《私たちだけ24時間オンライン生産生活》56. 一緒に夕ご飯

この後もう夕方なのでおばあさんに今日の夕ご飯は要らないと連絡をれた。

ザイールさんとミーティアさんが一緒にご飯を食べようとってくれたのだ。

場所は中級の庶民の贅沢ぐらいの宿屋のご飯だ。お店は飲食店も含めてやっていない。

主にプレイヤーと思われる客で大盛況だ。

すでにお二人も普段著で町の人と目立たないようなやつに著替えている。

「皆何歳だ? 15歳以上だな。よしではビール5つ」

なんか勝手にビールにされてしまった。

「15歳以上なら飲めるんですか?」

「そうだぞ。そんなことも知らなかったのか? ああ、すまん。神の使いの冒険者だったな」

「はあ、いいのかな」

「んー。まあ、いいんじゃない?」

「説明書に問題ないって書いてありましたわ」

「俺たちは、領主お抱えの非常時騎士、半分冒険者をやってる。デルタ第六予備役隊だ」

「そこそこ偉い人なんですか?」

「まあ、そこそこだな。別にかしこまらなくていい」

「はい。ありがとうございます」

ちょっと會話していると、すぐにビールがやってきた。

「それでは、皆の今後の活躍を願って、乾杯」

「「かんぱーい」」

全員でグラスをぶつけて乾杯した。

ビールは、そこまで苦いやつじゃなくて、炭酸も別にきつくはなかったけど、溫かった。

日本のビールは冷やすのが普通なので、ちょっと想像と違った。

クルミは「ぷはぁ」とかやっている。

「おじさんくさいぞ」

「えー。いいじゃん。ビール飲んだら、一度やってみたかったんだもん」

「でだ。レポリダイはどうだ?」

「ザイールさん、レポリダイってなに?」

「えっと、そこからか」

ザイールさんとミーティアさんは世界について教えてくれた。

レポリダイとは、この世界そのものを指すらしい。

そしてここはカーディス大陸。他にカーガン大陸が発見されているらしい。

カーディス大陸のアデレイス王國、首都は前に登場したファインティアだ。

この町はデルタ町で、領主の名前は「エレノア・K・デルタ」。

デルタ町周辺の村を含めてサークル地方と呼ぶ。

「で、サークル地方は大昔の大魔法の発だか隕石の衝突の跡と言われてる。デルタ町はその中心にあるんだ」

だからサークル地方は周りを丸く崖で囲われているカルデラ狀になっている。

それで、出口は川が流れていく先がある。しかし出口の手前は地帯になっていて、敵が強いので、弱い人たちは通ることができないらしい。

町の領主館の前には転移裝置があるけれど、これは認められた人しか使うことができないそうだ。

「まあ、そういう訳で、ここは閉じ込められてるんだ」

「そりゃ困りますね」

「でも金があれば、たまに飛空艇が飛んできたときに乗せてもらえるぜ」

「飛空艇には一度乗ってみたいです」

料理が運ばれてきた。

フランスパンを切った。もっともこっちではフランスパンとは呼ばないけれども。

トカゲと野菜のデミグラスシチュー。

ウサギの燻製。

新鮮野菜のサラダ、クルトン付き。

オムレツ風卵焼き。

結構豪華だ。卵焼き以外、人數分ある。

「ご馳走様です」

「なに、遠慮しないで。先行投資みたいなもんだ」

「ありがとうございます」

皆でフォークとナイフで食べる。

もちろん、音をなるべく立てないように、でも會話はたまにしつつ。

「お、ホロホロだわ」

「ああ、ここのシチューはうまいぞ」

そうそう、昔のMMO-RPGだったらBGMが流れてるんだけど、VR-MMOのコレは、BGMとかいうものはない。もちろんwebを表示して畫なり音楽なり流せば、自分には聞こえるけれど。

あとwebで生放送系は6倍速があるため、正常に表示できない罠がある。

だから現実のファミレスで音楽が掛かってるような場所とは雰囲気もだいぶ違った。

前に泊まった宿屋はウサギのホワイトシチューだった。ウサギは若干鳥っぽいのに対して、こちらはほぼビーフシチューだ。

どれもおいしい。

楽しい夕食はもうし続くんじゃ。

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