《星の見守り人》030 永久生存醫學的処理
如月が特殊な醫療措置をけて半年が経ち、如月の醫療的改造と教育が終わった。
改めてシジマの私室で説明をける如月にシジマが満足そうに話す。
「さあ、これでいよいよ本格的な実験が開始されるという訳だ。
とは言っても、きみとしては別にやる事は変わらないがね」
「確かに多能力が上がったのはわかるのですが、それ以外は全くといっていいほどに実はわかないですが・・・」
すでに永遠の壽命というになった如月だったが、その覚は全くない自分に拍子抜けだった。
確かに能力は格段と言っても良いほどに上がっていた。
しかしそれは言わば量的な変化であり、質的な変化ではなかった。
しかもそれはある日突然上昇した訳ではなく、日々の鍛錬の果で徐々に上がっていったものだった。
その點では如月にあまり自覚癥狀がないのは當然だった。
ここ半年でもっとも変化した能力と言えば、のナノマシンのおかげで素潛りで水中に數時間滯在可能になった事だろうか?
これにはさすがに如月も驚いていた。
一見的には何も変化はない事は事前に説明をけてわかってはいたが、あまりの変化の無さに、このメトセラ計畫自がまるで単に自分を騙すか、からかう事が目的なのではないかと疑りたくなるほどだった。
そんな如月にシジマが肩をすくめる様に説明をする。
「まあ、そんなものさ。
壽命が延びたからと言って、別に素で空を飛べるようになった訳ではない。
音より早く走れるようになった訳でもないし、高層ビルをひとっ跳び出來る訳でもない。
君自も実験でもわかったろうが、水中に數時間は潛っていられるだろうがね?
それ以外には知っての通り、多力は上がって、早く走れる程度にはなっているが、逆に言えばせいぜいがその程度だ。
に関してはそれ以上の自覚癥狀はないだろうしな。
多能力が上がった、々丈夫なだ。
完全無敵の超人になった訳ではない。
それも慣れてしまえば、どうという事もないだろうしな。
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だから肩かしを食らった気分になるのはわかる。
ただし君の的年齢はこれで固定されたがね」
「そうですね」
確かにシジマに言われてみればその通りだった。
改めて説明されて納得する如月にシジマが説明を続ける。
「しかし、そうは言っても多は超人と言っても良い狀態ではあるかな?
何しろこれで君はちょっとやそっとの事では死なないからな。
々古い言い方をすれば、一種の強化サイボーグだからな。
普通の人間からすれば、超人に見えても不思議はないだろう」
「そうですか?」
「ああ、そうさ、醫學措置前にも説明したが、確認のためにもう一度話をしておこう。
まずは君のにっているのは將級のナノマシンだ。
我々はそれを「JNM」もしくは「ジェノマ」と言っているな。
これは將級ナノマシン一個の名稱でもあるし、その集合名稱でもある。
ジェノマはこれから君のの狀態、つまり溫、流、脳波、心拍數、その他あらゆるの數値を常に計測し、それを常にミオと船醫學コンピュータに送り続けている。
そして異常があれば直ちにそれをミオにも報告し、ジェノマで治療可能なであれば、即座に自的に君ので治療にかかるのだ。
例えばこれによって癌などには君は決してならない。
癌細胞を見つければ、その時點でジェノマが消滅させるからだ。
また、心臓などを撃ち抜かれたとしても、即座にそのをジェノマが塞ぎ、心臓の機能も代行する。
その後でゆっくりと、心臓の細胞を再生させて、數週間もすれば、完全に元に戻るだろう。
しかも今の君にはジェノマによって構された予備の心臓が右側にもある。
それは本來の心臓が破壊されたと同時に起する事になっている。
いざとなればそちらがき出すだろう。
ま、それ以前に外へ出る時などは防護服を著ているだろうから、まず君の心臓などを破壊できないだろうがね?
もちろん腕や足、鼓、眼球などが失われた場合も同様だ。
鼓や眼球程度であれば、即座にジェノマが再構をするだろう。
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さすがに足や腕などの大の代行はジェノマでは完全にはできないが、なくとも出を抑え、痛覚などは遮斷する事は出來る。
また現在の君の頭蓋骨と脊髄は強化金屬γアレナックによって全て覆われている。
カルシウムなどというひ弱な質で構されている訳ではないのだ。
これによって君の頭蓋が破壊される事はまずあるまい。
銃の類で君を撃ったとしても頭蓋を傷つける事は不可能だろうし、中の脳細胞は完全無事という訳だ。
それに君の自ではないが、これから君は住処である君の宇宙船の中から外に出る時は防護服を著る以外にも、必ず斥力裝置と無慣裝置をに著ける事になる。
これで銃弾どころか、大型トラックに撥ねられたり、ビルが崩れ落ちてきたとしても安全だ。
それとミオたちが同行する時は、小型の酸素吸や飲料水も攜行する。
どこかに閉じ込められたとしても數日は大丈夫だな」
シジマの説明で如月も納得をした。
確かにシジマの言う通り、これならば今の如月は通常兵や大きな事故でも死ぬ事はない。
28世紀現在の狀況下でも、よほど特殊な武か、核兵以外ではまず死ぬ事はなさそうだ。
仮に19世紀以前の狀況などでは、いかなる狀況、それこそ戦爭の真っ只中でもまず死なないだろう。
銃弾、大砲、弓矢、刀剣の類では、決して如月を傷つける事はほぼ不可能だ。
「そしてジェノムの集合は一種の人工知能でもある。
これによって君は常ににあるジェノムと協議も可能だ。
それに記憶の補助もするので、記憶も通常の人間よりは、はるかに優れているだろう。
また、ジェノムは登録さえしてあれば、外部のアンドロイドや別人のジェノムとも信が可能だ。
つまり今の君には限定的ではあるが、一種のテレパシー能力のようなもについている訳だ。
そして君の通常の能力はせいぜい數十%程度の強化だが、ジェノムを使用すれば、數倍の筋力になり、走る速さや跳躍力などは、決して普通の人間などは比較にならんほどで、C級亜人程度の能力となる。
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そういう意味では君は間違いなく超人になったと言えるな」
「そう言えばそうでしたね。
ジェノムでの信は、どの程度の距離まで可能でしたっけ?」
「純粋に君のにあるジェノムの力だけならば、せいぜいが數十mという所だな。
しかし実際には君は日常的に小型のM機関をつけているだろうから、それによって増幅されるから実際には數百km程度は可能になるだろう。
宇宙船の中で船コンピュータを経由すれば、それ以上も可能だ」
「なるほど」
如月はこの半年間、自分の能力向上の訓練も兼ねて、ジェノムを使用した場合の自分の能力も測定しており、その數値には確かに驚いていた。
一通り醫學的な説明を終えると、次にシジマは如月の部下の説明を始めた。
「ではまず、順番に君の部下となる連中を何人か紹介しよう。
もちろんほとんどの乗員が君の希により、以前と同じ乗員ではあるがね。
まずは一番肝心なミオだ。
ついてきたまえ」
「はい」
シジマに従って別の部屋に行くと、そこにはミオが待っていた。
「ミオ!」
「セイさん!」
思わず二人がんで、互いに駆け寄る。
半年ぶりに會った二人がひとしきり抱きしめあう。
如月とミオと出會って以來、これほど會えなかったのは初めてだった。
そしてそれがこれほど長くじるだった事がわかったのも初めてだった。
ひとしきり抱擁をわすが、上司の前だった事を思い出し、如月が非禮を詫びる。
「あ、失禮しました!局長!」
「いや、構わんよ、半年近くも會えなかったんだからな。
それにミオはわしの娘みたいな者だからな。
改めて君がミオをどれだけ大切に思っているか実際に確認できて嬉しいくらいだよ。
で、どうだね?新しいミオは?」
シジマにそういわれて、まじまじと如月がミオを見る。
「新しいミオと言っても・・・本當に新しいに変わったのですか?
首の認識章がA級になった以外に違いなんてわかりませんが?
・・・いや、でも・・・?」
抱きしめた時にわずかな違和をじた如月が首をかしげる。
「どうしたかね?何かおかしな所があるのかね?」
「その・・・気のせいかも知れませんが、以前よりが大きくなったような・・・」
ミオは如月の趣味で、元々かなり大きなの亜人だったが、それがわずかに大きくなっていたように如月はじていた。
その如月の言葉に心したようにシジマとミオが話す。
「ほほう、それは大したものだ」
「ええ、さすがセイさんです」
大きくうなずく二人に如月が問いかける。
「どういう事なんです?」
その如月の質問にシジマが頭をかきかき答える。
「いや、実はな、ミオのを特別A級換裝する際に々・・・骨格を大きくする必要があってな。
わずかになんだが・・・結果として長が2cmほど高くなって、それに従っての大きさも1cmばかり大きくなったのじゃよ」
「ええ?はわかりますが、長なんて、どう見ても同じにしか見えませんが?」
長の違いを指摘されて、改めて如月がミオの全をまじまじと見るが、その背丈はどう見ても大きくなったようには見えない。
如月の長は168cmで、ミオの設定長は163cmだった。
自分の長と比べてみれば、すぐにわかる事なので、ある意味、よりもわかり易い。
「うむ、長に関しては簡単な事だ。
今まではミオの靴は3cmほどの靴底があった訳だが、今は1cmの高さにしてある。
だから背の高さに関しては足にでもならない限り、見てもわからんよ」
「なるほど」
驚くほど単純なトリックだったが、如月がミオの足元を見てみると、確かにヒールの形が以前とわずかに違っているのがわかる。
「しかし、それ以外で何か違和はあるかね?」
シジマに言われて改めてまじまじと自分の目の前で微笑んで立っているミオを見るが、それはどう見ても以前同様のミオにしか見えなかった。
「いえ、何もありませんね。
先ほども言ったように首の認識証がB級の緑からA級の青に変わった以外はどこも変わっているようには見えません」
その如月の言葉にシジマが當然といった、したり顔で説明をする。
「そりゃそうだ、長とを含めた多の大きさ以外の格は以前のデータをそのまま使っているわけだし、ミオ自の細かい補正もっている。
まず見た目の違いなんて有る訳はないよ。
それでも記憶報の素粒子データに差があれば、仕草や雰囲気は違ってくるものさ。
だがそういう違和もないだろう?」
「ええ、そうですね。
何もかも以前のままの雰囲気で何もおかしな所はありません」
「そうでなくては困るがな、まあ、わしとミオ自で、この半年の間にそれぞれ七重チェックをしたからな。
まず間違いはない」
シジマが半年もかけてその作業をしていたかと考えると、如月も思わず頭が下がる。
「ありがとうございます」
「な~に、禮には及ばんさ。
今後の君がやってくれる事に比べればな」
「はい、私も出來る限りの事はしたいと思います」
「うん、期待しておるよ。
さて、ミオ自は元々A級扱いのB級だったので、別に見た目の変化はないが、完全にA級のシステムに移行するに當たって、そのもの以外にも々と用意したがある。
まずは・・・」
そう言いながらししまがミオの長く金の髪にれる。
「このミオの髪ののうちの三百本はロボットだ。
しかし見た目には他の髪のと全く変わらん。
実際には他の髪のよりも々太いのだが、人間の眼でその差はわからん。
髪のの総數は人間とほぼ同じで10數萬本だから、數としては全の1%にも満たない。
全部切り離して使用したとしても見かけは全くかわらないよ。
もちろん遠隔作も可能だが、1本1本が獨立したロボットで獨自の判斷で行を
する事も出來る。
これはお互いに連絡を取り合って、連攜をして、重力作で宙に浮かんで防スクリーンを張る事も可能だ」
「なるほど」
如月が関心すると、今度はシジマが誰かを呼ぶ。
「そして次は・・・おい、メルクーロ、ご挨拶だ」
博士が言うと同時にミオのベルトと下著、それにブーツ以外の服裝が銀灰のの塊となって床に流れ、ミオのそばに銀のコールタールのように溜まったかと思うと、見る見るうちに盛り上がって形が整って行き、そこにはミオとそっくりの亜人が立っている。
「きゃあ!」
いきなり服が溶け落ちて、下著のみの半になったミオがび聲をあげる。
そんなミオに構わずにシジマはそこにいるの説明をする。
「これは不定形ロボットのメルクーロだ。
何でも変形する事が可能だ。重寶するぞ」
そう言っているそばからメルクーロが次々とミオから博士・如月へと変形してみせる。
「もうっ!博士!」
いきなり半にされたミオが抗議の聲を上げる。
「なんじゃい。わしはお前の親じゃぞ、今さらを見たって構わんじゃろ」
「でもセイさんの前で・・・」
「わかった、わかった、ほれ、戻れ、メルクーロ」
博士の言葉によってメルクーロが再びミオの服として戻る。
「ま、こいつはわしを除けば、ミオとお前さんの命令しか聞かないから安心してくれ。
普段は単なる服だしな。
そして最後だが…」
「いよっ!遂にオイラの出番か?」
そう言いながらミオのベルトについていた容の中から攜帯電話のようながロケットのように飛び出てくる。
それは空中で変形し、手足が出てきて小型のロボットになり、テーブルの上にサッとポーズを取りながら著地してみせる。
「こいつは萬能小型ロボットのエスプロ。
気な奴を作ってやろうとしたんじゃが・・・すまんの、々格設定に失敗してしまったかもしれん…」
「なーに言ってるんですか、博士!
ボカァこれで良いに決まっているじゃありませんか!よっ!はっ!」
紹介された當のロボットは話しながらテーブルの上で何故かラジオのような運をしている。
本來アンドロイドではないロボットには自我はないし、設定もないが、時として擬似格設定のようなが付與される事がある。
このロボットはどうやらかなり気に作られているらしい。
「まあ、こう見えても通信や分析はお手のでの。
他にも工作機や、様々な能力が組み込んであってな。
いざという時は多の戦力にもなる。かなり重寶すると思うぞ。
これをミオと君にそれぞれ1ずつ持たせる」
「よろしくお願いしますよ!如月さんっ!」
「あ、ああ、よろしく・・・エスプロ」
「そして最後にこれが決定的な事だが、彼の骨格と主要部分はイノソンで作られている」
「なんですって?」
さらっと何でもない事かのように話したシジマの言葉に如月は驚いた。
イノソンは究極質だ!
いかなる高溫でも融けないし、変形も不能なので破壊も出來ない、酸やアルカリにも反応しないし、亜空間にまで、その存在がびている空間飽和質なので、一旦作ってしまったら、そのまま永遠に存在する事になる!
その製造法や的な製造作品は極なが多く、一般にはまずお目にかかる事はない。
そのような質で基本骨格を作られたという事は・・・
その如月の想像を保証するかのようにシジマがうなずいて説明をする。
「そう、つまり彼はもう完全に破壊する事も出來ないし、永遠に存在する事になる。
これが以前君に話した彼が決して壊されない理由だ。
これは最高機の一つで、知っている者は人間では私と君以外ではほんの數人だけだ。
もちろん誰にも言ってはいかんぞ!」
「はい・・・しかし・・・それは凄いですね・・・」
その途方も無いミオの的に如月が驚いていると、シジマが先を続ける。
「以上でミオの改造點と付帯能力に関する主な説明は終わりだ。
細かい點はほかにもあるが、それは後で本人に聞いてくれ。
それとミオの分と待遇は、基本的には君の副のままで、今度は副隊長も兼ねる。
またバリスたち護衛隊を全て束ねる護衛群司令も兼ねる事になる」
「護衛群司令?バリスが総隊長ではないのですか?」
「彼はあくまで第1護衛隊から第3護衛隊までの総隊長だ。
ミオはそれ以外の護衛隊も含めて全ての護衛隊の司令という立場だ。
君を守るためのな」
「ずいぶんと大げさなような気もしますが・・・」
「そんな事はない、以前にも言ったろう?君の命は重要だとな。
さて、実はこの後に君の乗る新しい船と、その乗組員を紹介するのだが、その前にもう一人だけ、先に紹介したい人がおってな」
どうやらシジマが如月に対して特別に紹介しておきたい人がいるらしい。
しかし、ミオ以外にそのような人がいるとは一誰なのだろうと如月も訝しがった。
「おい、ってきなさい」
その言葉に隣にあったドアがスッと開くと、一人の亜人がってくる。
その人は緑の認識章からB級亜人であるのはわかるが、背中に長い黒髪を揺らしながら禮儀正しく、ゆっくりと歩いてきた。
そしてその長い黒髪のは、如月とミオの前で止まると、優雅に、にっこりと微笑む。
その姿を見て如月が驚く。
「これは・・・ミオ?」
髪のは黒く、多髪型が違うとはいえ、その亜人は確かにミオそっくりだった。
思わず如月がらした言葉にシジマはにやりと笑って答える。
「よくわかったな、その通り、これはミオだよ」
「え?それはどういう事ですか?」
橫にいる本のミオと見比べながら如月が問いかける。
「ミオはA級に換裝したと説明しただろう?當然、前のが殘るわけだ。
しかしそのは君も知っての通り、B級としてもかなり特殊なだ。
だからそう簡単に廃棄する訳にはいかんし、何よりも勿無い。
他の事に再利用しても良かったのだが、せっかくだから君の所で使ってもらおうと思ってな」
「なるほど」
納得する如月に、シジマがその亜人を改めて紹介する。
「次席副でB3級亜人のマヤだ。
當たり前だが、基本的な能は以前のミオと同じだ。
むしろ多改造を施したので上がっているがね。
副の任務もこなすが、ミオ同様に君の護衛も兼ねる。
先ほど話した護衛隊以外の獨立した護衛の一人だな。
そして今言った通り、はミオのを流用したが、さすがにそれだと紛らわしいので、髪のは黒にして多髪型も変えた。
聲も変えたぞ。
格設定はお前さんのを參考にしたが、ミオよりも溫和で控えめだ。
ミオほど怖くはない」
そのシジマの説明にミオが抗議の聲を上げる。
「どういう事ですか?博士!」
「おお、こわ!ほらな?」
その二人の會話を優雅にクス・・・と微笑みながらマヤが挨拶をする。
「次席副のマヤです。
ミオお姉様同様、よろしくお願いします。如月隊長」
「あ、ああ、よろしく」
マヤに挨拶して改めてみると、確かにシジマの言った部分以外はミオそのものだった。
全的にはの大きなおっとりとした黒髪和風人といった風だ。
「さあ、それでは他の新しい君の仲間を紹介しよう。ついてきたまえ」
「はい」
部屋を出ると廊下を歩きながらシジマが今後の事を説明し始める。
「さて、かねてからの話どおり、今日から君は本格的にメトセラ計畫の一員となる。
細かい手続きはあるだろうが、それはこちらでほとんどやっておくから大丈夫だ。
さし當たって君とミオはこれから特務となる」
「特務ですか?」
「そう、知っての通り、君はすでに三佐扱いだが、特務は階級的には佐クラス、それも一佐級だ、ミオも一緒にな」
特務というのは軍における地位で階級的には1佐と同等になる。
探査と同様、行政も兼務する地位だが、その権限ははるかに広い。
「そういえば、この実験の被験者というのは私で何人目なんですか?」
「君で7人目だ。
そしておそらくは君で最後になる」
「え?そうなんですか?」
「ああ、さすがに永久に生きている人間をそんなに生み出しても意味がないし、々と困る事もあるからな」
「差し支えなければ、今までの人間がどうしているか教えてしいのですが?」
「うむ、一人目は普通に町で生活をしておるよ。
二人目は同じように普通の町で暮らしているが、訳があって、ある星上に固定されてそこからく事は許可されていない。
3人目は最初は普通に暮らしていたのだが、現在はシェルターに引きこもっている」
「シェルター?」
「ああ、そうだ」
「4人目は君と同じ天文探査だったが、今は資源採掘者になっている」
「ほう?」
「彼は金儲けに目覚めてな。
無限の生命を生きるには無限の財産が必要だと考えて金儲けに走っている」
「なるほど」
その気持ちはわからなくはない。
「5人目は星開拓に凝っている」
「星開拓ですか?」
「ああ、そうだ」
「なるほど」
「そして6人目はある人工天に一人で住んでいる。
但し、大量の亜人たちと共にな」
「人工天?」
「ああ、直徑1kmほどの人工天だ。
彼はそこに亜人たちと一人で住んでいるのだ」
「一人で?なんでまた?」
「この実験に攜わる者には我々としても可能な限り便宜を図るつもりなのだがね。
彼は星を一つもらって、そこの王になりたいと言い始めたのだ」
「何ですって?」
「もちろん最初からそう言っていた訳ではない。
しかし自分が永久に生きるとわかって何かの理の箍(たが)がはずれてしまったのだろうな。
実験が始まってしばらくすると、自分は一つの世界の王になりたい!
自分にはそれだけの価値がある、と主張を始めたのだ」
「そんな事を?」
「しかしもちろん我々としてもそんな馬鹿な事をけれる訳にはいかない。
だが、この実験の趣旨として永久に生きる人間が何をみ、どういう行を取るかを調べるのも目的の一つだ。
だから我々としては可能な限り、彼の希を葉える事も考えた。
その結果、ある実験によって作られた人工天があり、そこを利用する事になった。
その人工天は通常の自然星と同じような生活が可能になっており、そういった都市にある構造は基本的に全て整っていた。
そしてそこにはある大規模な社會的実験のために1萬人以上の亜人たちがいた。
その実験が終了した後で、そのまま彼らをそこの「住人」とした訳だ。
そして彼にはそこの「王」になってもらったという訳さ」
「それでその6人目は納得したのですか?」
「最初は文句を言っていたな。
しかし実際にそこに住んでみると、文句はなくなったようだ。
まあ、彼としては自分の目にる範囲の全てが自分の自由になるので、満足したようだ。
我々もそれで貴重なデータが取れるという訳だ」
「なるほど」
そのような途方も無い事まで要求するようになるとは、永遠に生きるという事はやはり人の覚すらも変えてしまうのだろうかと如月は思った。
「まあ、彼の行はある程度我々も予想はしていたがね」
「そうなのですか?
私もいずれそういった心理的変化が起こりそうで、それを考えると々怖いですが・・・」
「ま、君の場合は大丈夫だろうと我々は予測している」
「え?なぜですか?」
「簡単に言えば君の神値の數字が極めて安定しているからだな」
「ははあ・・・」
「彼の場合はそれが極めて不安定だった。
そら、君も高額の寶くじなどに當たって格が変わった人間の話などを聞いた事があるだろう?」
「ありますね」
28世紀のこの世でも賭博や寶くじなどの類は多は殘っており、それを楽しむ人間はいる。
「まあ、これはそのもっと激しい場合だと思えば良い。
そういった場合、彼は人格が変わる格だった。
しかし君にはその気はない。
そういう事さ」
確かに如月は自分が高額の寶くじなどに當たったとしても人格が変わるとは思えなかった。
「そんなものですかね?」
「ああ、そういう事さ。
さ、他の君の部下たちの紹介をするぞ」
「はい」
そう言うと如月はシジマに付いて行った。
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8 118ヤメロ【完】
他人との不必要な関わりや人混みが苦手ということもあり、俺はアウトドア全般が昔から好きではなかった。 そんな俺の唯一の趣味といえば、自宅でのんびりとホラー映畫を鑑賞すること。 いくら趣味だとはいえ、やはり人が密集する映畫館には行きたくはない。それぐらい、外に出るのが好きではなかったりする。 だが、ある映畫と偶然出會ったことでそんな日常にも変化が訪れた。 その映畫の魅力にすっかりとハマッてしまった俺は、今では新作が出る度に映畫館へと足繁く通っている。 その名も『スナッフフィルム』 一部では、【本當の殺人映像】だなんて噂もある。 そんな噂をされる程に上手く出來たPOV方式のこの映畫は、これまで観てきたホラー映畫の中でも一番臨場感があり、俺に最高の刺激とエンタメを與えてくれるのだ。 そして今日も俺は、『スナッフフィルム』を観る為に映畫館の扉を開くーー。 ↓YouTubeにて、朗読中 https://m.youtube.com/channel/UCWypoBYNIICXZdBmfZHNe6Q/playlists ※ 表紙はフリーアイコンを使用しています 2020年4月27日 執筆完結作品
8 97ダンジョン潛って1000年、LVの限界を越えちゃいました
世界樹ユグドラシルの加護により、13歳で肉體の壽命が無くなってしまった変異型エルフの少年‘‘キリガ,,は、自由を求め最難関と言われるダンジョン、『ミスクリア』に挑む。 彼はそこで死闘を繰り返し、気が付くと神が決めたLVの限界を越えていたーーーー もう千年か……よし、地上に戻ろっかな!
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極々平凡なサラリーマンの『舞日 歩』は、駄女神こと『アテナ』のいい加減な神罰によって、異世界旅行の付き人となってしまう。 そこで、主人公に與えられた加護は、なんと歩くだけでレベルが上がってしまうというとんでもチートだった。 しかし、せっかくとんでもないチートを貰えたにも関わらず、思った以上に異世界無雙が出來ないどころか、むしろ様々な問題が主人公を襲う結果に.....。 これは平凡なサラリーマンだった青年と駄女神が繰り広げるちょっとHな異世界旅行。 ※今現在はこちらがメインとなっております ※アルファポリス様でも掲載しております
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