果てるなら悔いはありません」
祖父からの教えなのか、妙なところに気合がるイワシタだった。
「まあまあ、そう結論を急がないでください・・・
そうだ、こういうのはどうです?
あなたはここに來るまで、當然々な恒星系を回ってきた訳ですよね?」
「もちろんそうです」
「探検家のあなたとしては、當然そういった恒星系を探査、いえ探検してきた訳ですね?」
「はい」
「そういったデータはあなたの船のコンピュータに記録されている?」
「そうですね」
「その報の中には、まだ連邦の探査船が行ってない區域の報も、たくさんあるかも知れないですよね?」
「ええ、祖父の代からあちこちに行っておりますから、おそらくたくさんあると思います」
「その報をこちらにいただけませんか?」
「もちろんこれだけの事をしていただいているのですから、その程度の事は全然構いませんが・・・ただ私と祖父に関する研究の報は・・・」
自分の研究の果を他人に取られるのではないかというイワシタの心配を、払うように私が説明をする。
「それは大丈夫です。
こちらとしては各恒星系の天文データだけいただければ結構ですから」
「それならまったく問題はありません。
お好きなだけどうぞ」
「よし、それなら一時的に探査を委託したという事にして、その代償としてエンジンをこちらで換する事は可能だと思いますよ。
どうかな?ミオ」
「はい、それでしたら問題ないと思います。
民間に委託して報を収集した結果、老朽化したエンジンと新型を換するというのでしたら代償として當然となります」
「なるほど!」
ミオの説明に目が生き生きとしてくるイワシタ。
事態を把握した技師長が説明を始める。
「それならば幸い本船には予備として々な小型エンジンがいくつかあります。
そのどれかと換すれば大丈夫でしょう。
なくとも今のエンジンと比べれば遙かに安全は高く、高能かつ高出力です」
技師長の説明に私が質問する。
「どれくらい時間がかかるかね?」
「取り外すのに1日、取り付けて多縦系や機関室を作り直すのに2日、まあ3日もあれば大丈夫でしょうが、余裕を見て合計5日という所ですね」
「うん、そうだな・・・ミオ、確かこの恒星系の探査時間は3週間はあったね?」
「はい、このナハール恒星系の探査予定期間は3週間ほどです。
すでに1週間は過ぎていますから、殘りは約2週間ほどですね」
そのミオの言葉にうなずくと、イワシタに向き直った私が再び話始める。
「イワシタさん、あと2週間位の間は當船に滯在するのは問題ないですね?」
「はあ、それは私としては、もちろん何も問題ありませんが・・・」
それは愚問だった。
當然の事ながら差し迫った予定も無い上に、肝心の宇宙船が壊れていては滯在するしかなかったイワシタ氏だった。
「ではこの機會にあなたの宇宙船を徹底的にオーバーホールしてはいかがですか?」
「それは私としては構わないのですが・・・よろしいのですか?
その・・・先ほども言った通り、私には代を支払う事は出來ませんよ?」
心配そうに質問するイワシタに私がニヤリと笑って答える。
「それは構いません。
當方の技研修の一環としてやる事にしますから。
技師長、2週間あれば、あの船のオーバーホールは可能だね?
必要とあらば、仮設ドックを構築するのも構わないよ」
「それだけ時間があれば十分ですよ。
新品同様、いえ、新品以上にしてみせましょう」
を張って承諾する技師長に私もうなずきながら返事をする。
「結構、ではそうしよう。
良い機會だから、私もこの船の技の総力を上げたらどれほどの事が出來るのか試してみたい。
今日明日中に改裝計畫書を出してみてくれないか?
私もいくつか改造案があるんだ」
「了解しました。
これは忙しくなってきますね。
面白そうです」
「イワシタさんもそれでよろしいですね?」
「もちろんです。
私としては願ったり葉ったりですよ」
「では改裝が終わるまで本船に滯在していただきましょう。
來客用の部屋を用意してありますからそちらでゆっくりとしてください。
まだ調も萬全という訳でもないでしょうから無理をなさらずに。
この2週間は骨休めのつもりで當船で寛いでいてください。
様々な娯楽施設もありますから、かなり楽しめると思いますよ。
エスコート役としてハルナ3曹がつきますので、用があれば何なりと伝えてください」
「いやあ!何から何までありがとうございます。
この恩は一生忘れませんよ」
「こちらとしては可能な限りご協力するだけですよ。
では私達も仕事があるので失禮いたします。
ハルナ3曹、あとはよろしく」
「はい」
そう言い殘すと私たちは忙しそうに部屋を出て行く。
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