《星の見守り人》032 特務宇宙船

そこには半明な青みの優な船があった、

「これが今度から君たちが乗る特務実験型大型探査船アルゴー1だ。

先ごろ完したばかりの最新鋭艦で、この艦の運用実験が君達の仕事の一部でもある。

はγアレナック、いわゆるブルネティアン製だ。

基本的な機能自は今までの探査船と変わりないが、全ての機能が大幅に向上している。

全長は350mと一般的な探査船の1.8倍ほどだが、積は當然5倍以上になる。

ただし船のかなりの部分を機関室が占めている。

これはエンジンを換する場合でも可能な限り最新型のエンジンと換するためだ。

現在のエンジンでも通常の探査船の2倍以上のワープ速度が出せる。

現在の高速連絡船並みの早さだな。

完全に船での自給自足が可能で、単に航行するだけで、乗員が人間20名以下ならば、理論上は永久に補給の必要はない。

ま、実際には多の補給は必要だろうがね。

しかしまあ、その気になれば理論上は1萬年でも補給なしで行可能な訳だ。

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もっとも船の実際の耐久年數は竜骨を中心とした基本構造部分は材質がブルネティアンなので、半永久的と我々は見ている。

本來は普通のアレナックで製造される予定だが、これは実験船なので特別だ。

その他の部分はエンジンも含めて全て換裝を前提とした造りだ。

武裝としては巡洋艦並みの固定武裝の他に、大きな違いは両翼に駆逐艦を各1隻ずつ、合計2隻を搭載している」

「駆逐艦・・・ですか?」

「そうだ、両翼の部分が駆逐艦の格納庫兼ドックになっている」

駆逐艦と言えば銀河連邦でも単獨で行しうる戦闘艦だ。

それほどのを搭載しているとは如月は驚いた。

「そこまで必要ですかねぇ」

「何しろ可能な限り小型で、考えうるあらゆる事態に備える艦だからな。

過去のあらゆる事象や問題を懸案した結果、こうなった訳だ。

それに警護艦を4隻、小型戦闘艇も多數搭載している。

ちょっとしたものだろう?

辺境で戦闘となれば、この船に勝てる者はまずいないと言っていいだろうな。

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指揮権コードも通常の巡洋艦よりは上だ」

軍の宇宙船には全て指揮権コードというが存在する。

この宇宙船はそれが巡洋艦よりも上位なようだ。

「実験探査船といいましたが?」

「ああ、さっきも言ったとおり、これは試作品でな。

君に數年運用してもらって、それを參考に第2試作品を作る。

それをまた參考にして最終的な完品を作ると言うわけだ」

「ずいぶんと手間がかかりますね?」

「うむ、何と言っても1萬年以上使用される可能が高い宇宙船を作る訳だからな。

それに見合ったを建造する予定だ。

君の壽命同様、その宇宙船の運用も実用実験の一つさ」

「なるほど」

「では実際に部も見てみよう」

一行が宇宙船の中にると、シジマが再び説明を始める。

「どうだね?中も中々良いだろう?」

「そうですね、天井も高いし、廊下は遙かに普通の船より広い。

確かに居住は良さそうですね」

「気にってくれたようでうれしいよ」

そう言いながらシジマは機関室へ案する。

「これが先ほど話した機関室だ。

現在時點で最高のワープエンジンを搭載してある」

そして機関室を出たシジマが再び機嫌よさげに説明を始める。

「さて、次は生きていく上で肝心な食べの事を説明しよう。

君も興味はあるだろうからな」

「そうですね」

これからどれほどの長い期間を宇宙船で過ごす事になるかわからないのだ。

その毎日に関わる食べがどういったなのかは如月も興味はある。

「もちろん、基本的には今までの探査船と同じだ。

小規模ながら水耕植栽培場もあるし、魚介類の養場もある。

だが、全く違う面白いもあるぞ」

「全く違う面白い?」

そう言いながら案された如月が食堂には、すでに數人の來て食事をしていた。

そこには如月の見た事がない機械があった。

そしてシジマがその機械の説明をする。

「これは「FOD」だ」

「FOD?」

その聞きなれない言葉に如月が問い返す。

「そうだ。いわゆるフード・アウトプット・デバイスすなわち「FOD」と言われるだ」

「フード・アウトプット・デバイス?いわゆるフードプリンターのようなですか?」

フードプリンターは20世紀末期頃から開発が始まった、いわゆる自調理の一種だ。

「そうだ、まあ食べてみたまえ」

「はあ・・・」

そう言われて進められたハンバーガーを如月は食べてみた。

「どうかね?」

「はあ、まあ、普通においしいですが・・・」

「しかしここにある料理が全てたった4つの材料で出來ていると言ったらどうかね?」

「え?4つ?」

その意外な説明に如月は驚いた。

「そうさ、ここにある料理は全て米、小麥、大豆、海草の4つだけで出來ている。

もちろん調味料はまた別だがね」

「ええっ?」

「ああ、米やパン、麺類などはもちろん米と麥から出來ているし、類は大豆、野菜に見えるものはほぼ海草だ」

「なんですって?」

そう言って驚いた如月は自分が食べていたハンバーガーを分解してみる。

パンはもちろん小麥からできてるのはわかっている。

も最近では大豆蛋白でそっくりなが合可能なのは知っているし、実際に食べた事もあった。

しかし一緒に挾まっているレタスのようなにはしっかりとの濃淡もあれば、葉脈のようなまである。

これが海草から出來ているとは驚きだった。

「ああ、以前のフードプリンターなどは君の指摘の通り、かなりの材料を必要としておいたがな。

だが、この最近のフードプリンター、すなわちFODはその4つしか材料を必要としないのだ」

「一、どうやって・・・」

驚く如月にシジマが得々と説明を始める。

「それはまあ、言うなれば、映像盤のつき畫面と同じような構で作ったと言えるかな?

君だって映像盤などの畫面をどう構しているかは知っているだろう?」

「それはまあ」

映像版などの畫素はの三原、すなわち青赤緑の三で全てを表現されている。

どんなでもこの3で表現されるのだ。

「それと同じさ。

人間の味の判別には5種類ある。

すなわち甘味、塩味、苦味、酸味、旨味の5つだな。

それに味覚ではないが、辛味をれて6つだな。

そしてそれを米、小麥、大豆、海草と數種類の調味料で再現する事が可能になったのだ」

「つまりこれも実験中のの一つという訳ですか?」

「ああ、そういう事だ。

実は実験も兼ねて、ここ數日はうちの職員もここで食事をする事になっていてね。

それでこうして多人がいる訳さ」

「そうだったんですか?」

その後、私室や艦橋、司令室を案して一通り、見學が終わると再び、司令室に戻り、今後の対応を説明し始める。

「報告は1年に一度は必ずするように、そのための高速連絡艇も搭載している。

大抵君は通信の範囲外にいる事が多いだろうからな」

「地球までですか?高速連絡艇を使ってもかなりかかりそうですが?」

「いや、一番近場の方面司令基地までだ。

そこからはここまで匿通信が出來るからな。

だが、せめて10年か、20年に一度位は地球にも帰って來た方がいいぞ。

浦島太郎になってしまうからな」

「そうですね」

もちろん今の如月にまだその覚はないが、將來的そのような狀況になりうるであろうことは容易に想像できたのでうなずいた。

しかし安易にうなずく如月に対してシジマは真面目な顔で説明をする。

「いや、これは本當に冗談ではないぞ?

今後の君にとって十年位はあっという間に経ってしまうだろう」

「そうでしょうねぇ・・・」

そういわれて如月はもう一度慨深く數十年後の自分を想像する。

その想像を打ち破るかのようにシジマが話しかける。

「まあ、実際にこの船で航行を始めればわかるさ。それでは君の仕事を始めたまえ」

「了解しました」

こうして永遠の壽命を持った如月 星(きさらぎせいの人生が始まったのだった。

しかし、この時の如月は自分の人生がどれほど通常の人間の枠から外れたになるとは想像だにしていなかった。

彼の人生はただ長く生きるなどという生易しいではなくなるのだ!

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また、次回の更新は都合により、9月1日の予定です。

その間に々今までの話の増補、改定をさせていただく予定です。

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