《リターン・トゥ・テラ》2話『アースゲート攻防戦』
「D-03部隊、全機出撃を確認しました。」オペレーターがそう告げる。
宇宙軽巡洋艦ナイト級12番艦のCIC、艦長のバドスは、はぁ、と、ため息をつく。
「全機のAI、問題なくコード006を認証。作戦の変更をプランBに変更。」オペレーター達は慌ただしくいている。
「結局アイツらは捨て駒って訳か……」
誰に聞こえるでもなくバドスは呟く。
コード006、それは全機のAIを作戦本部が一括に管理し作する命令だ。彼らの出撃までその事は本部からも通達が來ておらず、明らかになっていなかった。
「作戦容もプランBとはな。と言う事はこの宙域から離して土星基地で合流と……」
「ただアイツらを死にに行かせただけ。そして戦力を整える為に基地に戻ってただ見ているだけ。そう言うことになるな……」
「艦長?どうしました?」
一人のオペレーターにそう問われる。このオペレーター達もクローン。年兵団だ。全員がB階級で構されている。所謂そこそこのエリート集団だ。しかし、命令に関しては一才疑問を持っていない様子だ。
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K-201はどうだろうか。アイツなら、きっとこの作戦に疑問を持つだろう。何度か話したが、クローンの、A階級の中でもアイツはし特殊だ。
「いいや、なんでもないさ。錨をあげろ。船の機関をかす。15分後には出航だ。スタースピードで土星まで戻る。そう伝えてくれ。」
「了解です。」
「機関始。15分後に出航。その後、スタースピードモード突。亜空間転移準備。亜空間復帰後の座標位置計算。クリア。各員、対Gスーツのチェックを確認。」館放送を淡々と行う。
「し席を外す。」と言いバドスはCICから出る。
CICの外、「はぁ……」とバドスはまたため息を溢す。
「K-201、アイツには確かに自我みたいなものが芽生えてきていた。作戦本部は、それを危険視してわざと捨て駒に……?」
いいや、考えすぎか……作戦本部の考えていることなんて、わかるわけがない。いや、わかろうともしたくない。
「こんな子供を……クローンにだって命はあるんだぞ……」
前々から考えてはいたが、クローンの子供達を盾にしたり、特攻兵にしたりするのは見ていていい気分ではなかった。
「損な役回りだよ!全く!」艦長帽を床に叩きつける。上層の命令にただ従うしかない。そんな自分に憤りをじる。
「なんとかできなくてすまんなぁ……」
誰に言うわけでもなく、その言葉は宙を舞った。
✳︎
地球軍最終防衛ラインアースゲートでの戦闘はもう始まろうとしていた。
僕らのD-03部隊の作戦は偵察のはずだった。しかし、各機が戦データリンクを結ぶ前にC階級の乗る2機のグラディエーターがアースゲートに向かって特攻を始めた。
睡眠剤の回復措置が行われたばかりの僕には何が起こったかわからなかった。
その後、こちらのきを察知した地球軍側の迎撃が始まる。2機のグラディエーターは基地に取りつこうとするも、すんでのところで迎撃され発した。
地球軍のアームド、主力量産機のガーディアンが基地から出撃して隊列を組むのが見える。IFFに敵機の表示。そして長距離武裝を持った敵機アームドがいるのだろう。ロックオンの警報が鳴る。完全に僕らを迎え撃つ勢にったようだ。
C階級のクローンはまだパイロットリンクを上手に使いこなしていない。特攻はAI側が作戦を間違えたのか?いや、そんなはずはない…AIが作戦を間違える事はありえない。
「V-21!応答してくれ!どう言うことだ!作戦が違う!」
V-21は答えてくれない。パイロットリンクが繋がっているにも関わらず……
パイロットリンクとは僕らパイロットが脊髄に埋め込まれたナノマシンを介し、直接AIとリンクして作系統を脳に取り込むことによってアームドをより簡単に、イメージした通りにかすことができる仕組みだ。それは正常に働いている。しかし、AI側からの応答がない。
ただ、
「コード006発令中の為、作戦指揮権はパイロットにありません。作戦はプランBに変更されました。コード006発令中の為……」
とだけV-21は何度も繰り返し言う。
狀況を見るに、他のアームドも同じのようだ。
同じA階級のパイロットF-108から「隊長、狀況を説明してください。AIに反応がありません。パイロットリンクは正常です。」と通信がる。
「僕にもわからない。コード006も、プランBの意味も。とりあえず、ダイヤモンド隊到著まで時間を稼ぐしかない!」
「了解。善処します。」
その通信が終わった後すぐ、銃弾の雨が僕らを襲った。地球軍が僕らに攻撃を開始したのだ。
「時間稼ぎだけでもできれば……!」シールドで攻撃を防ぎながら反撃の態勢を取る。
2機を失った10機のグラディエーターの編でこの場を凌ぐのは無理に等しい。僕は死ぬことを覚悟した。その時だった。
「IFFに味方軍の反応……!?」
銀河帝國のアームドが次々と到著する。援軍だ。
「ダイヤモンド隊が來た……のか?」
いや違う。クローン部隊のグラディエーターだ。しかも數が尋常じゃない。普通の作戦ではないことがすぐにわかった。
「どう言う事だ……?」
そのグラディエーター達は次々とアースゲートに向かってブースターを吹かせ、飛び込んでいく。
「やめろ!死にに行くだけだ!」
通信でそう聲をかけても無駄だ。次々とグラディエーターが特攻を仕掛ける。
大半がアースゲートにたどり著く前に迎撃されて発する。何機かは取り付いてエーテライト・オーバーロードを使い、基地に損傷を與えたようだが……
「なんでなんだよ……どういうことなんだよ……みんな……」
別なことに気を取られて、僕は1機のガーディアンの接近に気付けないでいた。
アラートが鳴る。自分が気づいた時にはもう遅い。近接武の対アームド用ダガーをコクピットに突き刺される寸前だった。
「クソ……ッ!」
すんでのところで致命的な一撃を避ける。しかしコクピットには損傷がった。
そこでF-108からの援護撃がった。僕に攻撃してきたガーディアンは完全に沈黙した。
「隊長。大丈夫ですか。」
「なんとか。コクピットに損傷がったけど、モニターは健在。網投影裝置も問題ない。ただ……」
先程の攻撃をけてから謎の警告を繰り返していたV-21の反応がない。搭載部にし損傷をけてしまったようだ。かろうじてパイロットリンクが生きてるだけでもありがたい。これがなければアームドをかせなくなってしまう。
その時だった。
「バックアップデータ始。回路損傷部から切り替え。V-21再起開始…OK。システムクリア。コード006をコード002へ切り替え。パイロットに指揮権譲渡。」
「V-21!復活したか!何が起きている!」
「申し訳ありません。パイロット。コード006の自認識により、作戦本部からの命令しかけ付けない狀況になっておりました。回路に傷がついた時にワタクシが手で回復させました。おそらくコード006の信號がなくなったことにより、作戦本部にはワタクシ含めパイロットの生死は不明となっていることでしょう。」
「作戦がプランBに切り替わっているようです。ダイヤモンド隊の合流はありません。ワタクシ達は部隊。本隊がきやすいように敵のきを引き付ける役目となっております。」
「それって……」
「申し上げにくいことですが。ワタクシ達は使い捨てにされました。」
3話へ続く。
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