《星の見守り人》021 村の掟

その次の日の朝、村の人々は起きて驚いた。

いつの間にか、村の周囲をグルリと木の柵と鉄條網で囲まれてしまっていたのだ。

驚いた村人達が王に報告に來る。

「王!これでは狩りに出られません」

「ええい!そんな柵など越えて行け!」

「木の柵はともかく、あの棘がついている鉄の紐はどうにもなりません!

しかもどうもあの鉄の紐には毒が塗ってあるらしく、ると痛いのです」

「毒だと?」

効果的に2重3重に包囲した鉄條網は即座に取り除く事は困難で、とてもそこを越える事は出來なかった。

しかもそこには弱い電流が流れており、れば電し、死ぬ事はなかったが痛かった。

電気をしらないこの星の人々はそれを毒と解釈したのだった。

「どこか空いている所はないのか?」

「一ヶ所あるようですが・・・」

「では、そこから出て行けば良いではないか」

「ですが、そこには例のよその王族の者達が」

「なんだと?」

あわててブルーム7世が部下を連れて村の境界線に行くと、そこにはミサキ以下數名が立っている。

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「おはようございます、ブルーム7世様」

「貴様!これは一どういう事だ?」

「何か問題でもございますか?」

「この鉄の紐はなんだ?」

「昨日お話した通り、ここが村の境界線と聞いたので、そこにこのようにわかりやすい柵を造ったのです。何か問題でもありますか?」

そう言って昨日印としてつけた、焦げた地面を指差して見せる。

「これでは我々が出れないではないか!」

「しかし、村の境界は昨日あなた様が決めた事でしょう?

我々は約束どおり、一歩も中にはっていませんよ?

そこからあなた方が外に出られるかどうかは我々には関係ありません」

「やかましい!こんなはすぐに無くせ!」

そういってブルーム7世は迂闊にも鉄條網にれると、たちまち電し、びを上げる。

「うおあっ!なんだ、これは?」

「それは電流と言って、るとの調子を狂わすものです。

ると痛いですよ」

「とっととこんなはどけろ!」

「そうはいきません。

それにあなたは昨日自分で決めた約束を都合が悪くなれば、今日には破ると言うのですか?」

「當たり前だ!

わしの言う事がいつでも真実なのだ!」

「しかし、昨日はここが境界線だと言ったではないですか?

それは真実ではないのですか?」

「うるさい!とにかくこれを無くせ!」

「いいえ、無くしません。

あなたが昨日ここを境界線と決めた以上、この線からこちらは我々の村となります。

あなたが我々をあなたの村にるのを止したのと同様に、あなた方が我らの村へる事は止します」

「そんな馬鹿な!この世界は全て我らカザラム教のだ。

貴様らのではない!」

「我々はそれを認めません。

どうしますか?」

「ええい!こいつらをぶっ殺せ!」

ブルーム7世が命令を下すが、昨日同様、部下達の武はこの不思議な相手に全く効かず、むなしい結果となった。

「さあ、どうしますか?」

「許さん!貴様ら、許さんぞ!」

「許さないのならどうしますか?」

「・・・今に見ていろよ!」

憤怒の形相できびすを返すと、宇宙船に戻ったブルーム7世が、熱戦銃を持って戻ってくる。

「ふはは、さあ、侘びをれるなら今のうちだぞ!」

「それはどうでしょう?」

「バカメ!」

そういうとミサキのをめがけて熱戦銃を撃つブルーム7世。

しかし、その線はミサキのの手前で空しく散る。

ミサキの前に張られた宇宙服の防スクリーンの前には、いかな熱戦銃でも効果は無かった。

「ば、ばかな!」

驚いたブルーム7世が何回もミサキを撃つが、結果は同じであった。

やがて充填していたエネルギーが盡きたのか、引き金を引いても熱戦が出なくなる。

「では今度はこちらの番ですね」

ミサキが出したレーザー銃を構えると、ブルーム7世を撃つ。

狙いは過たず熱戦銃に當たり、それはドロリと溶けて、もはや銃としての役割を果たせなくなる。

「あつっ!」

その高熱で銃を持てなくなったブルーム7世が思わず銃を落とす。

「さあ、どうしますか?」

そのミサキの言葉にワナワナとブルーム7世が震えるが、何も出來ない。

落ちた熱戦銃を拾おうとするが、まだ高熱で周囲の草がこげるほどで、とても手に持つ事は出來ない。

「くっ・・おのれ!おのれ!」

憎しみで相手が殺せるほどの形相でミサキたちを見つめるが、もちろんそんな事で何も起こらない。

しばらくするとクルリと踵を返し、自分の住居である宇宙船へと戻っていった。

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