《私たちだけ24時間オンライン生産生活》64. 坑道ダンジョンボス

ボス戦はパターンにってしまうと、あとは敵に変化があるまでは持久戦だそうだ。

それぞれが出來る最大のことを頑張ってするだけになる。

ボスのHPは多いから忍耐がいる。ジワジワ削るしかないそうだ。

小説とかだと主人公が機転を利かせた攻撃とか、一発必殺のチート攻撃とかで、かっこよくスピーディーに倒すけど、現実は地味だなあ、とか思う。

そりゃあ、魔法攻撃とかすれば、エフェクトそのものは派手だけど、その行は魔法を唱えて當てるだけだ。外すほうが難しいし、相手はまだサクラちゃんに夢中で、こちらを攻撃してくる気配もない。

聲をだす詠唱攻撃は、ちゃんと神様に屆くように、神社でお祈りするみたいに、心を篭める。

すると威力が上がる気がする。迷信ではなく、VRギアは頭の中までしっかりと、見ているのだ。

ちょっと気持ち悪いけど、そういうものと、割り切るほかない。

強い魔法がコボルトキングに直撃すると、さすがのボスもし怯む。効いてはいるらしくて、ちょっとうれしい。

自分が活躍している気がする。

『グォオオォォォ』

再びコボルトキングが吠えた。

そして、剣を橫薙ぎしてきた。パターンが変わった。

サクラちゃんは避けたけど、クルミが直撃してふっ飛ばされる。

「クルミ、ヒール!」

私はすぐに回復させる。

ダメージは食らったけど、パターンが変わったということは、相手の蓄積ダメージは結構あるということで、順調である証だ。

「ヒールさんきゅ。こんちくしょ、結構いたかったぞ」

クルミが起き上がり片手を上げて合図してくる。

「むー。どうするべ?」

「うーん」

サクラちゃんは、剣がくると後ろに飛び跳ねて回避していた。

盾に金屬鎧にしてはかなりきがいい。

クルミは同じ鎧ではなく、もうきやすい軽鎧なのできにはついていけそうだけど、攻撃するとダメージを食らいやすいかもしれない。

その辺はコマチさんも同じだ。

ただコマチさんはすばしっこいから逃げられそうだ。

「ちょっと様子見してから、隙を見て攻撃するじにするわ」

「おっけー」

クルミは槍を構えたまま、中衛の位置で待機している。

コマチさんは早めに避けておき果敢にも剣が通った直後に、攻撃を加えていた。

「なるほどなるほど」

「クルミもコマチさんみたいにすればいいかもね」

「うん」

サクラちゃんは、ほぼ回避に専念している。

「じゃあ、行きます」

「頑張って」

クルミも挨拶すると攻撃に出ていく。

避けているだけでは相手を倒せない。いつかは攻撃しないと、疲れて倒れるのはこちら側だ。

クルミの必殺じゃない必殺技が炸裂してエフェクトが散っていった。

「ナイス、クルミ」

「おいっす」

戦線に復帰したクルミを加えて、みんなで攻撃を続行した。

イナホおじいちゃんの魔法もなかなか強そうな見た目のファイアショットが飛んでいた。

これは私の持っている、紅蓮の杖を使って覚えたもらったやつだ。

橫ではアルクたちの警ら隊も、オークエンペラーを相手に戦闘中だった。

聲かけもできていて、後ろからヌイグルミのマイケルの魔法攻撃と、ヒカリちゃんの白魔法攻撃とヒールが飛びっている。

なかなかカッコイイ連攜が取れているみたい。

普段はヒカリちゃんにメロメロで、頼りないじなのに、どうしたことか、戦闘はしっかりこなしているようだ。

「オークのほうは大丈夫?」

「はい。大丈夫ですよ。でもなかなか鳴かないですね。オークちゃん」

ヒカリちゃんが答えてくれる。それにしてもオークちゃんか。

強面のオークをしても、ヒカリちゃんにちゃんづけで呼ばれる程度だった。

その次の瞬間、オークが攻撃を一瞬やめて、両手を振り上げた。

『ウォオオオオ』

オークが咆哮を上げる。オーク側も第二ラウンドに突したらしい。

攻撃パターンが変わって、アルクたちが回避運っていた。

見てるじでは大丈夫そうだ。

その後も特に見せ場もなく攻撃が続く。

前衛はかなりの運量だけど、ゲームだからかまだ持ちそう。

『ブウォオオオオオオオ』

再度、聲を上げたので警戒したが、そのまま粒子となって、消えていった。

「んん? なんか、あっけなかったね」

「こちらは、終わりましたわ」

「お疲れさま。オークのほう加勢しようか」

「「「はい」」」

全員でオークエンペラーに攻撃を加える。場所がやや手狹になったけど仕方がない。

前衛の攻撃に加え、魔法使い5人の派手な炎や氷が飛んでいく。

HPバーがないので、分からないがほどなくして、オークもエフェクトを殘して消滅した。

オークの後には、一回り大きい、金貨が人數分落ちていた。

「終わった」

「あー、やっとだよ」

「終わりましたわね」

それぞれに安堵してドロップを拾う。

最後はそのまま、必殺技などもなく、見せ場もないまま、ボス戦が終わった。

なにか腑に落ちないけど、そんなもんなのかもしれない。

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